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パトリック・ベイリーはなぜ神なのか

初めまして、サンフランシスコジャイアンツファンのあかです。ジャイアンツファンにおかれましては今年あまりいいニュースもないので一つ布教も兼ねたベイリーの紹介をしたいと思います。

今年の昇格まで・・・

ベイリーは2020年のドラフトでサンフランシスコジャイアンツ(以下SF)から1巡目全体13位で指名されました。2年前の18年ドラフトの1巡目2位で同じく捕手のジョーイ・バートを指名したので当時は少し話題になりましたね。右投両打で20-25本見込みのパワーとスカウティングレポートでArmとFieldが55の守備が見込まれていました。
2021年シーズンをもってフランチャイズの大スターであり同じ捕手のバスター・ポージーが引退した後、2022年シーズンはバートが正捕手でしたがなかなか成績を残せない中ついに2023年の5月19日にメジャー昇格となりました。

守備以外ざっくり

97試合 打率.233 7本 48打点 OPS.644 wRC+78
最終成績だけ見るとちょっと物足りないなという印象なのですが7月はベイリー以外も大不振であるのと同時に彼はマイナーで今まで最高83試合しか出場していない中、今年AA,AAAで共に14試合出場してからMLB昇格しこの試合数なので息切れしているなという感はありました。
実際彼も「今まで経験したことないほど肉体的にも精神的にも疲れている」とメディアにも言っているので(それでも監督がずっとスタメンで使ったのですが…)来年は1年通して怪我せずにうまいことバート、セイボルと併用しながら走り抜けて欲しいですね。

あと彼はすごくいい場面で打つので指標として信頼はしてないですがこんな結果だったという紹介をすると得点圏で.330 3本 OPS.970と超強打者に変貌します。
チームメイトのウェイドjrもだけどなんでこんな一場面で突出した成績をみんな残すのか…

守備編

はい、ここから本編です。みなさんご存知の通りベイリーは今年ルーキーにしてナ・リーグゴールデングラブ賞のファイナリストに選ばれました!!!(受賞者に目を背けながら)


Baseball Savantより

はいブロッキング以外真っ赤かですね、特にフレーミングは両リーグ通して1位です。先ほど紹介した打撃成績でfWAR2.8も稼いでいるのでFieldingのValueがものすごいことになってますね。ブロッキングは低い値ですがSF投手陣のタイプ的にあまり問題にならないと思ってます。
これは贔屓とかではなくベイリーは両リーグでトップクラスの守備能力をもつと言えると思います。その守備の凄さをざっくり3つの部門に分けて紹介したいと思います。

フレーミング

球界一と言っていい彼のフレーミングの技術を一々説明するのもなんか違うなと思うのでSFのフレーミング指導について軽く語っていきます。
それにあたっては今年までキャッチング・ブルペンコーチだったクレイグ・アルベルナズは避けて通れません。

アルベルナズの指導動画です。他にも色々動画があるので見てもらいたいのですがこの方法以外にもいろいろな道具を使った練習法を知っている点、練習中もすごくいい雰囲気で指導しているのがわかりますね。

SF捕手陣のフレーミング

もう一つフレーミングの指導に当たってはブライアン・バニスターピッチングコーディネイターも欠かせません。SFの捕手は上の画像の通りZone16、つまりプレートの右側のボールのフレーミングが上手い傾向があります。これは先の動画でも話されていた通り2023年サイ・ヤング賞投票2位のローガン・ウェブのシンカー(遅チェンジアップ)を想定されています。
これは一例ですがバニスターが投手の変化球や配球などを指導していく中でアルベルナズは彼と連携していきSF投手陣に合うフレーミングの指導法を選択していく、つまりコーチ間で連携を取りながらチームとしてフレーミングの指導に当たっていたということです。
このようにSFでは捕手のフレーミングをチーム内での大きな課題としていて、キャプラーも指導中何度も視察に向かっていました。その中でベイリーは指導内容を取り入れるのが上手かったからか、全ゾーン満遍なく上手くなり球界一のフレーミング能力を手に入れたことになります。


まぁ2人とも来年からいないんだけどな!!!


盗塁阻止

まずベイリーバズーカ集をご覧ください。

肩すごく強いですね、特に膝つきながら投げて刺すのは城島みたいですね、あと握りかえもはやいですね以上。

…で終わると流石にダメかなと思ったんで、まだ確実な情報が出てないのであくまで考察になりますが2塁への盗塁阻止について何か共通点がありませんか…?

