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なげやりくん奮闘記② -「これで僕のロボコン人生終わるんだ、と思って見てますから。」

その①の続きです。


 大会直前でのロボット作り直しや、当日の計測でのサイズオーバーなど、数々の困難を乗り越えて試合当日を迎えたAチームの面々。部長の末永さん、箱回収ロボットの菊池さん、発射ロボット操作の高市さん。そして、ピットに控える5年生の守屋さん。
 予選ブロックは3校総当たり。1試合は2分半。それは、メンバーによって「長い」とも「短い」とも感じられる、緊張の2分半でした。

 短かったですね。
僕はロボット2台あるので、一人で2台の操作は難しかったですね。ボールを運ぶロボットと、飛ばすロボットがあったので。
 ロボットがある程度動いてたので、動かしてる最中は時間が経つのは一瞬です。去年なんかは、ロボットが動いてない時間が長かったので、それはそれは長かったですね。

 と振り返るのは、部長の末永さん。ピッチングマシンのようにボールを発射するロボットと、そこにボールを装填するロボット、2台の操作は予想以上に難しかったですが、ある程度動いていたからこそ、悔しさも増したようです。

 去年は準優勝で悔しかったですけど、決勝戦まで行けて「来年頑張るぞ!」と思えて。2年前は、設計に根本から無理があったので。
 でも今年は動いたんです。ボールも投げれて、行ける可能性が全然あったんで。ボールを装填はできて、
(装填と発射の2台のロボットが)近づくことはできて、ただここで、本当に悲しい事件が起きて、動かなかったんです。なんでかっていうと、あるパーツを固定するネジを、本番直前のメンテナンスで締め忘れて、抜けちゃって、ギヤがかみ合わなかったんです。
 もし、40点に着地してちゃんとギヤが回ってたら、勝てるビジョンもあったので。とっても悔しいですね。

 動くロボットができたからこそ悔しい。勝てるビジョンがあったからこそ悔しい。それは、Aチームで操作を担当した他の2人も同様でした。

 1試合目で、ボックス回収するロボット飛ばすときに、「これくらいの向きだったら行けるだろう」と思って飛ばしたら、40点すらいかない、10点で。「しまった!」と思って。
 練習不足だと思うんですけど、ロボットが思ったより飛ばなかった。ぶれたりゆがんだり、総じて右曲がりだったんです。
 10点に入った時は、やばいなと。まあ、何も考えれなくなりましたね。

 こう振り返るのは、ロボット発射を担当した高市さん。発射したロボットの着地地点に応じた加点と、ロボットがボールやボックスを持ち帰ることによる加点があるのが今年のルール。四国地区大会でも、着地地点での得点が結果を左右した試合が、新居浜以外にも確かに何試合もありました。

 (大会公式練習で)体育館で飛ばした時に、このロボットが1回だけ、(着地加点の)100点ゾーンに乗ったんですよ。それがむちゃくちゃ嬉しくて。
その続きでボックス回収に行ったんですけど、ロボットの操作性が悪すぎて、だめかもなこりゃ、とも思って。
 でも、1回は箱を本体に入れて、飛ばし返せたんですよ、だから一連の流れはできてたんです。だから、悔しかったですね。

 このように振り返るのは、本番2日前に機構を一新したロボットで箱回収ミッションを担った、菊池さん。公式練習での「100点」着地は、菊池さんだけでなくチーム全体に活力と「全国」への光を、ひととき、与えました。

 操作を担当した出場メンバーが、このように2分半の「短さ」を感じる一方、ピットで見守る制御プログラム担当の5年生・守屋さんの受け止めは、少し違いました。

 僕は、ピットなので後ろから見てる側ですけど、くそ長かったですよ。
 何か起こるたびに「ああ」と思いながら。ほとんど涙で前が見えてなかったですから、気づいたら終わってた感じで。ぼくはもう、これで僕のロボコン人生終わるんだ、と思って見てますから。涙で前が見れなかった。なんか分からなかったですけど、1試合目の途中くらいから涙が止まらなくて。
 あ、そうだ、1回目の試合の時に、
(ロボットをタブレット操作するための)ネットワークに繋いだら、見たことないエラーが出て。
 それで冷や汗が止まらなくて。それで1分くらい前、本番フィールドにロボットを持っていく1分くらい前に、ようやくいつも通りの画面になって。それでほっとして、涙腺が崩壊したというのはありますね。
 2試合目は、ほんとに最後だなと思って。もう、ロボット持っていくちょっと前から、泣いてましたね。

 1試合目は、香川高専詫間キャンパスBチームを相手に10-40。
 2試合目は、高知高専Bチームを相手に40-0。
 新居浜高専Aチームは、1勝1敗で2024年大会を終えたのでした。

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