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売れるアーティストの特徴はひとつ。それはモテるビジネスパーソンにも共通のアレ。

OVER ALLsのメインアーティストである山本勇気が、過去に一度だけ珍しく絵の描き方を教えているところを見たことがあって。それがすごく面白かったんだよね。

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その時に伝えていた彼のアドバイスは「よく見なさい」なんだよ。このセリフはね、デッサンをしてる人はみんな口を揃えて言いますよね。

ただ、その山本の言う「よく見なさい」の意味は、少し違うなと感じて。

例えば、手を描くとする。そこで、文字通り「よく見なさい」だと色がどうとか、シワがここにあるとかっていう細部まで観察することだと思うでしょ。

同じように、手につけている指輪を描く場合でも、光がどこに反射しているのかを観察することが「よく見る」ことだと言われるわけですよね。けど、彼がいう「よく見る」というのは、そうではなくて。

まず、人間の骨格というものを理解する。そうすると骨がどこにあるのかがわかるから、ここに骨があることでここは柔らかい、ここは硬い、ここは節で張ってるとか。ここは柔らかいけど、中には骨があってこのぐらいまで押すと硬い、とか。

あと、手のひらでも温度が高いところと低いところがあるよね。だから、血流が良いところは温かいし、指先は冷えているとか。そういうところまでを「見る」。

なんでそれをやるかというと、手を描くことは写真に残すことは違うわけで。描くという行為を挟む以上はただ手を紙の上に再現するのではなくて、受け手に対して何かを「伝える」ことになる。

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伝えるということを考える以上は、そういう柔らかいとか温かいといった要素も非常に重要になってくる。それを読み解くためにしっかり見るんだということを、常に彼は考えていて。

なので、確かに鳥とか動物を描く人とか結構いるんですけど、素人が見るとね、彼が描いたものと、失礼かもしれませんがあまり上手くない画家さんが描いたものを見るとね、躍動感が全然違うわけですよ。

なぜ違うかを考えたら、山本は筋肉の動きとか硬い柔らかいということを、触ってはないにしろ勉強しているから。だから、鳥がガッと羽ばたく瞬間にどこに力が入って、どこが硬くこわばってどこが柔らかくなって、どこに温度が走ってっていうことを理解した上でちゃんと描くことができる。それは彼の才能というか。努力なのかはわかりませんけども。

この話、技術のことを話しているのかと思いきや、そうではなくて。

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お仕事をする時にいつも言うのは、「それ、本当に意味あるの?」ということを聞きます。これは何かというと、どうしても仕事がマニュアルや商慣習になっていることというのは、人々は何も考えずにやってしまう場合が多いんですよね。

だけど、それをやることによってそもそも幸せになる人がいるのか、誰が幸せになるのか、どう幸せになるのか、どのくらい幸せになのかというところまでちゃんと考えて仕事をしていると、全然違うものになる。

それと同じで、僕らがやってるアートは常にお客さんがいて。個人でも法人の方もいらっしゃいますが、更に言えばパブリックアートの場合は通行人もみんなお客さんになってくるわけですよ。

ただ、これまで少なくとも自己満足のアートは一つもやってきていなくて、誰かに響けと思いながらアートを手掛けている。それらがイキイキとするのは、やっぱり僕たちが仕掛けようとするアートはすべてに必ず誰か相手にいて、山本は常に絵は伝えるものだと思って描いている。ここの考え方が僕と山本はすごく一致するんですよね。

もし、彼が少しでも自己表現のために描くとか、生きるために呼吸するように描くとか天才ぶったセリフを言うようなタイプだったら、多分見てる人には響かないので成立しないと思っていて。

彼は常に「伝える」ということをずーっと考えて、絵を描いている。だからこそ、この現代社会において、相手がいる作品に関しては天才的な才能を発揮するっていうのは至極当然のことだなと。
(了)

東京の壁画アートカンパニーOVER ALLsの代表・赤澤(@overalls_aka)が「日本とアートとビジネスとその他諸々」を語る「AKA Channel」シリーズ

※本文は、動画の音おこしを行い、読みやすく一部編集したものです。

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