映画と私
映画鑑賞が好き
ひとえに映画鑑賞が好きと言っても実際は千差万別で話しが合う人は非常に限られます。ジャンル自体も様々で、テレビを観るのが好きと言ってもアニメとバラエティ、ドラマ、スポーツが好きという人では話が合わないのと同様です。
映画の場合は更に大きな壁があって、わざわざ映画館に行って映画を観るほど好きなのか、家でなら映画を観るのかで大きくその趣向は変わってきます。
最近どんな映画を観に行ったかを聞くと恐らく多くの人は数年単位前の映画を挙げることでしょう。
若者の映画離れ
特に、昨今の若者の映画離れはかなり深刻です。なぜなら現代には娯楽が溢れているからです。
映画館に行かずして動画サイトの視聴契約をするだけで、家だけでなく通勤通学の電車の中でも様々なアニメ、映画、海外ドラマを楽しむこともできてしまいます。
若者は1800円という動画サイトの1ヶ月の契約料金の倍の値段を払ってまで、たった1本の映画を観に行ったりはしないということです。
映画館に行くと映画を好きな老若男女で溢れていて、まだまだ映画館も捨てたものではないと錯覚してしまう一方で、現実は私の周りで映画館にわざわざ足を運んでまで映画を観に行くという人間は限りなくゼロに近いです。
ならばこの映画館の人々は普段どこにいるのでしょうか?この人たちも普段はマイノリティな映画好きとして孤独な気持ちを抱えて生きているのだろうか、と時折想いを馳せることもあります。
映画と私
私は新しい映画だけではなく1980年代までのそれなりに古い作品も観ています。特に80年代はCG頼みではない映画の最盛期かつ最高峰で、今の映画にはない荒々しい魅力があります。
私はかなり頻繁に映画を観に行っているため、私をよく知る人には相当な映画好きという認識を持たれていると思います。しかし、実は私がこれほど映画館に足繁く通うようになったのはここ5、6年のことなのです。
私が初めて映画を面白いと思ったのは中学生の時に両親が観ていたバックトゥザ・フューチャーをたまたま一緒に観たときです。
それまではアニメの劇場版という形で映画を観ることはあったものの、明確に映画として単独の作品を観たのはそれが初めてでした。
お馴染みのBGMと共に手に汗握るハラハラした演出と時空改変という夢とロマンのあるテーマに、当時中学生だった私がハマってしまうのは自明の理でした。
それから私は両親が録画した映画やレンタルした映画を一緒に見るようになりました。
特にその当時私の胸を熱くしたのはターミネーター2で、そこからアーノルドシュワルツェネッガーが主演のアクション映画をよく観るようになりました。
ターミネーターを始めとした様々なアクション映画の影響により、当時の私の3大ヒーローと言えばシュワルツェネッガー、シルヴェスタースタローン、ブルースウィリスの3人でした。
余談ですが、私がアメリカンのバイクに乗っているのはT800ことシュワルツェネッガーが革ジャンを着てバイクにまたがっているシーンに憧れたからです。尚、その長年の夢を叶えたのはそこから10年近く先の話となります。。
ただ、その後もテレビやレンタルで映画を観るものの映画館で映画を観るという趣味には至りませんでした。それが今のように足繁く映画館に通うようになるきっかけは、また別にあります。
夜に沈み行く街
ある日、たまたま横浜の映画館にバイクでレイトショーを観に行った時に、帰りのみなとみらいがとても美しかった、という映画とは直接は関係のないことが私の映画好きを加速させることになりました。
レイトショーを観た帰りにバイクで深夜静まりかえったみなとみらいを周回することが、当時の私にはなによりも贅沢な行為でした。
深夜のみなとみらいは、広く一般的に知られているきらびやかな景色とは違い、ライトアップの明かりは薄れ、観覧車の明かりも消え、暖かな電球色だけがぼんやりと広い道路を照らし続けるだけの、夜に沈み行く街へと変わります。
無人になったみなとみらいで、漆黒の闇に包まれた海と情緒ある建物に囲まれながら、幅広い車道をバイクで1人走っていると、まるでこの街を独占したかのような感覚に浸ることができるのです。
私には騒音を立てたりスピードを出したりするような趣味はなく、ただただ無人となったみなとみらいをゆっくりとバイクで走ることこそが至福の時間でした。
それからしばらくレイトショーで映画館に通い詰めていた時のことです。ある日、映画館ではとても面白かった映画がテレビで放送された際に、話を知っているからではなく、単純に映画として非常にイマイチに感じたことがありました。
アクション映画やサスペンス映画は映画館で観るから面白かった、或いはより面白くなるのだとその時ようやく私は気づいたのでした。
それからは観たいアクション映画は絶対に映画館に観に行くようになりました。
映画館で観たら面白い映画も家で観たらつまらなく感じてしまうのでは、人生においてその分面白いと感じる機会を逸してしまっているからです。
だから今日も私は映画館に映画を観に行くのです。