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ポリゴンのウェイヴに乗って ふたたび。(前編)

“Perfume LIVE 2021 [polygon wave]”再演決定
もういつ頃だったか忘れてしまったけれど、そんなお知らせが入ってきた。

昨年8月に開催された、題記のライブの再演。
2日間しか実施できなかったライブを、1/9~16の間で、6公演にわたり実施するとのこと。
ライブタイトルも、年号のところだけを改めた“Perfume LIVE 2022 [polygon wave]”に決まった。

FCの2次応募で12(水)、一般販売で16(日)、リセールで15(土)のチケットを購入し、計3公演行くことに。
不思議と、昨年8月のときよりも後ろめたさだったり、「厄介な感染症と闘っている」緊迫感だったりは少なかった(決して油断しているわけではなかったが…ここのニュアンスはなんとも難しい)。
同じく、複数公演行く人や、地方からの参戦を検討している友人・知人の声も聞こえてきた。
昨年11月~12月で開催していた「Reframe Tour 2021」からあまり間が空いていないこともあり、11月から最近までずっとひと続きの祭典の渦中にいたような感覚だった。


そうなると、ライブ自体の感想をどう書くかが悩みどころ。
いつもは、セットリストの曲順に沿って見聞きしたことを書いているが、去年8月とほぼセトリは一緒。
当時の感想は過去記事でも書いているし、なにより、この拙い文章を長々と読んでもらうくらいなら「Amazon Prime」で公開中のライブ映像を観てもらったほうが早いはず。

そのため、「ライブレポ」というよりは、ライブに行っていた日々の「日記」感覚で書いていこうと思う。


1/9(日)天気:くもり

Perfume LIVE 2022 [polygon wave](以下、[pw])初日。
新潟にて「さらば青春の光 新春ステゴロツアー」を観賞。Perfumeファンは誰も居なかったが、楽しく観賞させていただいた。
新潟までは車移動で、当初は路面凍結や大雪を懸念していたが危なげなく走れた。天候にも恵まれたが、やはり“スタッドレスタイヤ&4WD”の組み合わせは盤石だと痛感した。
帰路の途中、ウォークマンの充電が無くなってしまったため、車のオーディオの出力をラジオ放送に切り替え。普段は聴かないが、改めて聴いてみると結構面白い。度々こういう気づきがあるので、そのたびに「このラジオは聴こう」と思い立つのだが、大抵は1か月もしないうちに止めてしまう。視覚の情報だけを基に、脳内で情景を描くことを楽しめる能力や余裕が無くなってきているのだと思い知る。
そう考えると、「Perfume LOCKS!!」は2018年頃からはほぼ毎週聴けていたので、この要因は何だろうと思う。好きなアーティストへの想いがひとしお…というのも勿論だが、「自分と同じものを、同じ時間に聴いている人がいる実感」を得られていたのが大きいのだと回想する。ラジオOA中は、SNSで実況などする人が多く、それを見たり、自分の発した感想にリアクションがあったりすると、大勢の人と一緒に楽しんでいる実感がわいてくる。ライブを観ているときに得られる実感も、きっとこれに似ている。

1/10(月祝)天気:晴れ

[pw]2日目…の実感もへったくれもなく仕事。祝日休みで参戦した人たちが羨ましい。
それでも、華厳の滝ばりに感想が流れ込んでくるタイムラインを見ていると、不思議と気持ちがアガってくる。随所に散見される「ドラマBBA(読み:ビービーエー)」というワードが気にかかる。今回のライブは「B.B.A.のコーナー」でもあるのだろうか。そんなことを思いつつニヨニヨしていたら、ついつい夜更かししてしまった。

