好きな高校数学問題10選
好きな問題を書いていきます
回答はすぐ載せてしまっているのでご注意ください
また、完全な回答ではない点に留意ください
基本、回答は常体・解説は敬体です
曲線の長さ
問題
$${y=x^2(0\leq x \leq 1)}$$の曲線の長さを求めよ
回答
曲線の長さの公式より、求める長さを$${L}$$として
$$
L = \int_{0}^{1} \sqrt{4x^2+1} dx
$$
である。 $${x=\frac{\tan\theta}{2} (0\leq \theta \leq \frac{\pi}{2})}$$ として置換積分して、
$$
L = \frac{1}{2}\int_{0}^{\alpha} \frac{1}{\cos^3\theta} d\theta
$$
となる。 ただし$${\tan\alpha=2}$$である。
$${\frac{1}{\cos^3\theta}=\frac{1}{\cos\theta}\cdot(\tan\theta)' }$$と見て部分積分する。
$$
2L = 2\sqrt{5} - \int_{0}^{\alpha} \frac{\sin\theta}{\cos^2\theta}\cdot\tan\theta d\theta
$$
ここで、$${ \frac{\sin\theta}{\cos^2\theta}\cdot\tan\theta = \frac{1}{\cos^3\theta}-\frac{1}{\cos\theta}}$$であることと、
$$
\int_{0}^{\alpha} \frac{1}{\cos\theta}d\theta = \frac{1}{2}\log(\frac{\sqrt{5} + 2}{\sqrt{5} - 2}) = \log(\sqrt{5} + 2)
$$
であることより、
$$
4L = 2\sqrt{5} + \log( \sqrt{5} + 2)
$$
よって、求める長さは$${\frac{\sqrt{5}}{2}+\frac{1}{4}\log( \sqrt{5} + 2)}$$である。
解説
高難易度の積分です。
積分では様々なテクニックを必要とすることがありますが、この回答では複数のテクニックを上手く組み込み、解答へたどり着いています。
積分の知識を総動員して解き切る点が綺麗だと感じました。
出題は友人からです。
tan1°
問題
$${\tan1°}$$は有理数か
回答
$${\tan1°}$$を有理数であると仮定する。
$$
\tan(\alpha+\beta)=\frac{\tan\alpha+\tan\beta}{1-\tan\alpha\tan\beta}
$$
より、$${\tan\alpha、\tan\beta}$$が共に有理数であれば、$${\tan(\alpha+\beta)}$$も有理数である。
よって仮定より、$${\tan 2°、\tan3°、\tan4°… }$$は有理数である。
しかし、これは$${\tan30°=\frac{1}{ \sqrt{3}}}$$から$${\tan30°}$$が無理数であることに反する。
よって、$${\tan1°}$$は無理数である。
解説
問題文が最も短い入試問題として知られています。
問題の簡潔さからは想像できない難易度である点が好みです。
出題は2006年度、京大の入試問題からです。
剰余-1
問題
$${3x^{100}+2x^{97}+1}$$を$${x^2+1}$$で割った余りを求めよ
回答
$$
3x^{100}+2x^{97}+1=(x^2+1)Q(x)+ax+b
$$
とおける。ただし、$${a,b}$$は実数とする。ここで、$${i=\sqrt{-1}}$$を代入すると、
$$
3+2i+1=4+2i=b+ai
$$
より、求める余りは$${2x+4}$$である。
解説
地道に突破することは困難な高次式の剰余を求める問題その1です。
虚数単位を使うことで、情報を2つ取得することができる点に感動したことを覚えています。
出題は数Ⅱ青チャートの重要例題54からです。
剰余-2
問題
$${(x^{100}+1)^{100}+(x^2+1)^{100}+1}$$は$${x^2+x+1}$$で割り切れるか
回答
$${x^2+x+1}$$の解を$${\omega,\omega^2}$$とする。
