入院日記【後編】
20240124
寝て起きる。
起きたら左足首に少し痛みが発生。
数日前から違和感あるなと思っていたのだが、まさか痛風の話をした翌日に痛風発作が出るとは。おれの体わかりやすすぎる。
とりあえず看護師さんと先生に痛風発作が出ている旨伝え、リハビリはお休み。
明日まで様子見て、悪化しているようだったら炎症を抑える薬を出してくれるとのこと。
今日は検査から。
腹部エコーなので食事を遅くして、先に検査に行きます。
心臓のエコーもそうなんだけど、エコー検査は何かが見つかるかもしれないという怖さが強く、かなり嫌な検査。
ましてや腹部エコーなんて、全然何か見つかってもおかしくないので怖くて仕方がない。
どうにか検査が終わって部屋に戻る。
昨日までと違って何やらひどく慌ただしく、それに伴っておれもかなり放置されている。
あれよあれよと朝ごはんが10時とかになってしまい、飯食ってすぐ2時間もかからないぐらいで昼飯食ってもなあ、という感じになってしまったので
お昼をずらしてもらって先にシャワーへ。
お昼ご飯は焼きそば。
実に一ヶ月以上ぶりの麺類なので非常に嬉しいが、味はまあまあ。
でもやっぱり麺類が好きだなあと思う。
夕方に糖尿病の勉強会最終回があり、その後に耳鼻科3日目。
かなり綺麗にしてもらい、聞こえが非常に良くなる。しかしもう少し掃除が必要とのこと。
入院中はできるだけ洗浄の回数を増やしてくれるそうなので、行ける限り通う。
部屋に戻ってきて少し落ち着いたら看護師さんが夜勤の方と交代にいらっしゃったので
「今日めちゃくちゃ忙しそうでしたね」と声をかけてみたところ、欠員が出てしまったそう。
一人欠員が出るだけであんなに回らなくなるの、マジで医療現場逼迫してんなという感じ。大変な仕事すぎる。
夕回診で腹部エコーの結果を聞く。
特に以上なし、脂肪肝だけありますねとのこと。ガンとか言われなくて本当にほっとした…。
事前に言われていたのでへー、という感じだったのだが、改めて調べてみると脂肪肝もかなり怖いということがわかる。
明日先生に今後どうしていけばいいか確認しよう。
とにかく次から次へといろんな病気の話が出てきているのでお気づきのことかと思いますが
ワタクシ病気のバーゲンセール状態だったようです。
内服薬に関しても、今飲んでる3種類で確定とのことで、これ以上増えなさそうで良かった。
暗い話ばかりしてもあれなので、去年聞いて良かった音楽を掘り返す。
意外と去年聞いてるな。Official髭男dismが2曲も刺さるというまさかの展開でした。
20240125
夜中にトイレへ。
戻ってきて寝ようと思ったら、どうもせん妄状態の患者さんがいるらしく、別の部屋から「早く」「死んじゃう」「帰りたい」という叫び声。
基本的にどの患者さんも”治るため”にここにいるし、ほとんど病院というのは”より良く生きる”ためのものだと思っている。
しかし、生を考えるということは、同時に”死と向き合う”ということでもあるわけで、死を感じる出来事も多くある。
例えば意味のあるなしに関わらず、大声で叫び続けている患者さんからは否応なしに”苦しさ”が伝わってきてかなりしんどいし
リハビリ室で急な心拍数の増加があり、看護師さんが全員心拍モニターを見たのもかなり”近い”出来事だった。
先日のコードブルー発令なんて思いっきり”死”が迫ってきた瞬間に他ならない。
そういったことが自分の五感で感じられるような状況下において、改めてここは”生を取り戻す場所”であると同時に
”生と地続きになっている死”を見つめる施設でもあるんだな、と強く思う。
二度寝の果てに8時ごろ起きる。
どうも斜向かいの人が立ちあがろうとして力が入らなくなり、そのまま床までずり落ちて看護師さんがくるまでそのままだったらしい。全然気が付かなかった。
危ないからしばらく立ち上がる時はナースコールを押すように言われていたのだが、完全に無視しておりすごい。専門性がある人の言うことを聞かないのはマジでダメです。
朝ごはん前に看護師さんから連絡があり、なんと今日から一日通してインスリンなしとのこと。
治療の効果が出てきている、着実に。
今日も耳鼻科へ。
耳鼻科は午後に手術があるそうで、おれは早めの時間に洗浄してもらうことに。
昨日から引き続き聞こえは良いものの、まだよごれが溜まっている。
そしてどうやらおれは右耳より左耳の王が構造が複雑かつ細くなっているらしく、かなり難儀とのこと。
