抱きしめたくなる可愛さ
雲を追いかけているといろいろな雲に出会う
人の顏、動物の顏に似た雲
ときには山並みに似た雲に出会うことも
雲との出会いはとおーい少年時代に戻る
ノンちゃん雲に乗るの小説(石井桃子著)
ノンちゃんは、夢の中で不思議な老人と出会い、雲の上での世界を体験
現実と夢の世界、自分の身の回りの出来事のようです体が震える
読みたくってたまらなかったが買えなかったノンちゃん雲に乗る
古本屋の書棚に並べられたノンちゃん
番台で居眠りしていたおじさんのスキを見て本を盗む
店を出て一目散に学校裏の藪に駆け込む
本を手にしたが読めない
眼も心臓もパクパクして読むどころじゃなかった
2時間くらいしてから古本屋に戻り、おじさんが居眠りしてるのを確かめ本棚に戻して店を出ようとして、おじさんの声をかけられた
「読んだのか」
「…」
「読めなかったか」
「…」
「もってかえって読んでいいよ、読んだら持ってきな」
私は首を振る
涙が溢れる
「ごめんさい」
といって、おじさんを見あげる
「おじさん、お金貯めて買うからとっておいて…」
おじさんはうなずいて、ノンちゃんをハトロン紙に包んで本棚の一番上に置いた
帰宅しても母の顏を見ることはできなかった
新聞配達して母からもらうお小遣いを貯めて半年過ぎて古本屋に
「よく頑張ったな、えらいぞ」
といって、ハトロン紙に包んだノンちゃんとおまけだと、「十五少年漂流記」添えてくれた
ノンちゃんを一生懸命に読んだ
ノンちゃんのように雲に乗って世界中を旅したいと思った
少年から青年そして壮年と年を重ね本を万引きしたという記憶は消えない
消えない記憶を癒してくれるのは空を流れる雲と風
雲は、永遠の友達