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無理しなくなったエリオットラモス

来る現地時間7月16日、オールスターが開催されますが我がサンフランシスコジャイアンツ(以下SF)からエースのローガンウェブ、そしてエリオットラモスが選出されました。

ローガンウェブも掘ればいくらでも話題はでると思いますが今日はラモスのお話。

今年のブレイクまで(気になる方だけ)

ラモスは2017年ドラフトで1巡目19位で指名されました。典型的な身体能力が高い打者で公式のプロスペクトランキングで毎年Top100に名を連ねるトッププロスペクトでした。
課題のアプローチはあまり改善されず身体能力で結果を残しつつあった2022年にMLBデビューしました。MLBレベルでも当たればすごい打球を飛ばしハイシーリングな高卒生え抜き野手という魅力はたっぷりなのでファンからはだいぶ支持されていましたが…
去年今年と降格したPCLでは打高環境からかよく打つな…と思っていましたが今年ついにMLBでも大活躍、ある点からこれがいつまで続くのかと懐疑的でしたがそれがずっと続いています。

今年何が変わったのか

やはり一番変わった点はアプローチが格段に良くなったことです、三振率を下げ、四球をしっかり選べています。今年の再昇格から1ヶ月くらいは三振率が30%を超えてたはずなので出場するごとにMLBにどんどん適応もしてきているのかなと思います。

上から2022,2023,2024年


そしてハードヒットは50%超えと強い打球は継続して打てています。そんな魔法みたいなことあんの?と思いますが彼の場合少し特殊です。彼の打球方向関連のデータをご覧ください。

上から2022,2023,2024年

まずFangraphsでもすぐわかるように今年は引っ張りの打球を減らし、センターから逆方向が多くなっています。ラモス以上の打席数でこれより引っ張り方向の打球が少ないのはTEXのナサニエルロウのみで、右打者では彼が最低です。
ここが自分としては「え、引っ張り方向が一番力強い打球じゃないの??」という先入観がありそれが彼の活躍に懐疑的になっていた理由だったのですが、なんかずっと活躍してますね。


出場数に違いがあるため単純に比較はできないと思いますが、2023年は彼も引っ張ることを意識しており、それができたからHRや長打になっていると思ってました。(というか引っ張り意識しても逆方向に長打が出ているあたりなんか抗えないものを感じる…)
しかし今年、7/8日現在12本のHRを打っていますが引っ張り方向は3本のみ。長打で見てもあまり引っ張り方向にはないように見えます。
ではなぜ数多の打者が引っ張ろうとする中、ラモスは流し方向の打球を増やしたのでしょうか??

反対方向に…打ちたい…!

答えは単純明白、反対方向に打つのが得意だから。
その理由は我々ファンはおろか、彼自身もなぜそうなのかわかっていないようです。

上の記事から抜粋しますと"Since I was little, I was always good at hitting the ball the other way. I didn’t know how, but I was good doing it."と言っているので彼のバッティングにおける癖なのかなと思います。そう言われると確かに彼のプロスペクト時代のHRも逆方向の打球をよく見た気がします。https://x.com/beisboldepr/status/1150949991659331584


それを打撃コーチのジャスティンビールとアナリストに相談した結果、それならそのまま打ってアプローチをよくしていけば結果が出るという指導・調整に切り替えたようです。そのアプローチを良化させた方法はなんなんだよと私も思いますがもちろんそんなもの公開してくれないので以下私の考察になります。

7/2 ATL戦のHR

…非常に見にくいですが彼が逆方向のHRのスイングにおけるインパクト時の画像です。もちろん逆方向に打っているんで当たり前なんですが結構後ろで捉えています。

もちろん上のジャッジのHRは引っ張りなので前で捉えているのですが今の打者の大半はこのジャッジのように前で捉えて引っ張りの強い打球を打つというのを目指していると思います。(佐藤輝明のドライブラインでの指導とか)
ただラモスは逆方向の方が得意なのでヒットポイントを後ろにすることができ、それで投球も見極められてるのかな…と考えています。(違うぞと言う方は色々教えてください。) 
あと、今年から娘が産まれ、父親としての責任を感じているのも成績向上につながっているそうです。父親はすごいですね。

ラモスを真似すべき打者は?