1/11(火)天気:晴れ

この日は[pw]は無し。Perfumeの3人も2日連続で怒涛のパフォーマンスを披露されたと思うので、ぜひゆっくりお休みください。
毎日、テレビのオンタイマーを目覚まし代わりにしているが、この日は目が覚めるとTBSの朝情報番組が流れていた。夜から始まる新ドラマ「ファイトソング」で主演を務める清原果耶さんが出演していた。この番組のシステムをよく存じていないのだが、ゲストのリクエストした曲がその場にあるピアノで演奏されるそうだ。
そして、清原さんはPerfumeの「ポリリズム」をリクエストしていた。思わぬ選曲に、パフュクラとしての本能が血液のように全身を駆け巡る。聞くところによると、清原さんはPerfumeに憧れて芸能界入りを志し、現在は同じ事務所であるアミューズに所属しているそうだ。この人は絶対応援するしかない…!なんて、使命感にも似た気持ちがわいてきた。
ベッドから身体を起こし、朝の準備を始める。寝ぼけ眼で聴いていることもあってか、ピアノ版の「ポリリズム」が凄く新鮮に聴こえる。
この日もこの日とて業務開始。直近で片づけたい案件がいくつかあり、残業もして頑張ろうかなと思っていた。しかし、定時を過ぎる前ぐらいから目の痛みが酷くなってきた。目の痛みから頭痛に繋がるのが自分の体調の定石なのだが、この日も例に漏れずだった。土日の遠征疲れと昨晩の寝不足、加えて、エアコンの風が顔面を直撃していた時間が長かったことが原因のように思えた。パソコンの画面を見続けるのがつらい。
結局、定時後の打ち合わせを全部キャンセルして退勤。いつもは、湯船にゆっくりと浸かった後で「めぐリズム」をして長時間寝れば治るので、今回もその荒療治に縋る。寝ようとベッドに入ったのは夜の8時前。小学生の頃は毎日このくらいの時間に寝ていたことが嘘に思えるくらい早く感じる。
同じような原因で同じような体調不良を何回か起こしているので、自分の学習能力の無さが憎い。何度同じ過ちを繰り返すのか…繰り返すこのめぐリズム。

1/12(水)天気:晴れ

[pw]3日目。ついに、自分にとっての[pw]初日がやってきた。
前日の目の痛みは、まだ少し後を引いているように思える。累計10時間以上寝たので、目の痛みのついでにここ数日の睡眠負債も吹っ飛んでいる打算があったが、どうやらその思惑も外してしまったようだ。目の調子がよろしくないので、日頃から使っているブルーライトカット用の眼鏡が手放せない。普段は仕事中しかかけていないが、終日かけていようと判断した。
ライブ会場に向かうためには、定時退社だと少し間に合わないくらいだったので、思い切って午後半休にしておいた。午前中しか出勤しないと、こなせる仕事が想像以上に少ないなと思う。昨日キャンセルした打ち合わせのリスケ連絡を送った後でミーティングに2,3本出席し、空いた時間はExcel方眼紙と適当に戯れていたら退勤時間を過ぎていた。

ライブ会場「ぴあアリーナMM」のある桜木町駅を目指す。
最近は、コイン残高が1円だけあると知る程度にしか使えていなかったLINEも、この日はなんだか楽しそうに通知を出してくる。
開場前に、少しだけでも挨拶できたらいいね、と話してくれていた友人たちからの連絡がいくつかあった。何時頃着きそうだ、とか、待ち合わせ場所はここにしよう、今日は○○さんも来るみたいだ、なんてやり取りが飛び交い、文字盤をフリックする指と、メッセージを追う目が忙しい。それでも、同時にやり取りしている人は平均より少ない方だと思うので、これよりもっとたくさんの人とやり取りしている人はどれだけ几帳面で、かつモテるのだろうかと想像する。そんな人たちは、自分の想像のはるか外に存在していると感づきながら。

桜木町駅に到着。駅で合流した友人さんと、自分あわせて4人で会場を目指す。
なかには、実に2年ぶりの再会となった人もいるが、不思議とそのブランクを感じないテンションと話題で話についていけているように感じる。
2年前…感染拡大の影響で「P Cubed」千秋楽が中止になった日。
暗い記憶がフラッシュバックしそうになるのを、遠くに見えるコスモクロックの明かりと、そんな日々を超えて再会できた事実が蹴散らしてくれる。

会場に着くと、既に全員が入場できる時間帯になっていた。
今回のライブは、座席ごとにA,S,SS席の3種類に分かれている。Aが標準で、SS席が最上級といった位置づけ。種類別に入場時間も分かれており、ある程度入場が済んだら、最後にどの種類の座席の人でも入場できる段取りとなっていた。この日のチケットはA席をとった。ライブは観られるだけで有難い、十分という考えが根付いていたのでA席でも構わなかったし、周りの人が積極的にSS席を購入しているのも、少し意外だと思っていた。
入場ゲートを目指し、人の流れにのって歩いていく。その中で、どこかで見たことのある後ろ姿が目に入った。疑念が確信に変わるよりも先に駆け出している自分がいた。視界の隅に、自分と同じように駆け出しているもう一人の友人くんの姿があった。
「やあ」
友人さんの前に回り込んで声をかける。
「!!??」
友人さんは少し視界を落としながら歩いていたようで、こちらを認識した瞬間に「未知との遭遇」と言わんばかりに驚かせてしまった感じが否めない。立て続けに他の友人さんも駆け寄ってきて、驚きと同時に、久々の再会に対する喜びも増幅していたように見えた。
かくして、入場ゲートの前に到達。電子チケットについているQRコードをスマートフォンの画面に映して、読み取り機にかざす必要がある。いざここまで来てみて、あることに気づく。

