意味もなく 勝手にルール
山を登るルートは
その人それぞれに違うのだと
初心者コース中級者コースに上級者コース
コース取りによって
辛く苦しい山行にもなるし
ロープウエイなのか
エスカーなのか
みえる景色も負荷も違う
けれども同じ山を登っているのだと
そんな風に人生にも例えられるけれど
二つの点と点を結んで移動するときに
それが長年通う通勤ルートだったり
長く住み慣れた街だと
自分なりの最適解みたいなのができて
安近短のNAVITIME検索も便利だし
見える景色も固定化する
それでもまあ
久しぶりに通るとギャランドゥじゃなくて伽藍洞
大きな空き地になっていて
無くなってしまうとそこに何があったか思い出せなくて
ああ大きな蔵と楠の木の茂るお屋敷があったのになあと
ワープしてしまったような景色に違和感を覚えるけれど
今朝は書類を提出してから出勤せむと
自転車を南に走らせた
どうせいつもと違う通勤ルートどりをするならと
方角だけ決めて、信号で止まらない方を選んで
とにかくゴーアヘッドアヘッドと
前に前に進んでみることに
マイルールを設定してみる遊んでみる笑
そしたらいつもとは違う角を曲がったり、
曲がらずに直進するものだから
通ったことのない道を自転車が走り始めて
何十年と住んでいる街なのに
ああこんなところにこんな気持ちの良い道があったのかと
新鮮な驚きに出会う
ベストルートでも
ベタールートでもない
そういう風に選んでない道
ただの偶然の連なりが導く道
ふとした思いつきに突き動かされて
見たことのない景色を
背中に汗をかいて
立ち漕ぎして後ろに後ろにと飛ばしていく
オフィイスへと向かう人の流れに逆らって
見慣れたと思っていたのは
私の狭い視野の中での話で
知らない道も景色もそこにあった
青い鳥は探しに行かなくったって
ずっと最初からそこにいたと
メーテルリンクの話を引かなくても知っているつもりでも
やはり遠く遠くへ
知らない世界を探そうとするけれど
一番近くにあなたの知らない世界はあって
それは私自身の内側への
インナートリップだったなと思う夜に