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「あ、これ授業で聞いたやつだ。」 ―「KOSEN-2」で変わった景色。

窪田さんのエピソード前半はコチラです。


 超小型衛星「KOSEN-2」に関わる学生としては、他の高専も含め「最古参では」と自負する、新居浜高専・専攻科1年生の窪田さん。
 軌道投入が叶わなかった「KOSEN-2」の再挑戦プロジェクトである「KOSEN-2R」、さらにそれらの後続機としてプロジェクトが立ち上がった「KOSEN-3」という2つのプロジェクトにも引き続き参加しながら、自身の確かな成長を感じています。

 前回より落ち着いてやれてますね。展望が見えているというか。自分でできる範囲というか、自分が開発できる範囲が広がったなという感じはしますね。(KOSEN-2の)最初の頃は、人から与えられて、課題を与えられてそれをただやってた感じでしたけど、今は自分で考えて、あれやった方がいいかな、とか、これはまずいかなというのを考えることができて。自分で考えて開発できるようになったのは大きいかなと思いますね。他の高専が今までやってたことが自分に回ってきたりとか。
 自分ももう、参加メンバーの中では長い方、下手したら一番長いかもしれないので。

 「KOSEN-2」を一緒に開発していた研究室の同級生メンバーも、二人三脚で開発を進めた当時の指導教官である今井雅文さんも、新居浜高専を離れた。しかし、心強い後輩ができました。

 一緒に「KOSEN-2」をやってた人は、3月でみんな卒業したので。いまは、2年生の子と一緒にやってますね。僕がトレーニングしてるというか。こういうものを作りたいから、ということで、実際に課題を与えたりして。僕がどきどき助言しながら、実際には彼に手を動かしてもらって。大変ですね。正直、自分がやった方が早いというのはありますけど(笑)。
 彼は本当に純粋に宇宙が好きで。自分が要求していることはレベルが高くて、それは僕自身も自覚してるんですけど、それでもちゃんと吸収して、ついてきてくれて。その子は、中学生の時に「KOSEN-2」のことを知ってくれて。で高専入って、入学直後に今井先生のところに来て「衛星のこと、なんかやりたい」と。

 できることが増えて、主体的に開発を進めることができるようになった。自分が一番の手本になるべき後輩もできた。すると、新居浜高専での日常生活全体も、どこか色鮮やかになっていくようでした。

 プログラムの背景にある理論とかは、高専の授業で徐々に習っていくんですけど、(後輩の学生は)2年生なんでまだあまり知らなくて。だからちゃんとそういうこととセットで、というのは念頭に置いてますね。そうやって教えていると、自分がなんか、理解してるようで理解してなかった部分も初めて見えてきて。
 学校の授業で習ってること、電気情報工学科と宇宙とのつながりって、普段はあまり見えないと思うんですけど、学校で習ったこととか、実験でやったこととかがちゃんとベースになってるなというのを改めて感じますね。プログラムとかも、学校の授業で習ってることがベースになってたり、通信分野でも、概要の部分というか、基本的な考え方は学校の授業で習ってるという状況なんで。「これ、授業で習ったやつだ」みたいなのが、実はどんどん出てきましたね。

 とはいえ、「KOSEN-2」など衛星開発に関わるための知識については「授業で習うものが3割か4割、残りは独学」と話す窪田さん。いざというときに頼りになるのは、オンラインでつながる開発メンバーたちだと言います。

 いまは「KOSEN-2」では研究室のみんなでやってた作業を、なんとか一人で回せる感じにはなってますね。なんとか維持してる、というか。
 でも本当に困ったら、自分で頑張って調べても解決できなかったら、いまはオンラインで毎週会議をやってるので、そこで相談して。ほかの高専の学生とか先生が入ってるんで、最終的にはそこで共有すれば、なんとかなるだろうという感じですね。
(そういうのを聞いてると、人に伝える能力もものすごく必要な感じがします。)
 ほんとにそうですね。自分の言葉だけで、自分の直面している問題や課題を伝えるのってけっこう難しいなと思いますね。だから、物事を冷静に、詳細に分析できるようになったのかな、とも感じますね。

 来年には専攻科2年となり、正真正銘、新居浜高専の在籍最終年となる窪田さん。改めて、長く心血を注いできた「KOSEN-2」をはじめとした衛星開発プロジェクトを、笑顔でこう振り返ります。

 ほんとけっこう、高専の生活が楽しくなりましたね。忙しさも変わってきて。充実はしてますね。時間は奪われまくってる感じだと思うんですけど、自分はまあ、それでいいと思ってるんで。

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