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顧客と他士業から「選ばれる士業」になること#1ー差別化すること      赤井塾3

前回、「士業の理想の姿」を実現するために必要な4つの条件の概要をご紹介しました。

今回から、1つずつその内容を解説します。

まずは、1つ目の条件である「顧客と他士業から『選ばれる士業』になること」です。

「選ばれる士業」になる3つの方法

1.差別化すること
2.セルフブランディング
3.適切な情報発信

今回は、この中の「差別化すること」について解説します。

差別化する2つの方向性

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士業が提供する商品は、目に見えないサービスです。
このサービスには、主たるサービスと付随的なサービスがあります。

主たるサービスというのは、言い換えれば、その士業ごとの業務そのものです。

弁護士であれば紛争解決、司法書士であれば登記申請、税理士であれば税務申告といったものが主たるサービスに当たるでしょう。

【方向性1】主たるサービスで差別化を図る

主たるサービスについて、他との差別化ができないかを、まず考えます。

①専門分野に特化

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最もオーソドックスなのは、ある専門分野に特化することです。
いわゆる「○○専門」というものです。

例えば、
・弁護士・・・離婚専門、相続専門
・行政書士・・・建設業の許認可専門、外国人の在留許可・帰化・永住許可申請専門
といったものが考えられます。

ただ、このようにある専門分野に特化したとしても、そこに多くの競合する同業者がいれば、それだけでは差別化にはなりません。

その場合には、その専門分野の中でさらに絞りをかける必要があります。

例えば、外国人の在留許可等をさらにフィリピン人の永住許可申請専門に絞るなどです。

なお、ほとんど競合する同業者のいない分野であれば、ただその分野に特化するだけで差別化をすることが可能です。

②ターゲットとする顧客の属性(職業等)で特化

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専門分野での特化が難しい場合には、次に、ターゲットとする顧客の属性(職業等)で特化できないかを考えてみます。

例えば、
・医療機関専門の税理士
・社会福祉法人専門の社会保険労務士
などが考えられます。

この場合にも、その属性だけだと、ターゲットとしている多くの同業者と競合するのであれば、さらにその属性に絞りをかける必要があります。
例えば、医療機関の中でも、比較的小さい診療所のみをターゲットにしたり、社会福祉法人の中でも老人介護施設のみをターゲットにするなどです。

特化する場合の留意点

これらの差別化方法においては、その専門分野への特化や特定の属性を持つ顧客に特化することで、他では簡単に真似のできない、かつ定型化できないサービスを提供できるようになることが必要です。

簡単に真似ができるようなサービスであれば、すぐに競合する同業者が増えるおそれがあり、また定型化できるサービスであれば大手が進出してくるおそれがあって、せっかくしたはずの差別化が無に帰してしまうおそれがあります。

私の場合は、専門分野では、相続の中でも複雑事件(事業承継がらみや相続人の中に不在者がいるなど)に特化していますし、顧客の属性では、医療従事者に特化しています。

このようにある専門分野や特定の属性を持つ顧客に特化すると、他の分野の仕事や特定の属性以外の顧客が来なくなるのではないかと不安に思われる方がおられるかもしれません。

しかし、私の経験では、決してそんなことはありません。

そうやって差別化ができると、専門性が高い、顧客対応が良いとの好評価を得られることで、他の分野の仕事や特定の属性以外の顧客も来るようになります。

まずは、自分の得意分野、やりたいことから考えてみるのがお勧めです。

市場調査を行う

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そして、これが大切なのですが、必ず自分なりの市場調査を行ってください。

これを怠ると、差別化どころか、単にニッチな分野を扱っているだけに終わってしまいます。

そもそも差別化をするのは、集客、すなわち顧客に直接選んでもらったり、他士業に選んでもらって顧客の紹介を受けるためですから、市場調査は重要です。

ところが、これをほとんどの人がやっていないように思われます。

ただ、市場調査といっても、そんなに難しいことをするわけではありません。

差別化したサービスに市場のニーズがあるのか、その市場規模はどれぐらいか、いくらぐらいの単価がつけられるのかを、ネットで調べたり、同業者や顧客からヒアリングするなど自分の出来る範囲で事前に調査するだけです。

その結果、そもそもニーズがなかったり、市場規模があまりにも小さかったり、あまり高単価が望めないようであれば、もう一度、サービスの内容を考え直さなければなりません。

【方向性2】付随的なサービスで差別化を図る

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最後に、専門分野での特化も特定の属性を持つ顧客での特化も難しい場合には、主たるサービスではなく、付随的なサービスでの差別化を試みることになります。

例えば、
・丁寧な対応
・分かり易い説明
・レスポンスの良さ・速さ
・処理の速さ
・段取りの良さ
といったものです。

当たり前のことと分かってはいても、これらを徹底してやっている方は少ないのではないでしょうか。
心がけているというのと、実際に実践しているというのは全く違います。

私は、徹底して実践することで、この付随的なサービスだけでの差別化も十分に可能であると考えています。

実際に、私は、他士業の方を選ぶときには、レスポンスの良さ・速さ、処理の速さ、段取りの良さを重視しています。

この付随的なサービスでの差別化は、主たるサービスの差別化と併せて行うことができますので、是非、実践していただきたいと思います。

私は、上で例に挙げた5つは、徹底して実践しています。

まとめ

今回は、「士業の理想の姿」を実現するために必要な4つの条件のうち、「顧客と他士業から『選ばれる士業』になること」の1つ目の方法、「差別化すること」について解説しました。


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