人生ってなんだろう(36)
ルドルフ ハフモデルを教わる
人生ってなんだろう(35)ルドルフ 食品スーパーに通う にて小売業のお話をいたしましたので、ついでに小売業の雑学ネタをひとつご紹介いたします。実務として私が携わった分野ではありませんので、ネタとして、気楽に目を通して頂ければと思います。
店舗開発や出店企画に携わる方や、GIS(地理情報システム):マッピング情報をご存知の方であれば、ああ、あのことね、と思われることと存じますが、ハフモデルと呼ばれるお店ごとの顧客吸引力の算出方法のお話です。
出店計画時によく利用されますね。人口密集地から至近で、店舗面積も広ければ、お客様の来店は多いでしょうし、人口密集地から遠く、店舗面積も小さい場合は、来店するお客様は少なくても当然ですよね。
実際は店舗の魅力度が大きく影響しますが、ここで魅力度は、店舗面積、場所の利便性に限定させていただきます。
*魅力度の要素としては、店舗面積、場所の利便性、駐車場台数、営業時間、商品価格、複合施設、交通の利便性、地域のブランド力、店舗のブランド力、取扱商品の魅力などetcなので。
定義内容:
お客様(消費者)は、近くにある大きな店舗へ行くという傾向を前提にすると、店舗を選択する行動は、店舗の面積に比例し、そこまでの距離(時間)に反比例すると定義しているものです。
事例:(粗々をご了承ください)
10000人が暮らす大きな団地があるとします。
そこから、右方向300mの距離に店舗面積1000m2のスーパーYのA店があります。
また左方向には600mの距離に店舗面積2000m2の同じくスーパーYのB店があります。
A支店B支店ともに、築年数もほぼ同じで、お店の外装内装もほぼ同等、メインの取扱商品群もほぼ同等で同額とします。
この場合に、近い場所にあるA店に行かれる方と、品数の多いB店行かれる方の人数は、両店舗ともに5000人の想定が可能です。
この基本を前提に、前述した魅力度をどのように加味していけば、競合店舗より多くのお客様を吸引することが出来るのかと、店舗側の皆さんが苦心されている次第です。本来この定義は数式化されおり、各種魅力度を係数化するなど統計的手法が必要となるものであります。
その内容に対しての、大変ざっくりした説明ですので、何をいい加減な事言っているのだと言われそうですが、あくまで雑学ネタですのでご容赦のほどを。
以前、店舗開発実務者の方からお聞きした話となります。
隣接する同じチェーン店のA店とB店がございました。ほぼ築年数も面積、商品も同じとなります。
ところが、会員カードを基に来店するお客様の住所を地図上にマッピングすると、本来B店の顧客エリアに居住のお客様が、わざわざA店に来店されているケースが多くありました。
不思議に思った担当者が、実際に遠方のA店に来店されているお客様に、直接のヒアリングをされたそうです。
その際に得られたお答えは、下記のようなものでありました。
「B店は入り口に階段があって、降りて入店し、出るときは上らなければならないので、A店へ行ってしまう」
「B店の入り口には階段に商品が並べられていて、何となく入り辛い」
「B店の入り口は暗い感じがする」などといった内容となります。
そこで、ヒアリングを終えた担当者はB店にこのことを伝え、入り口付近の見晴らしを良くし、お花などの飾り付けを行って、明るく清潔感のあるものへと変えたそうです。もちろん階段などは改修が必要ですが、入り口付近の商品を整理し、安全でクリーンなイメージを演出することで、お客様の来店率も多少改善されたそうです。
同じチェーン店でも、常に工夫をしていかないとお客様が離れてしまうことの事例として、伺ったことがあります。
私自身、実務に携わった訳ではないので、本当のところは判りませんが、確かにそうかなと思ったお話でありました。