意図的に外角に外しているような気がしました。もちろん外角にはバッターがいないのでスローイングに当たって邪魔になるものがないので有利に働きます。ここをリード面で工夫していると恐ろしいルーキーだなと思いますが真相はどうなんでしょうか…

クロスプレー

これが一番このnoteで言いたかったことです。
「コリジョンルールの原因になったポージーの怪我があったのに悪用しているのか?」と言われそうですが決してそのようなことはしていません。

MLB公式のコリジョンルールの説明ページですが引用しますと
"The catcher is not permitted to block the runner's path to the plate unless he is in possession of the ball,"
「キャッチャーはボールを持っていない限りランナーを塞いではならない」つまりボールを持っていればランナーをブロックしていてもよいわけです。それまで禁止されているとランナーをタッグしに行けませんもんね。
ここでの能力は決して指標には表れないだろうし、ほぼ誤差だろっていうようなところですが彼は上手いので紹介します。

こちらのプレーを紹介したいのでまずは動画をご覧ください。

捕球前

捕球前は上の写真のようにラインの延長上から内側に立っていますよね?これはランナーの走路を塞いでいることにはならないです。

捕球後

ボールを捕球した瞬間、彼は小さくステップを踏み左足をベースの左縁に位置させることでランナーが直線的にベースにタッチすることを防ぎます。

タッチ

その後徐々に左足を3塁側に出していきます。その結果、ソトはベースに触れるためにここまで迂回しなければならなくなり、その間にベイリーがタッグできる時間が生まれるわけです。
このプレーは2-1でリードしている9回表1アウト、またウェブの完投がかかった場面でランナー1,3塁でした。これがないと同点に追いつかれていましたね…

このプレーに限らずベイリーはプレートでのタッグプレーが非常に上手いです。

まずなんやこれというのは置いておいて、今年ファンの皆様はホームタッグプレー多いと感じたことはないですか?これもSFにはゴロピッチャーが多いので内野からの送球→捕手タッグプレーが多かったのかなと思います。

…ただそうは言ってもクロスプレーではあるので危険であるのに変わりはありません。実際今年彼はこのプレーで脳震盪を起こし7日間ILに入りました。
若手捕手の脳震盪はSFファンにとってはトラウマで、ポージーの選手生命を縮めた原因でもあります。私以外にも「また彼みたいになっちゃうのか…」と思いました。幸いにも軽傷で済み最速で復帰できたのは良かったのですがバートがいるのに脳震盪明けのベイリーにすぐスタメンマスク被らせたり、今までの疲労にも関わらずスタメンマスクを被らせ続けるキャプラー監督にSFファンが不信感が募りました。
メルビン監督にはMLB最高峰の守備を誇る捕手として見ると同時にシーズンの体力面も考慮しながら上手く他の捕手と併用して使っていってもらいたいです。


ベイリーはポージーになれるか?

さて…我がサンフランシスコジャイアンツが所属するナ・リーグ西地区はもうそれはそれは大変な地区です。王者ドジャースがいて、昨年ワールドシリーズまで行き今年も着時に戦力補強しているダイヤモンドバックス、スター揃いのパドレス、ロッキーズも最近若手の台頭が目立っておりそろそろ油断できないチームになってきました。その中でドジャースに大谷が10年いることがほぼ確定しました…
その中で現地ファンは2010年代のチームを引っ張ってきた同ポジションのポージーのような活躍を期待していると思います。彼の成績はもちろん素晴らしいですがそれ以上に若手のリーダー格としてチームを引っ張っていき、結果としてチームは2010,12,14の3回もワールドシリーズを優勝しました。ポージーの打撃成績は歴代で見ても捕手というポジションでは傑出しており、このレベルをベイリーに求めるのは酷ではありますが投手とのコミュニケーションや、ベイリーが大事な場面で打って雰囲気を変えるようなことは今年何度も見ることができました。
今現在、SFというチームはベイリーを含め有望な若手がデビューしていきこれからのチームを作っていっている段階です。その中心として彼が引っ張り、10年代のようにスター集団を倒していって欲しいですね。

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参考文献
https://blogs.fangraphs.com/fangraphs-audio-craig-albernaz-on-coaching-with-the-giants/

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