人生ってなんだろう(58)
ルドルフ 「銃後俳句」に今を見る
「戦争が廊下の奥に立ってゐた」
渡辺白泉作の「銃後俳句」と呼ばれる無季俳句となります。渡辺白泉さんが、日中戦争が始まり、太平洋戦争へと向かう時代に読まれた句で、作者の渡辺白泉さんは、戦争をテーマとした「銃後俳句」呼ばれる無季俳句を主に読まれた方となります。そして、その活動の為、後に治安維持法の下投獄され、活動停止を余儀なくされました。
私自身、戦後生まれのノンポリ(死語ですかね)で、俳句を嗜むものでもありませんが、この句の創りだす世界観は、何か今の私の感覚に合っているなあと思い、この句をご紹介させていただきます。
Web上で専門家の方々の解説も多くありますので、この句の詳細な解説は控えますが、ざっくり言えば、日常的な空間に現れる「戦争という名の狂気」を表現したということでしょうか。
高度経済成長期にテレビっ子で育った私からすると、どうも都市伝説やオカルト的なイメージが先に浮かんでしまい、“きっと来るー”の歌詞が頭をよぎってしまいますけどね。
最近はどうも薄気味の悪い感覚が頭から離れず、日常的に、不気味で獰猛な獣に絶えず狙われているような気がしておりました。(被害妄想じゃありませんよ、念のため) 情報は氾濫するほどあるのですが、そのどれもが真偽を疑われる状況は、危険な密林を彷徨っているようです。その辿り着く先に、日常の平穏を破壊する戦争という名の獣が待ち構えているのかなあと思うと、ゾッとしますね。戦争と言っても今行われている物理的なものなのか、心理的な、規制や統制という名の下で行われる抑圧なのかは判りませんが。
他にも、渡辺白泉さんの詠んだ代表的な句を、参考までに上げさせていただきます。
“鶏(とり)たちにカンナは見えぬかもしれぬ”
“銃後といふ不思議な町を丘で見た”
“玉音を理解せし者前に出よ”