
苦手意識は何を守ってくれている?
「そうか! だから、研修や講演が苦手だったんだ!」
マンツーマンのコーチングだけでなく、セミナーのトレーナーとして人前で話をさせていただく機会も増えました。

これまで、講師の仕事は何度となく引き受けてきました。
しかし、講師の仕事に対する「苦手意識」が実はあったのです。
その「苦手意識」があったため、どうしても研修や講演があると気が重くなり、自ら積極的に引き受けることはありませんでした。
ある時、ふと思ったのです。
「『苦手意識』を持つことで、自分は一体、何を避けようとしてきたのだろう?」
そして、自分の中にある「苦手意識そのもの」をじっくりと見ていきました。
「そうか! だから、研修や講演を苦手なものとし、避けようとしていたのか!」
思いがけない発見があったのです。

自分の中に「すべての人に満足してもらいたい」という欲求があることに気づきました。
現実的に考えると、すべての人に満足してもらうことは、絶対に叶えられないことです。頭ではわかります。
さらに探求を進めました。
「『すべての人に満足してもらいたい』という思いの奥にあるものは何だろう?」
奥底にある思いを探っていくと、さらに気づきがありました。
「ガッカリさせたくない。ガッカリするところを見たくない」ということ。
かつて、セミナーで講師をしたときの場面が、フラッシュバックしました。
参加者の一人がとてもガッカリしたように見えて、ショックを受けたときのこと
参加者の中にとても反発する人が出て、セミナーを混乱の渦に巻き込んだときのこと

そういったショックや恐怖が根底にあったのです。
「苦手意識」を持つことによって、無意識下ですが、研修や講演を安易に引き受けないようにしていました。
つまり、苦手意識がショックや恐怖を避けてくれていたことに気づいたのです。
そんな気持ちは、今もあります。
しかし、そういうショックや恐怖を感じたとしても、立ち直れないほどダメージを受けてしまうのかというと、どうでしょうか?
当時はそうだったかもしれませんが、様々な経験も積み重ねてきた今は、きっと大丈夫だ。
そう思えたとき、ふと力が抜けて、「苦手意識」が減ったのです。
そう、「苦手意識」は私がショックや恐怖を体験しないですむように守ってくれていたガーディアン(守護者)だったのです。

ただ、その守護者は、いつまでも私のことを「ショックや恐怖を体験したら立ち直れない弱い存在」と思い込んでいたために、ずっと私を守ろうとしてくれていたのでした。
今も講師を行うことに対する「苦手意識」はあります。
完全に無くなってしまったわけではありません。
そんな「苦手意識」が出てきたときは、守護者にこう話しかけます。
「これまで傷つかないように守ってくれてありがとう。これからもショックで傷つくことはあるかもしれない。でも、大丈夫。それでもそこから立ち直る力も養ってきたから」
お陰様で、守護者も少しずつですが、今の私を認めてくれるようになってきたようです。