まだ痛風発作が出ているので、リハビリに行き左足を使わないメニューを教えてもらう。
家でできるような筋トレのバリエーションを知りたかったのでかなり助かる。
風来のシレン6発売日、ということでネットを見ていたらオリジナルステッカーがローソンで印刷できるとのことなので病院内に入っているローソンへ。
キラキラしたシールを印刷できるということで、そんなんできんの?と思って印刷してみたところ、ホロ加工のシールをスキャンした時のような感じで出てくる
よく見るとキラキラ”風”シールだそうで、なるほどねという気持ち。ものとしては意外と悪くないです、病院では刃物が使えないので帰ったら切って社用PCに貼ろう。
今日は検査なし、明日が頸動脈エコーとのことで、またエコー検査だ。
そしてこれもかなり怖い、頸動脈ということは何かあると脳に影響が出るので、非常に恐ろしく感じている。
エコー検査、基本的に全部怖い。
昼頃、先生が再度やってきて、明日の検査結果次第ではあるものの、脂肪肝以外特に何も見つかっておらず
今回の医療計画のゴールである血糖コントロールもできたので、耳鼻科等の兼ね合いはあるものの
正直入院している理由もないそうで、早ければ日曜ぐらいに退院の可能性が出てきた。
正直それはかなりありがたい。入院すればするだけ食事代などかかっていくだけだし、自宅の方がもちろん生活は捗る。
インスリンなしの血糖もかなり良い数値になってきている。内服薬に感謝。
今日から糖尿病教室もなし、午後からはかなり時間が空くのでこの日記を書いたり少し眠ったりする。
起きてきて夕飯。夕飯後はもう絡みに絡みまくった髪を手櫛で解きながらYouTubeを見る。
2時間ほどかけてなんとか髪をバラバラに戻し、疲れたので眠る。
20240126
起床。
仕事の関係で勉強のために読んでいる本を読み終わる。
まあまあ面白かったんだけれど、もうちょっと具体的に自分の仕事に落とし込まないと理解したとは言い切れないのでまた別途読み込もう。
相変わらず微熱は下がらず。
思えばずっとうっすら微熱が出ていたな。
今日予定されていた頸動脈エコーの検査に呼ばれないまま昼。
LINEで画像を送ると美少女に変換してくれるサービスがちょっと流行ってたので遊んでみる。
おれはいま、金メッシュの入ったボブなので、髪の話をする時は大ボブ様と名乗っているんですが、AI美少女になっても髪色が良くて嬉しい。
お水を買うついでにローソンへ行ったら今日発売のポケモンカードが売っていたので購入。
ACE SPECというレアめなカードを引いてうれしい。
ようやく連絡が来たので頸動脈エコーの検査を受ける。
エコー検査3回目、やはり苦手。頸動脈もなんかあっておかしくないもんなあ。
検査自体はこれで全て終了。
あとは明日、結果が出るので今後の対応が変わってくる。どうなるかな、割と不安が強い。
戻ってきて血糖値測って夕飯。
夕飯に出た甘酢漬けみたいなおひたしがかなり厳しい。
どうもおれは甘酢がかなり苦手っぽい。酢を使うのであれば普通の酢にしてほしいなという気持ちがある。
今日はかなり時間があるので、空き時間はこの日記を仕上げていた。
久々にまとまった量の文章を書いているのだけれど、書いても書いても終わらない。
ひとまず備忘録として直近のことから書いているのだけれど、これが終わったら前段も書く予定だ。
さらに推敲が入るので結構時間取られそう。しかし文章を書くのは楽しいので苦しくはない。
そうかな、と思っていたんだけれどやっぱり髪が薄くなっている。
入院前までの一ヶ月で10kg近く痩せているので、おそらくこの急激な痩せの影響が出てしまったのではないかと思う。
美容院で相談しないとな...。
20240127
明け方に起きる。
どうにも肩と背中と尻が痛い、寝具がとにかく合わないんだよな。
ダラダラとゲームをしながら明け方を待つ。
今日は耳鼻科と退院後の栄養指導。
ぼーっと待っていると先生が回診でいらっしゃって、頸動脈エコーの結果を伝えてくれた。
特に問題なし、まだ若いというのもあると思う。しかし生活次第なのでやはり気を付けるのは気をつけてねとのことでした。
かなりホッとした…。
気になっていたので尿酸値についても聞いてみる。
いま現在が8ぐらい、健康診断の数値が10とかでやばいなと思っていたんだけれど、入院時もそんなに変わらない数値とのこと。
入院後の食事と運動によって改善傾向にあるようなので、やはり入院前の生活にはまだ見直す余地がありそう。
