新居浜高専で「鳥人間コンテスト」に毎年挑戦している「鳥人間航空研究部」の顧問を務める機械工学科・松田雄二教授。子どもの頃にテレビで見て、学生の頃には授業で聞いた「鳥人間コンテスト」出場は、1992年の新居浜高専着任以来の夢でした。
自身が顧問を務める部活動として動き出した、新居浜高専の「鳥人間」への挑戦。「ずっと出たかった」という自身と同じ夢を持つ学生は、少ないながら集まり始めました。
メンバーは集まった。東予の産業を活かす、という機体製作のコンセプトも決まった。しかし、高専生のモノづくり教育を念頭に置いている「ロボコン」や、幅広く出場チームを募っている「エコラン」と違い、「鳥人間コンテスト」はエンタメ番組制作のための大会。枠も限られている中、出場は容易ではありませんでした。
ようやく初出場が叶ったのは、2007年。
チーム名は、当時の部員たちが「渡り鳥」という意味の英単語から採って「Team Migrant」と命名。出場したのは、初心者にも門戸を開くために当時設定されていた「滑空機部門フォーミュラクラス」で、結果は8位。飛行距離は34mほど。2024年大会で645mという歴代最長記録が出た滑空機部門で、決して長いとは言えないその飛行距離は、言うなれば「ふわっと着水しただけ」というものだったかもしれません。
2007年の初出場以来、2010年代前半には連続出場を果たすなど、軌道に乗っていた「Team Migrant」。
しかし、大会への出場は2017年を最後に、遠のいてしまいます。
2017年に1年生で「琵琶湖」を経験した後、専攻科に進学して新居浜高専7年目となっていた学生もついに、2024年3月に新居浜高専を卒業。「琵琶湖」を知るのは、顧問である自分だけ。そんな自分にも、定年退職へのカウントダウンが始まっている。
そんな中でも、松田先生は「鳥人間」への熱を保ちつづけます。
自らの熱意は冷めない。しかし出場機会に恵まれず、「学生になにか、出場機会を」と代わりに取り組み始めた「エコラン」や「海上自転車」に、学生たちの気持ちが流れていってしまう。そんな歯がゆい現状を、このように言葉にします。