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kaara 再構築-間-
「KAARA EXHIBITION 再構築-間-」
外から楽しむ 誰もいない展覧会
KAARA ✖️ 東京不動産 ✖️ A&M
2021.4.15 tue ~2021.5.5 wed(AM)
Open 24時間
2021年4月から5月6日までの間、とあるビルの一階で行われたkaaraの展覧会。
蜃気楼のようにある一定の期間だけ現れてそして消えていく。その過程からなくなるまでの全てが作品となるこの企画。
ビルのかつてのオーナーから、買い受けた不動産会社が次のオーナーの手に渡すまでの期間。
ほぼ誰のものでもないに等しいその場のひととき。
かつて築いてきたビルのオーナーの歴史が次のオーナーへと時代の橋渡しとなる直前のその「間」を空間の中に生き物のように存在させ、可視化した。
一本づつ溶断機で裂いた鉄の棒をひたすらひたすら作る。無となって、ひたすら鉄と会話を続けるkaara。
この何十本もの鉄の棒達は、現地に運ばれ制作が始まった。彼女の手で曲げられ、溶接でつながり、段々と生命が生まれてくる。現地での制作の過程をもライブ配信にて公開した。制作風景をまるっきり公開されるのは作家としては非常に神経をすり減らされる行為であるがそれもまた今回の過程の記録と共有という作品の一部である。4日間にかけて行われた。
↓2つの写真をクリックするとインスタのページに飛びます。
(動画制作 MⅢ)
そして出来上がった作品は常に外部から見れるようになっており、24時間鑑賞できる。かつて鉄の街であった事がとても奇遇である。かつてこのエリアにはたくさんの鉄工所があったそうだ。近くの住民は、何か得体の知れないものが存在している魅力に足を止めて中を眺める。
かつてそこにあった暮らしを浄化するかのように新しい存在を指し示し始めた。
昼と夜とでは見え方が変わり。光と影が醸し出す形の儚さと偉大さ。
中に入った者しか知り得ない空間の魅力。
そしてやがて時は経ち、展覧会最終日。
祝杯をあげるべく作品について語るとき。
そして、語りの儀式の後はkaara自身により作品は、また、切られ、丁寧に一本づつまっすぐに戻し、元あった鉄の棒に一本一本戻していく作業をくりかえす。
ただひたすら1人で。
そしてもとの、鉄の棒になった。。。。
一通り役目を終えた鉄の棒は、以前と同じものではもうない。
そして、この空間も、また同じように、同じ空間であって、また別のものになったのである。
そしてその場所は次の人の手に渡り、蜃気楼のような展覧会は幕を閉じた。
【間】と同じように、もうその作品も、その時もこの場には存在していない。しかし、それは新しい歴史へとつながる【間】として確実に建物の魂の中に刻んでいるのだ。