与式を$${P(x)}$$と置き、割り切れるのであれば$${P(\omega)=P(\omega^2)=0}$$である。
$$
P(\omega)
=(\omega^{100}+1)^{100}+(\omega^2+1)^{100}+1\\
=(-\omega^2)^{100}+(-\omega)^{100}+1
=\omega^2+\omega+1\\
=0
$$
$$
P(\omega^2)
=(\omega^{200}+1)^{100}+(\omega^4+1)^{100}+1\\
=(-\omega)^{100}+(-\omega^2)^{100}+1
=\omega^2+\omega+1\\
=0
$$
以上より、$${P(\omega)=P(\omega^2)=0}$$なので、割り切れるが回答である。
解説
地道に突破することは困難な高次式の剰余を求める問題その2です。
1の3乗根の解の性質を熟知していると楽に解けます。
難しそうな式を次々に簡単にしていく過程がとても楽しい問題です。
出題は2003年度、京大の入試問題からです。
フィボナッチ数列
問題
$${F_{1}=F_{2}=1、F_{n}=F_{n-1}+F_{n-2}(n \geq 3)}$$(フィボナッチ数列)の一般項を求めよ
解答
$${(n \geq 3)}$$のときを考える。$${x^2=x+1}$$の解は$${x=\frac{1 \pm \sqrt{5}}{2}}$$であり、これを$${\alpha、\beta(\alpha \gt \beta)}$$と置くと
$$
F_{n} - \alpha F_{n-1} = \beta (F_{n-1}- \alpha F_{n-2})\\
F_{n} - \beta F_{n-1} = \alpha (F_{n-1} - \beta F_{n-2})
$$
が成立する。よって、
$$
F_{n} - \alpha F_{n-1} = \beta^{n-2} (F_{2}- \alpha F_{1})\\
F_{n} - \beta F_{n-1} = \alpha^{n-2} (F_{2} - \beta F_{1})
$$
上記2式を連立して解いて
$$
\beta F_{n} - \alpha\cdot\beta F_{n-1} = \beta^{n-1} (1- \alpha)\\
\alpha F_{n} - \alpha\cdot\beta F_{n-1} = \alpha^{n-1} (1 - \beta)
$$
ここで、$${1- \alpha = \beta 、1- \beta = \alpha}$$より、
$$
(\alpha - \beta)F_{n}= \alpha^{n}-\beta^{n}\\
$$
整理してから値を代入して、
$$
F_{n}= \frac{1}{\sqrt{5}}((\frac{1+\sqrt{5}}{2})^n-(\frac{1-\sqrt{5}}{2})^n)
$$
上式は$${n=1、n=2}$$でも成立。
よって、求める一般項は
$$
F_{n}= \frac{1}{\sqrt{5}}((\frac{1+\sqrt{5}}{2})^n-(\frac{1-\sqrt{5}}{2})^n)
$$
である。(ビネの公式)
解説
フィボナッチ数列と呼ばれる、前の数2つを加算して次の数にするという規則を持った数列の一般項を求める問題です。
1 1 2 3 5 8 13 21 …と続きます。
この問題の面白い点は、自然数以外は現れない数列の一般項に無理数が入ってくる点です。
この数列には面白い特性が数多くあり、興味を持って下さった方は調べてみていただければと思います。
出題は数列の参考書からだったはずです。
ドーナツの体積
問題
円$${(x-2)^2+(y-2)^2=1}$$を$${y}$$軸で回転させてできる立体の体積を求めよ
上図は参考の、$${(\sqrt{x^2+z^2}-2)^2+(y-2)^2=1}$$のグラフ
回答
与式を変形すると、$${y=2 \pm \sqrt{1-(x-2)^2}}$$となる。
求める回転体の体積をVとして、回転体の体積の公式より、
$$
L = \int_{1}^{3} \pi (2+ \sqrt {1-(x-2)^2})^2 dx - \int_{1}^{3} \pi (2- \sqrt {1-(x-2)^2})^2 dx\\
