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フシギナパラダイス 2話 不思議な鳩 5/8 【期間限定公開】
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鳩に紛した神様のはしゃぎようは、異様だった。
「ルイさんルイさん!すごいですよ!」
町に来てすぐは、人の多さに驚き、
車を見ては、馬をつながなくても動くとはしゃぎ
そして、テレビを見かけると、箱の中で人が動いていると大喜び。
本当に今の時代のことはよく知らないみたい。
だけど…
「はいはい、よかったね。」
私はそんな神様の相手をする元気はなかった私は、適当に神様をあしらった。
「ルイさんまだ気にしてらっしゃるんです?」
「…結構楽しみにしてたからね。」
本日の私の町の予定というのは、お気に入りのショップでついこの前発表された新作の服を購入するためだった。
入学式前日のなるちゃんの買い物の手伝いをした時にもらったお駄賃は、夢ではなく現実だったらしくて、ちゃんと受け取って貯金箱に入っていたので、新作の服が買えるんじゃないかと思って学校帰りにショップへ行くつもりだったのだけけど、
まさかの消費税分が足りなくて、お目当の服が買えず、私は撃沈していた。
「…神様のご利益あるかな…と思ったんだけど」
「そんなこと言われましても…僕富の神様ってわけじゃないですからねぇ…」
そういえば、神様といえど万能じゃない的な話してたっけ。
「まあまあ、落ち着いてください、こういう時は何か召し上がられてはいかがですか?食べるものたくさんありますし…」
「別にいいよお金勿体無いし…家で何か適当に…」
私は気を使ってくれた神様の提案を金銭面上の都合を理由に丁重にお断りしようとしたけど…
「…」
つぶらな瞳で神様は見つめて、
「あそこに、『はんばーがー』って食べ物がありますよ」
と私に訴えてきた。
励ましは表上の理由で、実際には自分が食べたいだけらしい。
そうか、この町を見てはしゃいでいる神様が、異国からやってきた食べ物に興味を持たないはずがないよね。
でも、ここで買い食いは無駄遣いになってしまう。
「神様がお金を生み出してくれるんだったらなんでも買ってあげるよ」
「えーちょっとくらいいいじゃないですか。」
「だって、私が神様に食べ物おごる義理ないもん。家にあるものだったら検討してあげるけど。」
「つれないですね…」
そういうと神様は頬を膨らませてふてくされる。
確かに今日服は買えなかったからお金は浮いた。
でも、このお金を貯金すれば次回の新作でもっといいものを買えるかもしれない。
祟られたって、お金を無駄にしてはいけない!
「どうしてもですか?」
「ごねられてもダメ!」
私は神様に背を向けて家に向かって歩き始めた。
その時、
「続いてのニュースです」
テレビの音が耳に入ってきた。
歩いているうちに、いつの間にか家電ショップの前にきていたみたい。
画面には女性キャスターが、午後のローカルニュースを読み上げている最中だった。
いつもだったら見たとしても一瞬で、その店の前を通り過ぎるところなのだけど、今日はふと足を止めてしまった。
読み上げられているニュースが、この町のことだったからだ。
「連日お伝えしている、行方不明者の報道ですが、〇〇町で、また一人、新たな行方不明者が出ました。
4月入ってからの行方不明者は、これで合わせて9人目で、警察は誘拐事件として捜査を進めています。新たに行方不明になったのはー…」
あぁ、これ張り紙のとか、今日先生に注意されたあの誘拐事件の…また誰か誘拐されたんだ…
本当に、なんか物騒になったなぁ…誘拐犯の目的って本当になんなんだろう。
まぁ、私が考えてもしょうがない…なんて、心の中で悶々と考えている時
「…いつからです?」
神様が、静かにそう呟いて私に聞いた。
「…どうしたの?この事件に興味があるの?」
「なんでもいいから答えてください!行方不明者が出ているのはいつからです!?場所は!?」
鳩の姿にも関わらず、神様からの威圧を感じた。
よくわからないけど、何かを焦っているような…危機感を感じてるような…そんな雰囲気を感じた。
「…4月入ってからずっと…毎日一人は行方不明者が出てるの。ニュース見てると警察は誘拐って方向で捜査してるみたい…でも行方不明の人たちに共通点はなくて…」
「…まさか」
私の話を聞いてそう呟いた直後、ニュースキャスターの女性は、昨日行方不明になった人の情報と、最後に目撃された場所が公園であるということ、行方不明者を発見し次第連絡をと呼びかけていた。
そして、その行方不明者が最後に目撃された公園の場所を聞いたと同時に、声をかける間も無く、神様は翼を羽ばたかせて飛び立っていってしまった。
「ちょ、どこいっちゃったの…」
私はその様子を唖然と見送るしかない。
でも、神様は一体どうしたというんだろう。
ついさっきまで、初めて見た町の様子に興奮して喜んでたのに…あのニュースを聞いた途端血相変えちゃって…
その理由を考えていると、ふと昨日神様から説明された話を思い返していた。
まさか…さっきまだ余裕あるっていってたし…
…別に、仮にそうだとしても、私が神様のこ時にする義理もない。
それでも、私は無性に神様のことが気になった。
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