選ばれる士業になるための適切な情報発信について 赤井塾18
「士業の理想の姿」を実現するために必要な4つの条件として、既にお伝えしたテーマの中からいくつかの話をセレクトして少し深掘りをしています。
今回は、選ばれる士業になるための情報発信についてです。
適切な情報発信の3つのポイント
繰り返しになりますが、士業の中には、「良いサービスさえ提供していれば、自ずと顧客や他士業から選んでもらえる」と考えている方がまだ多いように思います。
しかし、それは、はっきりと言って幻想です。
いくら提供しているサービスの差別化ができ、セルフブランディングができたとしても、これをきちんと外部に発信できなければ、あなたが顧客や他士業から選ばれることはありません。
そして、きちんと発信するためには、①まずは情報を届けたい相手(ターゲット)を明確にする必要があります。
②そのうえで、そのターゲットに合った、すなわち、そのターゲットに最も届きやすい宣伝媒体は何か、例えばそのターゲットが普段から目にする宣伝媒体は何かなどを考えます。
③そして、その宣伝媒体が決まれば、さらに、伝える情報の内容を検討する必要があります。
そこでは、ターゲットに最も訴求できる内容を考えます。
ターゲットに最も届きやすい宣伝媒体を考える
士業の先生方が通常、宣伝媒体として使いたいと考えられるのは、ホームページではないかと思います。
そして、士業の先生方のほとんどは、既にホームページを作成して公開されていることでしょう。
ただ、そのホームページは、果たしてターゲットに最も届きやすい宣伝媒体でしょうか?
現在は、多くの方がスマホ等を利用されるので、ホームページを閲覧しようと思えば、閲覧することは可能でしょう。
しかし、それは、あくまでターゲットとなる顧客等が自らあなたのホームページを適切なキーワードで検索するなどの行動をしてくれればの話です。
しかも、それだけではなく、あなたのホームページにしっかりとSEO対策が施されていて、適切なキーワードでの検索順位が常に上位に表示されるようになっている必要もあります。
正直言って、これは手間的にも費用的にも、かなりハードルが高いと言わざるを得ません。
ホームページへの導線が必要
なので、ホームページを宣伝媒体として活用したい場合には、ホームページにまで顧客等を導くための導線が必要になります。
要は、新しい飲食店をオープンしても、オープンしただけで、そこに飲食店があることを宣伝しなければ、誰も足を運んではくれないということです。
ホームページを開設したというのは、いわばこの飲食店をオープンしただけの状態です。
ホームページを開設しているということを宣伝しなければ、誰もそのホームページを見に来てはくれません。
宣伝するために作ったホームページを宣伝しなければならないなんて、おかしいと思われるかもしれませんが、それが現実です。
そして、ホームページを宣伝するための宣伝媒体を工夫していくことになります。
例えば、自分のターゲット層が多く参加しているSNSのコミュニティやグループを探して、そこに自らも参加し、そこでの情報発信の中でホームページを宣伝して誘導していくといった方法が考えられます。
あるいは、自らターゲット層を対象としたセミナーを開催したり、勉強会を開催し、その中でホームページを宣伝するという方法も考えられます。
このように、現在では、単にホームページを作っただけでは、そのホームページは有効な宣伝媒体にはなりません。
士業の先生方をターゲットにして、ホームページの作成やそのSEO対策を勧めてくる業者があとをたちませんが、業者に丸投げをしてもそのホームページは有効な宣伝媒体にはならず、きちんとした情報発信などできないということを肝に銘じてください。
業者に依頼することが悪いと言っているわけではありません。
業者に丸投げするのではなく、必ず自分自身で工夫や行動をする必要があるということを申し上げているのです。
伝える情報の内容について
次は、伝える情報の内容についてですが、そこでは、ターゲットに最も訴求できる内容を考えなければなりません。
ここでは、ホームページでの例を続けますが、この場合のホームページには、あれこれと多くの内容を盛り込みすぎないことです。
あくまで、ターゲットのニーズに合った情報に絞り込むようにしましょう。
でなければ、せっかくの情報発信がぼやけてしまいます。
「そんなに内容を絞り込んでしまったら、ターゲット以外の顧客を逃してしまうのでは」と心配される方がおられるかもしれません。
しかし、情報がぼやけてしまって、せっかくホームページに誘導できたターゲットを取り込めないということになれば、そちらの方が元も子もありません。
まずは、ターゲットを確実に取り込むことを目指してください。
そして、これは私の経験上言えることですが、発信する情報をターゲットのニーズに合った情報に絞り込んだからといって、ターゲット以外の顧客が来なくなるということはありません。
逆に、ターゲットにだけでも、きちんと情報が伝わるようになれば、そこから波及してターゲット以外の顧客も来るようになります。
実際に私は、主に相続や中小企業法務を扱っていることを情報発信していますが、離婚については自ら積極的に情報発信はしていません(近時、YouTubeでいくつか動画を公開しているぐらいです)。
しかし、常時、離婚の依頼もあります。
まとめ
今回は、「士業の理想の姿」を実現するために必要な4つの条件のうち、「顧客と他士業から『選ばれる士業』になること」の1つ目の方法、「差別化すること」について深堀りしました。
「良いサービスさえ提供していれば、自ずと顧客や他士業から選んでもらえる」と考えている方がまだ多いように思いますが、それは幻想です。
適切な情報発信のためのポイントをまとめましたので、ぜひ実践して下さい。