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日記12/21 ポストイット×今世では無理×ドカ食いダイスキ! もちづきさん
ポストイット
バイトの人のミスをカバーした。その時いた他の従業員とも話し合って決めた最良のやり方で。
しかしそのやり方では完全にカバーしきることは出来ず上長に怒られてしまった。中間管理職怒られだ。ちょっと凹んだ。やるせなさを感じ、職場のすぐ外においてあるベンチで茫然としていると、「大丈夫か?」と声をかける人がいた。
私服姿の麺吉(※1)だった。プライベートでたまたま店の前を通りかかったらしい。僕はあわてて「ああ!すみません、ちょ、ちょっと疲れてただけで!」と取り繕った。すると麺吉は少しはにかんで「そっか、帰り道気を付けて帰れよ」と言いながら行き過ぎた。麺吉が去ってからもしばらくベンチに座っていたのだが、突然何かが剥がれ落ちる音がした。剥がれ落ちたものはポストイットだった。「12/20 麺吉曖昧な指示で現場を混乱させるが、全く悪びれず」ポストイットにはそう書いてあった。僕はそれをくしゃくしゃにして捨て、ベンチを立ち、帰路についた。
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(※1)あくしろうが口をホッチキスで止めてやりたいと思っている職場の先輩。最近妙になつかれている。この間も「虚無戦記」の話をした。
今世では無理
宝石の国を読了した。
「赦し」について考えさせられた。
具体的に話すとネタバレになるので言わないが
最終話を読み終えた時「ああ、僕はすべてを赦したかったんだ」と思った。
変なやつも、嫌いなやつも、苦手なやつも、そして自分自身も。
世間には「赦される」ことに焦点を置く作品が多いイメージがある。
僕も割とそっちの作品の方が好きだった(アメイジンググレイス聴くとボロボロ泣いちゃうしね)。
だが、宝石の国は逆だった。
「赦す」ことに焦点が置かれている。
そして「赦す」ことが逆説的に「自分を赦す=赦される」ことに繋がっていた。
それが分かった瞬間僕はアメイジンググレイスを聴いた時以上にボロボロ泣いていた。
おらび泣く、とはこのことかと言えるほどに。
赦そうと思った。すべてを。
すべては些末なことだ。
そう思うことで僕の心は救済される
──そうだったら良かったのにね
最終巻を読み泣きはらしそのまま疲れて寝てしまった日のあくる朝
僕の心に宿っていたのはやっぱり憎しみだった。
「月人どもは赦せねえ」
僕が彼らのやったこと赦すには僕は若すぎるんだと思う。
たかだか100年しか生きない僕らでは
彼らのやったことを過去には出来ない。
赦したいのならそれこそ何億年も経なければ。とりあえず今世では無理。
ただ麺吉がやかましかったとか
上長が人でなしだとか
それくらいの些細なことなら
生きていたらどこかで水に流せそうな気はする。
僕は僕に与えられた時間の中で
赦せそうなことは赦していこうと思うよ。
ドカ食いダイスキ! もちづきさん
宝石の国最終巻を買った日。
精神の均衡を保つために買った漫画「ドカ食いダイスキ! もちづきさん」が面白い。
文字通り、ドカ食い好きの会社員望月さんがドカ食いをしまくるという漫画なのだが、望月さんが何の障害もなくドカ食いを達成できるという回は意外にも少ない。むしろ、何らかの障害にぶち当たり、それを乗り越えた先の報酬としてドカ食いをするというパターンがほとんどだ。僕はこの「目的」と「障害」がはっきりしているところがこの漫画の上手いところだと思う。昔、劇作家の北村想が書いた「高校生のための劇作入門」という本に物語に一定の緩急をつけるために必要なのは「目的」と「障害」だと書かれていた。大抵、物語の主人公には「目的」が存在する。「海賊王」になりたいとか、「フルコース」を集めたいとか、そういう具体的な目的が設定されている。しかし主人公が順風満帆に「目的」にたどり着けることはめったにない。大抵は何らかの「障害」が立ちふさがることになる。海賊王になりたいのなら、敵の海賊や海軍が。フルコースを集めたいのなら、同じようにフルコースを狙う美食屋や捕獲が困難な食材が、「障害」として立ちはだかる。我々読者はその障害を主人公がどう乗り越えるかに一喜一憂しているのである。「目的」のために「障害」をどう乗り越えるか、それがもっとも手に汗握るところだ。
僕がもちづきさんの中で一番好きなのは「望月さんが健康診断のためにで絶食を強いられる」回だ。
これほど「目的」と「障害」がはっきりしている話はあるまい。
目的=ドカ食い
障害=絶食
このようになっている。
このエピソードの前のエピソードで散々望月さんが誘惑に勝てずドカ食いしている姿を見せられているので
「いや、どうするんだよこれ。絶対無理だろ」と思った。望月さんは平気で一日4000キロカロリーくらい摂取しようとする女なのである。ドカ食いに命をかけた、ドカ食いモンスター望月さんが、いかにして「絶食」という障害を乗り越えるのか??
ぜひ、本編で確認してみてほしい。