向き不向きな話
「え、なんでこんなハンドルなの」
「いやいやこれが良いんだって!タイヤの小ささを補う絶妙なバランs」
「変」
「…いや!小径車の欠点である段差の弱さを克服するために、抑え込める独特な形zy」
「使いにくそう」
「……確かに慣れは必要だけど、その分荒地や平地、輪行のしやすさも普通よりも格段n」
「変えた方が良いと思う。絶対」
「………そうだね。うん」
えー、お久しぶりです。ちょいと前に組み上げた折り畳み自転車。忌憚のない評価も聞きたく思い、久しぶりに集まった家族へ紹介(?)をしたところ、冗談抜きに酷な表現を頂きまして…(主に約一名。というか姉上)。
しかし事実は事実。自分も気になっていた部分といえばその通りなので、正直否定もしきれない。率直にいえば、せっかくの利点である折りたたみもし難くなっていたし、クランク周りもクセがあり、万人に扱えるかといえばそうではない。「自分が使うから」という部分で妥協したのも確か。ううむ…。
まぁ何故そこまで悩むかというと、単純に自分以外の人が乗るからなのです。
誰かへ贈与、と言うわけではなく、妹の通学用として。これからの送り迎えの中で、車に積む機会もあろうという母の言もあり、折り畳み自転車で何か良いものはないかと問われていまして。
であるならば、自転車に乗る乗ると言いつつほぼ全く乗れていない私が持っているよりも、妹の通学その他に使う方がより意義があると判断し、今回使いやすいように組み替えようかと思い至った訳なのです。…一回もまともに走れていないことに後悔はあります…が。
道具は使ってこそ価値があると信じて疑っていないので、持ち腐れるよりはるかにましです。
さてじゃあどうするか、と。あいにく我がガラクタ箱の中のハンドルはほぼドロップ系しかない。スワローハンドルをひっくり返してママチャリのハンドルっぽく使うってのも考えたのですが、いまいち乗り味がしっくりこない。というかバランスが取れない…。
元鞘かなぁなんて思いながら、取り出だしましたるはこのハンドル。かつての夜中、師匠の店の手伝いに行き、その労働報酬として現物支給にていただいたものなりける。いやーやっすい男です。
しかし。これがまたなかなかに使いやすく。
写真だと分かりづらいのですが、このハンドルもまた水平ではなく、端に行くにつれ少し傾いている仕様。その傾き加減が車体をほどよく抑え込み、小径車の欠点を程よく補える良ハンドルなのです。
そんなコア(と言われそう)な話は置いておいて。ありものの部品をせっせかと組み付けていきます。もともと使っていたことがあっただけに、作業はいたってスムーズに。すると突如心の声が。
「じゃあ妥協点の最たる部分、ブレーキの音鳴きも止めよっか!」
確かに。自分が使うとなれば「止まりゃ良いのよ!なんならクラクション代わりにならぁ!」くらいの適当さを発揮できるのですが、多くの人にとっては本来鳴らないはずの音が鳴るのは少なからずストレス。気になる人にとってはとことん気になる部分です。ではでは原因追求をっと…。
車輪の掃除→×
ブレーキパッドの表面を削る→×
ブレーキパッドのリムへの接触の角度を調整→×
その他etc…→×
よって原因をパッドのゴムそのものだと断定。しかし日も暮れ時刻は遅く、買いに行く店も閉まる頃。仕方なくガラクタ箱をひっくり返すも、カンチブレーキのパッドなどありゃしない!しかし?
幸いなことにこのパッドはカートリッジ式。固定しているネジさえ緩めれば、アタリ調整位置調整はそのままで新品に変えられるスグレモノ。これならば!
あったありましたにたパッド。けれども同じカートリッジ式とはいえ、うまく合うか?
見たところパッド幅や固定のネジの位置は問題なさそう。どれどれ?
問題なしですかね。ガタツキもぐらつきもない。ネジもしっかり固定できている、と。メーカー違いといえ、こういった互換性を発揮してくれる瞬間はわりかし好きです。
ヨシヨシ。あとはもともと通してあったワイヤーをああしてこうしてと。
完成!
今回、「自分が使っていたものを別の人が使えるように」と言った、通常の貸し借りとは違う感覚での組み替え作業が必要でした。多くの場合、借りる側が限られた中で合わせるケースの方が多いでしょうし。
作業する中で、「あー、結構妥協してたんなぁここ」みたいな部分も多数あり。こういうのを見るたびやるたび、乗る方それぞれの趣向や希望に合わせられる柔軟な心は、得難く離れやすいものなんだなぁと実感します。
本日初乗車する妹の使い勝手に、不向きとならないことを願います。