これをもって糖尿病に関する全検査が終了。退院に一歩近づく。
耳鼻科の先生と今後のすり合わせをしてから退院についての話をしたかったのだけれど、どうにも呼ばれない。
そして今日は土曜日なので、先生が午前中で帰ってしまうため午後になると日曜で退院ができなくなる。
正直それは困る、と思いながら待機していたら栄養相談で呼ばれたので相談室へ。
糖尿病診断前後の食事をチェックしながら、理想の形とどのくらい差があるかを学びつつ、退院後の食生活について話をする。
診断後の食生活は悪くないものの、改善の余地があるので考え方を教えてもらい、今後の指針とする。
髪が薄くなってきた件についても聞いてみたところ、食事のカロリーが足りていない可能性と、ストレスによる可能性もあるかもとのこと。
まあ、なるべく気丈に振る舞っていたものの、少なくないストレスはあったので可能性はあるなあと思う。
戻ってきたらほぼ昼、かなりタイムリミット近づいてきているので看護師さんに言って、まだ耳鼻科きてないけど日曜退院で進めたいと先生に伝えてもらう。
ようやく耳鼻科に呼ばれたので耳洗をしてもらう。
明日退院の可能性を耳鼻科の先生に伝え、外来に切り替えてもらった。話が早くて助かる。
戻ってきたら先生がいらっしゃって、退院に際しての治療結果説明を受ける必要があるとのことで話を聞く。
こういったことをやって、こうなりました、こういう検査をして、こうでした、なのでこの入院での血糖コントロールの目標としては一旦達成です、という話をされ、署名を入れる。
引き続き退院に向けての処理などしてくれるそう。ありがとうございます、お世話になりました。
斜向かいにいる患者さん、一回転んじゃって以来、動く時はナースコールを押すように言われているのに絶対ナースコールを押さなくて
ついにベッドと外への導線上に”踏むとナースコールが押されるマット”が敷かれ、トラップを仕掛けられたような状態に。
やっぱり人の言うことは聞いた方がいいです。
夜まで間を見つけては日記を書く。
たまに談話室で夕景を眺めたりして、この景色も最後かと名残惜しむ。
自分の部屋からも談話室からも景色のいい病院だった。
20240128
なんと退院の日です。
すっと起きたので帰宅の準備をする。
手続きや支払い、薬の処方などはまた別途、明日月曜に行うことになっている。
外来もあるしね、休み自体は明日まで伸ばすことに。
果たして入院費用はいくらになるのか、非常に恐ろしい。
朝ごはんを食べて、歯磨きをしていたら看護師さんがいらっしゃって
「もう準備できてるようならいつでも退院大丈夫ですよ」とのこと。
10時退院予定だったのだが、9時前には病院を出る。
およそ10日ぶりに外の空気を吸う。
寒い。
外は情報量が多いな、と思いながら荷物を持って家に向かう。
入院時はめちゃくちゃ息を切らしながら向かったのだが、帰宅時は心なしか余裕がある。
リハビリの成果なのだろうか。
無事帰宅、久々の家の中も寒い。
荷解きをして、食事の買い出し。
スーパーにいたら病院から電話。
「渡しそこねた書類があるので、月曜に取りに来てもらっていいですか」とのこと。
今朝も本来もらっているはずの書類が手元に来ていなかったりしたので
やっぱりかなり混乱しているんだろうなぁ、と感じる。忙しい中ありがとうございます。
入院日記はここで終わり。
今後は紹介してもらったクリニックで治療を継続したり、入院した病院に外来で行ったりします。
読んでくれてありがとうございました。
【総括】
というわけで約10日間に及ぶ入院生活が終わった。
反省したことも学んだことも非常に多く、それは知識的な部分でも気持ち的な部分でもある。
糖尿病は発症が60代以降に多く、基本的に30代のおれはほぼ最年少という感じで
割とどちらを向いても老人ばかり、という感じであった。
看護師さんの言うことを聞かなかったり、謎理論をぶち上げたり
ダメだっつってんのに部屋で電話したり、そんな老人たちを横目で見ながら
“あれはおれの将来の姿だ”と何度も思った。
喉元過ぎれば熱さを忘れるのは人間の性。
おれもきっと、その内いろんなことに追われて、今日のこの感じを忘れてしまうだろう。
そうして、あの時に見た老人と同じように、言うことの聞かない老人になってしまうのだろう。
それはとても恐ろしいけれど、おれはきっと一生そういう人間だ。
病院でことあるごとに考えたのは”生と死”だった。
人は本当に、信じられないくらいあっけなく死ぬ。
