「かわいい!」が勝ち
煽り文句、煽り運転など、煽るという行為はこの世から消えてほしいものである。
先日会社の歳の近い同僚と飲みに行ったときのことだ。
参加メンバーは男女6名。
新人の頃から顔見知りのメンバーだ。
ものすごく仲が良い訳ではないが、誰かが「久々に飲もうぜ!」と企画するとワラワラ集まるくらいの関係性。
社会人になるとこういう飲み会も少なくない。
「断るほどでもないし会社の人付き合いとしてとりあえず行っとこかー」と、6人全員が思っているに違いない。
既婚者は私だけで
話題はもっぱら、あとの女性たちがどうやったら彼氏ができるか、結婚できるかということだった。
突然、男性陣が「いくらちゃんと彼女たちで何が違うのか確かめよう」と言い出した。
社内の同性とはうまくやっていきたいものだが、そんな話題にされては既婚女VS未婚女という円満とは程遠い構図にならざるを得ない。
20代後半女性のセンシティブさを無視した全く腹立たしい煽りようである。
そもそも、この男性らも独身である。
そうでありながら女性陣のVS構造を楽しむという行為が「俺らはいつか結婚できるだろう」という甘えた考えからきているのではないか。
坊やたち、よく聞きなさい。
俺は男だからと余裕をぶっこいているといつの間にか売れ残り、周りから気を遣われる独身おじさんになるのよ。
お分かりかしら?
この真実に気づかない姿が甚だ滑稽である。
などと、私が脳内で男性陣に向けて銃乱射しているうちに、女性たちは己の恋愛観を語り始めた。
「結局カッコいい人じゃないと付き合えないんだよね」
…ほう。正直これではダメだと思った。
(煽っているね)
カッコいい男性など、世の中に数%しかいないのだ。
そして、そのカッコいい男性が所謂フツーレベルの女性と付き合ってくれる確率はどのくらいだろうか。
(煽りまくっているね)
私は夫に対して抱く感情のうちの9割が「かわいい」である。
いびきをかいて寝る姿もかわいい。
フガフガと1食で3人前ほどご飯を頬張る姿もかわいい。
食べすぎてお手洗いに駆け込む姿もかわいい。
鼻水を垂らす姿もかわいい。
身体が大きくて湯船に浸かると風呂釜を破壊してしまったことさえ、かわいい。
全てがかわいいのである。
男性に抱く感情の正解は「カッコいい!」よりも「かわいい!」だと私は信じて疑わない。
「かわいい!」を取ったから、私には今の平穏な暮らしがある。
どうや?
(川崎ナンバーのバンで煽りまくっているね)
「いくらちゃん、これ聞いてどう?」
男性が私にニヤニヤと聞いてくる。
「カッコいい男性はジャニーズにしかいませんよ!他は(お前も含めて)みーーーーんなカッコよくありません!ジャニーズ万歳!ジャニーズは私と結婚してくれないから、私はかわいい人と結婚したんです!」
と、心から叫んだ。
キョトン顔の5人。
このとき私はシラフである。
分かるか?女性たちよ。
かわいい男性を見よ。
分かるか?男性たちよ。
お前らはジャニーズではない。
がんばれ。
前言撤回する。
私は煽るのが大好きみたいだ。
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