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「悔しいのは、頑張りたいという意思に変わりましたね。」 -同級生と見据える、僕らの未来。
前編から続きます。
部活に行けない日もあったので。(学生寮が閉鎖される)夏休み中とかも、多くて週3・4とかだったので、みんなに指示を出すとかではなく、任せっきりになってたので。みんなに頼ってたので。立場としては逆であるべきで「もっとこうした方がいい。」とかアドバイスとかをすべきだったかなと。だから、リーダーとして、ちゃんと毎日部活に来て、ロボットのことも把握して、みんなの作業のことも把握して、というのをもっとしとけば、と思いましたね。
こう語るのは、ロボコンBチームでリーダーを務めた2年生・山本陽永さん。小学校から「ロボット開発技術者になりたい」という夢をもつ彼は「まずは学校に慣れてから、ロボコンに専念したい」と、1年生の最後の頃に入部した経歴を持ちます。そんな彼がリーダーを務め、2年生と1年生が中心のチームで作った自チームのロボット「ポップコーン」は、十分に機能を発揮できず敗退。その悔しさが「来年」への意思に変わった、と言います。
当日はめっちゃ悔しかったですけど、一週間くらい引きずって。でもまあ、いい経験ができたので。やっぱり、自分に足りなかったこととか、そういうのを見直せた。そうしたら来年こそ、もっと行けるんじゃないかと思って。だから、悔しいのは、頑張りたいという意思に変わりましたね。
一人のロボット開発者として、またチームリーダーとして「反省」を語る山本さん。しかし同級生のチームメンバーは、彼に確かな信頼を寄せます。
リーダーの山本くんとは、同級生で寮も一緒なんで。設計を担当して、ちゃんと連携が取れて、最後はやり切れて、自分で何ができて何ができないか、というのを自分でちゃんと把握しているリーダーだったので、できないことは周りを頼ってくれる部分も多かったので。そういうのは素直にうれしかったし、だから一緒にやっててよかったです。
能力の面では先輩のサポートがもっと欲しかったな、というのは思うんですけど、同級生だと気をつかわなくて済むし、仲も深まるし。楽しかったし。だから、このメンバーで楽しかったですね。僕は。
このようなリーダー評を語る、Bチーム設計担当の鵜久森さん。同級生だからこその連携の深さが、ロボット開発プロセスを振り返った時の充実感の源でした。
2024年大会で、Aチーム・Bチーム問わず「ロボ研」全体のブレーン的存在であった上級生、専攻科の脇さんや5年生の守屋さん、沖野さんなどが口を揃えて「ポテンシャルがすごい」と語る、山本さんや鵜久森さんたちの現・2年生世代。たしかに、彼らの語る言葉にはロボコンに対する確かな熱意と、このままでは終わらないという意思が、みなぎっています。
アイデア自体は、けっこう強豪校のやってるアイデアは自分たちの中でも出ていたので、来年に向けてはそれを「実現できる力」を磨きたいですね。
僕は「オールラウンダー」を目指したいんです。僕は学科が電気系なので、「回路」をつくる楽しさは知ってるので、それ以外の「制御プログラム」とか「設計」とか、いろんな分野の楽しさを知りたいなと思っているので。だから今回の【脇ロボ】は、全部自分でやりたいと最初から思ってて。だから、いまは全部やってみたい、という気持ちが強いですね。
こう語るのは、Bチームで安全管理担当を務めた髙井さん。
他の部員が「中学生のころからロボコンをやっていた」や「高専には、ロボコンをやりたくて入学した」などとロボ研入部の経緯を語ることが多い中、上級生中心のAチームでロボット操作に抜擢された高市健永さんと「学生寮で同部屋だったから」というきっかけで入部した、異色な経緯の持ち主です。
彼の言葉に登場した【脇ロボ】というのは、専攻科1年の脇さんが主催する、部内のロボコン大会。「地区大会で使用したAチームの発射ロボットからロボットを発射し、発射された先で風船を割る」というミッションをこなすロボットを、個人で開発しても、複数人で開発してもOK、というルールで実施される大会です。
オールラウンダーを目指す髙井さんが、この【脇ロボ】に「全部自分でやりたい」と臨んでいるのには、理由があります。
僕が一人でやるのを決めたのが、さっき言った「他の開発パートの楽しさを知りたい」というのもあったんですけど、Aチームの菊池君と入部がほとんど同じで。彼は、去年も今年もAチームで、差があるんですけど、勝手にライバル意識があるので。彼がひとりでやるんだったら僕も一人でやろうと。だから彼を倒したいなと思って。
彼は(ロボットを)スマホで操縦するから、僕はそれを追いかけるんじゃなくて、別にコントローラーを作ってアピールしようと思って。設計とは関係ないんですけど、回路と制御も頑張ろうと思って。
髙井さんがライバル視するのは、同じ2年生の菊池海梅さん。
四国地区大会では、上級生中心のAチームで「箱を帰還させる」ロボットの設計と製作を任された一方、今回の【脇ロボ】でもすでに、ドーム状の機体に落下の衝撃吸収機構をつけた独創的かつ確実性の高いロボットを完成させている、見るからに知的好奇心旺盛で、ロボット作りの好きそうなメンバーです。
Bチームで絆を深めた山本さん、鵜久森さん、髙井さん。そして、彼らと同じく2年生ながら、Aチームで上級生に混ざり自分の力を発揮した菊池さんと高市さん。
Bチームのリーダーだった山本さんは、このように多士済々な同級生メンバーを見渡し、こう言います。
僕は正直いうと、来年はメンバーが結集して本気出せば、全国行けるんじゃないかと思いますね。みんな思いが強いので。やるときはやる。大会とかが終わるたびに、みんなやっぱり、自分の能力を向上させたいと思ってるんだ、というのは感じるので。そういうのを考えてやってるというのが、見てて分かるので。だから全員集まったら、全国に行けるロボットを開発する力は全然あると思うので。僕は正直、思います。
新居浜高専ロボコン部が、先輩の果たせなかった「全国」への夢を実現するのは、そう遠くないのかもしれません。