出産後自分自身にも早めに必要なワクチンを
今度は出産後の女性のことを取り上げてみます。
妊娠中に採血したと思います。その時に感染症の検査もしています。風疹・B型肝炎・HTLV-1・HIVなど。その他麻疹・おたふく・水痘・トキソプラズマ・サイトメガロウイルス・梅毒など…
これらの感染症の中には、妊娠中に感染すると胎児に悪い影響が出たり、早産・流産の原因になるものもあります。妊娠中には罹らない対策が必要ですし、予防できるものは予防した方がいいでしょう。
風疹・麻疹・おたふく・水痘は子どもの病気と思われているかもしれませんが成人でも感染します。2013年日本で風疹が流行しましたが、これは昔男児に風疹ワクチンを接種していなかったことが原因です。未接種の男児が成人になってからに風疹ワクチンに罹り、パートナーを含め周りの妊婦に感染させ、胎児が先天性風疹症候群になった例が多発しました。
中には、ワクチンを接種しない主義の母親が妊娠中、胎児のキョウダイから風疹に罹ったという例もあります。
もし、妊娠中麻疹・風疹・おたふく・水痘の抗体が低ければ、出産後速やかにワクチン接種をしましょう。次回の妊娠、それから、周りの新しい妊婦さんのためにです。これらの生ワクチンは、妊娠中の接種は禁忌ですし、接種後二ヶ月は避妊をお願いしています。しかい、接種後妊娠が発覚して、胎児への影響が有意に出たということはありません。授乳中でも接種は問題ありません。
風疹抗体値が低ければ、出産後ワクチン代を助成してくれる自治体もあります。また、風疹単独ワクチンよりも、麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)を接種することをおすすめします。
また、パートナーにも接種をすすめましょう。男性は禁忌がなければあなたの妊娠に限らず何時でも接種できます。男性の場合は風疹ワクチンを接種していないことがほとんどなので、抗体価を測らずにそのままワクチン接種したほうが効率がいいです(感染歴があってもワクチン接種禁忌ではありません)。
ワクチンで予防できない感染症にも気をつけていきましょう。「母体の症状は軽微であるが、妊娠中の感染によって胎児に奇形または重篤な母子感染症を引き起こす恐れのある疾患の総称」をトーチ症候群(TORCH)といいます。今の日本では、サイトメガロウイルス・トキソプラズマが問題になっています。
先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会「トーチの会」に「妊娠中の感染予防のための注意事項 - 11か条」というのがあります。ぜひお読みください。
妊娠中の感染予防のための注意事項 - 11か条
1. 石鹸と流水で、頻繁に手を洗ってください。
2. 小さな子どもとフォークやコップなどの食器を共有したり、食べ残しを食べることはやめましょう。
3. 肉は、しっかりと中心部まで加熱してください。
4. 殺菌されていないミルクや、それらから作られた乳製品は避けましょう。
5. 汚れたネコのトイレに触れたり、掃除をするのはやめましょう。
6. げっ歯類(ネズミの仲間たち)やそれらの排泄物(尿、糞)に触れないようにしましょう。
7. 妊娠中の性行為の際には、コンドームを使いましょう。
8. 母子感染症の原因となる感染症について検査しましょう。
9. B群溶血性レンサ球菌の保菌者であるか検査してもらいましょう。
10. 感染症から自分と胎児の身を守るために、妊娠前にワクチンを打ちましょう。
11. 感染している人との接触を避けましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?