= 8 \pi \int_{1}^{3} \sqrt {1-(x-2)^2} dx
$$
ここで、$${x-2=\sin\theta}$$ と置くと、
$$
L = 8 \pi \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} \cos^2\theta d\theta\\
= 8 \pi \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} \frac{1+\cos2\theta}{2}d\theta\\
=4 \pi^2
$$
よって、求める体積は$${4\pi^2}$$である。
解説
この問題だけでも、ドーナツの体積が分かりとても楽しいのですが、実は回転体の体積には下記のような定理が存在します。
面積が$${S}$$である平面図形を直線$${l}$$の回りに回転させてできる回転体の体積$${V}$$は,図形の重心と回転軸との距離を$${g}$$として、
$$
V = 2\pi gS = (重心の移動距離)\cdot S
$$
である。(パップスギュルダンの定理)
これを使用すれば、一瞬で答えが出てしまいます。
やはり、上手く公式を扱えると楽しいです。
こちらも友人との話の中で出た問題です。
5乗根の性質
問題
$${\alpha}$$を1の5乗根のうち、1でないものとする。この時、下の式の値を求めよ
$$
2\alpha + \frac{1}{\alpha+1} + \frac{\alpha}{\alpha^2+1} + \frac{\alpha^2}{\alpha^3+1} + \frac{\alpha^3}{\alpha^4+1}
$$
回答
問題より、$${\alpha}$$は、以下の式を満たす
$$
\alpha^4+\alpha^3+\alpha^2+\alpha+1=0\\
\alpha^5=1
$$
よって、以下の式が成立する
$$
\frac{\alpha^3}{\alpha^4+1}=\frac{1}{\alpha} \cdot \frac{1}{\alpha+1}\\
\frac{\alpha^2}{\alpha^3+1}=\frac{1}{\alpha} \cdot \frac{1}{\alpha^2+1}\\
$$
よって与式は、
$$
2\alpha+\frac{\alpha+1}{\alpha} \cdot \frac{1}{\alpha+1}+\frac{\alpha^2+1}{\alpha} \cdot \frac{1}{\alpha^2+1}\\
=2(\alpha+\frac{1}{\alpha})
$$
また、下記の式も成立する
$$
(\alpha+\frac{1}{\alpha})^2+(\alpha+\frac{1}{\alpha})-1=0
$$
これを解くと$${\alpha+\frac{1}{\alpha}=\frac{1\pm\sqrt{5}}{2}}$$
となり、上記の式から$${1\pm\sqrt{5}}$$とわかる。
よって、求める答えは$${1\pm\sqrt{5}}$$である。
解説
出すことが難しい、1の5乗根に関する問題です。
与えられた式と問題を見比べて、どのように式変形すべきかか考えながら式変形していくことはとても楽しく、勉強になります。
出題はこれも友人からです。
では、その出すことが難しい5乗根を求めてみましょう。
5乗根
問題
1の5乗根を全て求めよ
回答
$${x^5=1}$$を解けばよい。
当然$${x=1}$$は解なので、解くべき方程式は、
$$
x^4+x^3+x^2+x+1=0
$$
である。$${x=0}$$は解ではないので、両辺を$${x^2}$$で割って式変形すると、
$$
(x + \frac{1}{x})^2 + (x + \frac{1}{x}) - 1 = 0
$$
である。$${x + \frac{1}{x}=t}$$として2次方程式を解くと、
$${t=\frac{1 \pm \sqrt{5}}{2}}$$である。
また、$${x + \frac{1}{x}=t}$$を解くと、
$${x= \frac{t \pm \sqrt{t^2-4}}{2}}$$である。
よって、$${x^4+x^3+x^2+x+1=0}$$の解は
$$
x= \frac{-1\pm \sqrt{5}}{4} \pm \frac{\sqrt{10\pm2\sqrt{5}}i}{4}
