美術の話をすると、「アートってよく分からなくて…」と言う人が多いワケ
僕は、アートは基本的に楽しいものだと思っている。
ただ、悔しいのは「ミュージック」は福沢諭吉先生によって「音を楽しむ」、つまり「音楽」って訳された。
音は「学ぶ」ものではなく、「楽しむ」ものだという意図があったんだろうね。
その一方で、残念ながら「アート」は美の「術(すべ)」、つまり「美術」って訳されている。「術」ってことはHOW TOだよね。
だから、アートに対して「理解しなきゃいけない」「知識がないといけない」といった風に感じてしまう人が多い。その一方、音楽の「楽」はFUN。
どちらの方が良いかっていったら、絶対楽しい方が良いに決まってるよね。
だから、一般の方々に「好きなミュージシャン挙げてみて」って聞いたら、何人でも挙がる思う。けれど、「好きな芸術家、アーティスト」となった瞬間に何人挙げることができるだろうか、と。
だから僕が”アートストア”という形態をとっている理由のひとつは、アーティストをもっと一般的になってアートが日本に広がっていくと、この国は楽しくなると信じているから。
そうした中で、2019年の「あいちトリエンナーレ」では、いわゆる慰安婦像を展示して、さらには天皇陛下のお写真を燃やして、っていうアートが展示されて、大きな社会問題を引き起こしたよね。
けれど、メディアがあの”現象”だけを取り上げてしまったが故に、「アートについてどう思う?」と聞かれた時に、「怖い」「気持ち悪い」って答える人々がいたのも事実で。
アーティストさん達は真剣かもしれないけれど、正直、僕も同じ感想。意見ではなく、感想だからこれは誰にも止められない。
僕や、他の仲間たちもアートって非常に楽しいんだよ、って広めていきたいのに、ああいうことが前面に出てしまうと、一気に興醒めしてしまって「アートってよくわかんない」ってなってしまう。
僕たちは普段、企業理念や歴史を絵にするアートをしているけれど、お客様からよく言われるのは、やっぱり「私(僕)、アートってよくわからなくて…」という言葉。
けど、その前提はいらないよって思うんだよね。アートはわからなくていいんだよって。だって、アートに限らず、この世の中のことをすべて分かるなんて無理な話で。
わかりやすい例で言うと、自分の奥さん・旦那さんのことをよく理解してますか?分からないこともありますよね。けれど、愛してますよね。それでいいじゃない、って。
同じような感覚で、アートも観ればいい。
ただ、ひとつだけ伝えておきたいのは音楽にポップスやロック、ヒップホップ、クラシックみたいなジャンルがあるように、アートにもいろんなジャンルがある。
今回のあいちトリエンナーレのアートは、わかりやすい例だと「デスメタル」、って言ったらデスメタル好きの人たちに怒られるかもね(笑)。
けれど、そういうマニアックな音楽と同じジャンルのようなアートだと思ってもらえたら良いかなって。
だから、アートの世界にもヒットチャートを登っていくようなポップ、ロックのように「入り口」として馴染みやすいものもある。
そんな中で僕たちがやっているアートはどちらかというとポップアート、その中でもややパンク寄りかな。
だから、もしいきなりコアなアートが目の前に出てきたとしても、アートにもいろんなジャンルがあるということを念頭に、様々なアートを楽しんでいただけたら嬉しいですね。(了)
東京の壁画アートカンパニーOVER ALLsの代表・赤澤(@overalls_aka)が「日本とアートとビジネスとその他諸々」を語る「AKA Channel」シリーズ
※本文は、動画の音おこしを行い、読みやすく一部編集したものです。
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