チケットの出し方が分からない…。

久々に、友人さんたちに再会できた事実に舞い上がってしまい、チケットをスタンバイしておくのを忘れていた。慌ててわき道にそれて、友人さんにチケットのページがどこにあるかレクチャーしてもらう。別にやましいことがなくとも、他の人にスマートフォンの画面を見せると少し照れる。レクチャーのおかげでQRコードを表示でき、無事に入場ゲートを通過。直後、スマートフォンの画面に本日の座席が表示される。
“4階スタンド L××扉 ○列 △△△番”
昨年8月の[pw]では、入場ゲート通過後1~2分ほどしないと画面が更新されず、座席が表示されなかった。このチケットシステムのインフラも、この半年足らずでかなり改良されたのだと感じた。
一緒に居た友人さんの中で、座席が近い人はいなかった。自席を目指して進んでいく中で「またね」「また後でね」と、見知った顔がひとつずつ離れていく。自分ひとりだけで4階のL××扉をくぐり、座席に着く。この会場の座席は両隣が少し狭い。
アリーナを覗き込むと、一面にステージが拡がっていた。その脇に設置されている、アスレチックを連想させる通路を目で追っていくと、いわゆる「出島」に辿り着く。楽曲によっては出島に3人が来て、メインステージから少し遠い座席の人たちの近くにも来てくれる。
ここまで見ると、やはり「再演」なのだなという確信が強まる。外見だけ見ると、昨年8月と全く同じステージに感じられる。まだ映像などが映されておらず真っ黒だが、きっと前回と同じように、メインステージ一面にLEDが敷き詰められているのだろう。前回と同じく、この会場、このライブ専用のステージが眼前には拡がっている。

開演時間が近づくと、会場中からぱらぱらと手拍子が聞こえてくる。Perfumeライブ開演前のお約束ともいえる音色に耳を傾け、自分の手拍子もその音色の一部となり、広い会場の中に溶け込んでいく。直近の「Reframe Tour 2021」では開演前の手拍子が無かったこともあり、この雰囲気がより一層懐かしく感じられる。声を出せないぶん、観る人々の様々な気持ち、期待、楽しみ、感動、緊張―が、手拍子の音にのり、螺旋を描くように絡まり合い、場内へと拡がっていくような雰囲気。

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駅のホームで、帰りの電車を待っていた。
ライブを観たことでもたらされた、脳内にポツポツと浮かんでは消える感情。

MCであ~ちゃんが話してくれた、チケット代が普段より強気の設定だったことからプレッシャーも半端なかったこと。
のっちが見せた笑顔とダブルピースが大画面のスクリーンで見れただけで、今日来ただけのもとは取って有り余るなと思ったこと。
「清原果耶ちゃん可愛かったよねぇ~」と口元を抑えながらニヤける「ドラマBBA」ことかしゆかさんがハチャメチャに可愛かったこと。
その後始まった「ファイトソング」第1話の話に全くついていけず、眼精疲労を患ったのを後悔したこと。
でも、そのためにかけていたブルーライトカットメガネのおかげで、「P.T.A.のコーナー」の「メガネ」イジリに参加できたこと。

再演ライブと言いつつ、今回のほうが完成形に近いように感じられたこと。
だから、参加を迷っている人がいたら、できれば観に来てほしいなと思ったこと…。

願い事が書かれた短冊のように、細切れになった情景が浮かんでは消えていく。それを取りこぼさないように掴んで、140字におさまるように成形して、世に発信していく。成形の過程で、知らず知らずのうちに削ぎ落としていく想いが、核心ではないようにと細心の注意を払いながら。
ひととおり書き切ったところで、タイムラインに移動する。同じような過程を経て出てきたであろう、他の人たちの思いが、画面上を埋め尽くしている。投稿されて数分足らずで「いいね」数が3桁まで到達しているものもある。先程自分が投稿した思いの数々も、ここを目指していたのかと一瞬疑う。
他の人の想いに触発されて、記憶の片隅に追いやられていた情景がふと蘇る。その時あった鮮やかな感情も思い出し、また投稿画面へと移り、またタイムラインに戻り…を繰り返す。帰宅するまでまだ1時間強かかりそうだが、どうやら飽きずに過ごせそうだ。そんな中、タイムライン上で目にした「何も覚えていない」という感想がなんだか潔くて、思わず口元が緩んだ。


思ったより長くなってしまったので、続きは後編で…。
「4日ぶんもあるのに[pw]参戦日の日記が1日ぶんしか無いじゃないか!時間と税金返せ!!」なんて声と生卵が飛んできそうだが、せめて生卵だけはご容赦いただくか、トマトに変えていただきたい。

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