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犬の多頭飼い。本当にその子を幸せにできますか?
この仕事をしているとたくさんのわんこたち、飼い主さんとの出会いがあり、当然2頭以上のわんこと暮らすご家庭とのつながりもたくさんあります。
ペットブームと言わる時代を経て、ここ数年では犬を迎える人の人口は減ってきている中でも、2頭目3頭目4頭目と複数頭の犬たちと暮らす人たちは逆に増えている気さえします。
SNSを見れば複数頭の犬との暮らしをしている方の発信も多く目につきますし、憧れる方もきっと少なくはないんだろうなと思います。
実際のところは・・・
ですが実際のところは、多頭飼育で大変な思いをしているご家庭もたくさんあります。
もともと犬のいた家庭に、新たに犬を迎え入れるということは、お世話に必要な労力や時間、費用が単純に倍になると考える人も少なくないと思いますが、はっきり申し上げると倍以上です。
多頭飼育ならではの問題もたくさんでてくるのです。
・先住犬のストレス
・犬同士の相性
・スペースの管理の問題
・散歩時間の確保
・社会化の機会の確保
・必要なトレーニング
・家族の生活のリズムが変わる
そのほか1頭ならばまだ楽に取り掛かれることも、多頭だからこそ難しくなることがたくさんあります。
「1頭育てるのも2頭育てるのもいっしょ!」と安易な考えで、飼育経験の浅い方がこのように次々とパピーを迎え入れるようなこともあるので、そんなときには、問題の程度や飼い主さんの考え方にもよりますが、手放して犬たちにとってもっと幸せに暮らせる別の家庭へ譲渡することもお勧めすることさえあります。
大抵の場合はカウンセリングなどで必要なことをお伝えすると、頑張って取り組んでくださる方ばかりなのですが、中には「毎日散歩にいくのはちょっと~」「仕事が忙しくて~」「子どもの送り迎えが~」と必要なお世話に積極的になれない方もいらっしゃいます。
それはその方のライフスタイルなので仕方がないのですが、であればやはり犬との暮らし、多頭飼育の暮らしは犬たちのためにあきらめていただいたほうがいいなと思うのです。
飼い主のためというよりは犬たちのために・・・
犬育てには時間がかかる
家族として信頼してもらえるような関係を築くまでにも、そして犬たちがストレス少なく人間社会で生活していけるよういろいろな良い体験を積んであげたり、自信を身に着けていくにも、落ち着き穏やかな行動習慣を身に着けるにも、時間がかかります。
そしてそれは犬たちが勝手にできるようになるわけではなく、飼い主のサポートが必要なのです。
「忙しくなかなか犬たちのために時間がさけない」
「留守番が多い」
「まだ人間の子供のお世話にも手がかかる」
そういった方には多頭での暮らしはお勧めしませんし、もしも知識や覚悟が十分でなく迎えてしまってから後悔しているという場合は、どうぞ遠慮なく犬たちにとってもっと幸せに暮らせる家庭を探してあげていただきたいです。
よくそのような提案をすると、「それはちょっと~」という方もいらっしゃるのですが、私は一番に犬たちの幸せを考えていただきたいのです。
飼い主さんが「この子との暮らしは大変」と感じているということは、犬たちのほうがさらに生きづらさや苦痛を感じています。
多頭に限らず、「犬を迎えたけれど思ってたのと違う。
いろんな知識を学んだら、この子に必要なお世話や生活は提供してあげられそうにない。」
そんな風に思った方は、犬たちのためにぜひ早めに手放して新たな家庭を探すということにぜひ取り組んでいただきたいと思います。
憧れの多頭飼育のためにできること
とはいえ、多頭飼育でも大きな問題もなく過ごしている家庭もたくさんあります。
犬同士の相性ももちろんありますが、家庭だけでなく様々な犬との暮らしのサポートが受けられる環境やつながりがあるというのはとても大きな要因だと思います。
社会化の必要性がわかっていれば、地域のパピーパーティーやパピークラス、ようちえんなどを利用し、問題がこじれてしまう前に必要なサポートや情報提供をもらえたり、さまざまな切り口から生活しやすい知恵や工夫を取り入れることができます。
そしてもっというと迎える前から、どんなことが予想できるか、どんなことが心配か、どんな準備ができるかなど、事前に相談することもできますね。
もしかしたら「今は迎える時ではない」とアドバイスを受けることもあるかもしれませんが、現実的になにが足りないのかや、どんな条件がそろったら大きな問題に発展することなく暮らせるかなど、リアルに意見をもらえることはとても重要なことだと思います。
それだけ吟味して迎え入れるからこそ、必要なお世話や環境づくりなど、本気で犬たちの幸せのために取り組むことができるのではないでしょうか。
「迎えたばかりのころは大変だったね~」
いつか笑って振りかえられる日がくることを願って、多頭飼育の大変さも犬たちの幸せのために取り組むことができたらいいなと思います。
そして犬たちを幸せにできないのであれば手放す。
それも私たち飼い主が犬のためにできる決断であることも、ぜひたくさんの犬好きの人に知ってほしいと思います。
そしてぜひ、今一緒に暮らしている犬がいるのであれば、まずは今の家族を大切に最高に幸せにしてほしいなと思います。