$$
ただし、1・3つ目の$${\pm}$$では同じ符号を選択すること。その他は任意であり、4つの解を得る。
以上より、1の5乗根は、
$$
1、\frac{-1\pm \sqrt{5}}{4} \pm \frac{\sqrt{10\pm2\sqrt{5}}i}{4}
$$
の5つである。
解説
1の5乗根(5乗して1に戻る数)を求める問題です。
4次方程式を解かなくてはなりませんが、因数分解は難しそうです。
ここで、4次の係数と定数項・3次の係数と1次の係数がそれぞれ等しいとき、x^2で全体を割り、上手くまとめることで2次方程式2つに落とし込む事ができます。(相反方程式)
一見難しい問題を、自身の持つ知識に合うように変形させることで解くことができ、とても面白い問題でした。
出題は自身の興味から計算したことが始まりです。
素数の数
問題
1000以下の素数が250個以下であることを証明せよ
回答
1000以下の整数のうち、2の倍数または3の倍数または5の倍数の個数を求める。
全体集合U={ n | 1≦n≦1000、nは自然数}とし、2の倍数の集合をA、3の倍数の集合をB、5の倍数の集合をCとする。定義より、
n(A)=500、n(B)=333、n(C)=200、n(A∩B)=166、n(B∩C)=66 、n(A∩C)=100 、n(A∩B∩C)=33である。
よって、n(A∪B∪C)
=n(A)+n(B)+n(C)–n(A∩B)–n(B∩C)–n(A∩C)+n(A∩B∩C)
=500+333+200–166–66–100+33=734
しかし、2、3、5は素数であるため、734-3=731、731が求める数である。
また、これらと重複しない、素数ではない数を考えると、
1、7×7、7×11、7×13、7×17、7×19、7×23、7×29、7×31、7×37、7×41、7×43、7×47、7×49、7×53、7×59、7×61、7×67、7×71
が挙げられ、ここまでで19個ある。731+19=750、1000-750=250のため、1000以下の素数は250個以下である。
解説
集合・論理の問題です。
2か3か5の倍数を出すだけでは微妙に750には足りないところがポイントです。
7の倍数全体を考えようとすると大変になってしまうため、一つずつ挙げていくところが、簡潔に解こうとしがちな自分に響きました。
出題は2021年度、一橋大の入試問題からです。
円周率
問題
$${\pi>3.05}$$であることを証明せよ
回答
半径1の円に内接する正12角形を考える。
一辺の長さは、余弦定理より、
$$
1^2+1^2-2\cdot1\cdot1\cdot \cos30°=2-\sqrt{3}\\
\sqrt{2-\sqrt{3}}=\sqrt{2}\cdot\frac{(\sqrt{3}-1)}{2}
$$
よって、
$$
12 \cdot \sqrt{2}\cdot\frac{(\sqrt{3}-1)}{2} < 2\pi \\
3\sqrt{2}(\sqrt{3}-1) < \pi\\
3(\sqrt{6}-\sqrt{2}) < \pi
$$
である。
ここでは、$${\sqrt{6}-\sqrt{2} > \frac{51}{50}}$$を示せば、$${\frac{305}{300} < \frac{51}{50}}$$より十分。
$$
50(\sqrt{6}-\sqrt{2}) = \\
\sqrt{15000}-\sqrt{5000} > 122 - 71 = 51
$$
よって題意は示された。
解説
$${\pi}$$の下界(これより大きいと言える値)を求める問題です。
これは先生から出題され、ルートの評価に悩みながらもどうにか解いたことを覚えています。
自身が恐らく初めて解いた大学入試問題であり、そこまで含めて思い入れのある問題です。
出題は2003年度、東大の入試問題からです。
終わりに
いかがだったでしょうか。
久しぶりに数学関連の話がしたかったので書きましたが、今後は自身が学んでいる内容を自分の言葉で書く練習などもしていきたいと思っております。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回は微分方程式について書くつもりです(予定です)
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