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因果地平の彼方へ

昨年アド・アストラというSF映画を観たのですが、これがまたものすごく酷い出来で感想を書かずにはいられませんでした。素晴らしい映画で筆を執らずにはいられなかったのではなく、酷すぎて、というのも逆にすごいことです。

あらすじは宇宙の彼方に死んだと思われていた伝説的な宇宙飛行士である父を探しにいくというものです。

不安感を煽るBGMや暗い宇宙を旅するところはかの神映画インターステラーを彷彿させました。また、一見すると退屈でテーマが分かりづらいところは2001年宇宙の旅を彷彿させます。

2001年宇宙の旅はSF映画の金字塔と呼ばれる作品で、私の大好きなゲームであるゼノギアスやゼノブレイドの根幹の存在、ゾハルの元ネタであるモノリスが出てくるなど、SF好きとしては避けては通れない映画です。

はっきり言うと意味不明でつまらない映画です。眠い時に見ると間違いなく寝落ちすることでしょう。1968年当時にこの映画を作ったスタンリーキューブリックはまさに天才と言わざるを得ないのですが、現代のCGに目が慣れている私たちが今更見たところでかなり稚拙な映画に見えることは間違いありません。なぜなら私たちが生きているのは1968年ではなく2001年をもとうに越えた2020年の現代だからです。

ただ、この映画が後のスターウォーズやその他SF作品やアニメにどれだけ大きな影響を与えたのかを感じ取ることはできました。単純に娯楽だけを求めている方には絶対におすすめしません。私のように古きを温ねて新しきを知りたい人のみ、覚悟を持って観てください。

それからしばらく後に、インターステラーという映画を観ました。映画館ではなくレンタルで、公開から2年も経った後のことでした。前評判は知らずにダークナイトのクリストファーノーランの映画だからということで観てみるか、というくらいの気持ちでした。

多くの映画を観て、多くのゲームをプレイしてきた私が頭をハンマーで殴られたかのような衝撃を受けました。色々な作品やゲームをプレイしていると大抵のストーリー展開や設定は読めてしまうようになります。

SF映画はとうに成熟してしまっていたと思っていたため、まさか現代においてここまで映像、音楽、ストーリー、設定全てが革命的な作品を目にすることになるとは思いませんでした。

この作品を映画館のスクリーンで観なかったことを今でも後悔しています。できるのなら記憶をなくしてもう一度真っさらな気持ちで観たいです。このインターステラーという映画は現時点で、今世紀最大の映画だと思っています。

一方でこのアド・アストラは一見すると深遠な内容なのかと思わせて映画批評家たちに意味を見出させるつくりにしてると思わせながらも、その実、本当に何もないのでは、としか思えない作品でした。

実際は特に意味もないのに、これはこういう意味だから本当に素晴らしい等と勝手に解釈して芸術家ばりに批評したがる人には大変おすすめの映画となります。

ブラッドピットを主演にしておいて、ここまで思わせぶりで空虚な映画を作るとは誠に恐れ入ります…。

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