それは必ず起こることだけれど、やっぱりそれが怖くて嫌で
死にたくないから必死に病気を治そうとするんだろうな、と思った。
人間は、というと当てはまらないかもしれないが、少なくともおれは、基本的に生きていたい。
一番大きく思ったのが、金を稼がないといけないということだ。
一人で生きていくなら備えないといけない。
たださえ低所得なのだから、もっともっとお金を持っていないと、何かあった時に対処ができない。
いま、おれは正直借金まみれなので、これはおれの健康状態と同じ。
限界ギリギリのラインでなんとか生活をやり過ごしているにすぎない。
幸いなことに今の仕事では評価されているので、より一層働いて金を稼ぐ必要がある。
とにかく一人で生きていくのだから、たくさんの金がいる。本当にたくさんの金が。
退院したからといって一瞬たりとも気を抜くことはできない。
全部を倒して、全て糧にしていかないと、おれにはもう後がない。
最後に、健康診断から今に至るまで、結構心折れそうになる時もあったのだけれど
Twitterのフォロワーさんがいろいろアドバイスをくれたり、勇気づけてくれたり、病状が良くなってきたら一緒によろこんでくれたりして、それがとても心の支えになっていた。
いつも変なことばかりを言っているアカウントなのに、みんな優しい。
本当にありがとうございます、とても嬉しく、助かりました。
今回の入院はこれまでの人生を見つめ直す大きな機会になったのと同時に
これからの人生をどうしていくべきかについて、非常に強く考えさせられた10日間であった。
行く道は険しいが、道を行くこと自体の意識がようやく芽生えた気がする。
以下巻末おまけ、今回の入院で持ってったものレビューです。
【病院に持って行ったもの一覧】
・財布
・メガネ ←眼科でいるかなと思ったけどいらなかった、おれはそこまで目が悪くもないので必須ではない
・社用携帯
・個人携帯
・Lightningケーブル x3
・スマホスタンド x3 ←1個しか使わなかった
・アクティビティトラッカー
・アクティビティトラッカーの充電器
・PC
・ワイヤレスキーボード ←完全にいらなかった
・PC充電
・PC充電ケーブル
・iPad mini
・iPad miniケース
・Switch ←結局あんまやんなかった
・ジョイコンのアタッチメント
・Switchケース
・折りたためるSwitchスタンド
・Switchの充電ケーブル
・ヘッドフォン
・オーディオスプリッター ←そんなに使わなかった
・オグジュアリーケーブル x3 ←繋いでも2デバイスだったので多かった
・7口の電源タップ
・電気シェーバー ←髭剃ったの一回だけなのでなくてもいいかも
・電気シェーバーの充電器
・勉強用の本
・歯ブラシ
・歯ブラシケース
・試供品の歯磨き粉 ←二週間フル尺だと足りなそう
・プラコップ
・ボディソープ
・シャンプー
・トリートメント
・ボディスポンジ ←あかすりタオルより柔らかいやつ、こっちにしてよかった
・フェイスタオル x4
・バスタオル ←いらなかった
・セームタオル ←マジで役に立った、水泳とかで使う超吸収のタオル
・65枚入りマスク
・ボディミルク
・ボックスティッシュ ←持ってきたやつだと足りなくて一箱買った
・絆創膏(大・小20枚ずつ) ←傷によってはガーゼの方がいいし、多分病院でくれるからいらなかった
・綿棒 ←おれは耳が炎症起こしてしまったので耳掃除自分でできず、いらなかった
・汗拭きシート
・髪ゴム(太いのと細いの1本ずつ)
・上着 x2(厚手のと薄手の) ←院内結構あったかい、いらなかった
・Tシャツ x8 ←Tシャツだけ枚数多くてこんなにいらなかった
・パンツ x5
・ズボン x5
・靴下 x6
・踵まで入る柔らかいルームシューズ ←靴と合わせてベッドサイド左右に配置してると移動が楽だけど、なくてもいい
・洗濯ネット
・バインダー
・キャンパスノート
・ペン
・服用している薬
・ビニール袋
・ゴミ袋 x4
・IKEAの袋(大1・小1)
・リュック
【あった方が良かったもの】
・ウェットティッシュ ←ティッシュと別に欲しかった
入院当日の朝に詰め込んだ割には意外と必要なものちゃんと揃ってたなという感じ。
ウェットティッシュはもうその存在自体が脳内から消えていたので反省です。
化粧水とか洗顔料とかも持っていこうかと思ったのですが、荷物多すぎて断念。
一人で二週間の入院準備はなかなか大変すね。