ここまで書きましたが私は基本的に打者は引っ張りの強い打球を打つべきと思っています。でもそれで躓いているなという打者の中で今のラモスのようになれる条件は
まず大前提として逆方向を打つのが得意であること、引っ張りができないからと言って変に逆方向の打球を打つように矯正させるのは本末転倒です。
次にバットスピードが速いことです。

ラモスはバットスピードがMLBでも最上位クラスであり、今まで当たれば飛ぶ状態だった彼が逆方向という本来自分の得意なスイングをできているので多少詰まってもヒットになりやすい状態なのかなと思います。
逆方向を狙っていると言っても打球はセンター方向が多いので今の状態がだいぶ合っているような気がします。
あくまでラモスになりたいという話であって首位打者とってた頃のルメイヒューとか他諸々はまた別の話になってくると思うんで省きます。

今後の課題、そして球団として

今までの話を聞いてもらってまず彼に立ち塞がる最も大きな障害といえば本拠地オラクルパークです。あの壁により伝統的に右打者のHRを阻んでいますがそれだけでなく海からの風によりHRどころかフライアウトになってしまう問題があります。しかし彼はどんな球も緩めずスイングできているためライトフェンス直撃の打球や、フェンスがとても深くなっており外野手が打球に到達しにくく三塁打が出やすい右中間の"Triples Alley"にしっかり打球を飛ばせれば、スプリントスピードも戻ってきていますし長打を量産でき、あわよくば右打者初のスプラッシュヒットも目指せるのではないかなと考えています。

もう少し経つと彼の打球方向が研究され、シフトが組まれることによりゴロのシングルヒットがだんだんアウトになっていき今ほど成績は残せなくなってくると思いますが、とにかくこのまま強い打球打っていけば今後もオールスター級の活躍をできると思います。

また球団組織の話で言うとSF傘下で反対方向の打球が増えているといえばこちらも永遠のSF野手トッププロスペクトであるマルコルシアーノが思い浮かびます。彼も同じ好み…とは正直思えず打ち方的に引っ張りの方が得意やろとは思ってしまいます。ラモスとは違って超速いバットスピードでというよりはしっかり当ててハードヒットを量産するタイプですし…(これはこれですごい能力だと思います。)
逆方向が得意というラモスのような記事が出るかもしれませんので真相は不明ですが彼も昔より格段に四球を選べているので球団として何か意識していることがあるのかもしれません。(ただ彼の場合は長打が少なくなったのが大きすぎる問題)

大きな一例として

去年まではポテンシャルを活かすべく無理に引っ張りの打球を増やす、そのためにスイングを変えたり増量したりしていたそうです。無論今までの打撃指導が間違っていたとは思いません、事実いろんな媒体で「反対方向にも強い打球を打てているためもっと引っ張りの打球が増えると…」のような書かれ方をされていました。なのでそれが合っていなかったと気付けただけでも彼にとってまたSFにとって大きなことだったと思います。
増量した結果、アスリートタイプだった彼のスプリントツールがどんどん落ちていき両翼の大砲タイプになるのかなと思いました、が、今年はキャンプまでに減量したそうでそれによりスプリントスピードも戻り、足が速いと言っていい選手となりました。守備でもメイズの背番号である24着用の試合で「ザ・キャッチ」を彷彿とさせるような軽快な動きを見せるなど打撃の改善が守備・走塁にまで好影響を及ぼしています。(もちろんポテンシャルがありましたが)

https://x.com/SFGiants/status/1805451076705075338

前半戦が終わりますがこのままの調子でシーズンを終え、今年25歳とまだ若いのでこれからもまだまだ成長していってほしいです。

正直このラモスの例が絶対正しいとは言えませんがこういうアプローチもあるんだなと思いました。
野手の育成って難しいですね


https://www.nbcsportsbayarea.com/mlb/san-francisco-giants/heliot-ramos-surge-veterans-return/1740795/






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