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【日記】世界の終わりと洋服の青山

「洋服の青山」の建物ってなんかいいんだよなぁ。

全体的にのっぺりしてるというか。

まちづくり系のゲームで上からいきなりポンと置かれたみたい。情報量が少ない。そのくせ、青地に白くデカデカと書かれた「洋服の青山」という文字は嫌でも目に留まる。淡白なのに異質。いや、淡白すぎるから異質なのか。現実に存在する建物としてはあまりに作り物すぎる。


もしも、世界が水没してしまったとしても「洋服の青山」はデカいから屋上だけは水没を免れそう。生き残った人間の何人かは青山の屋上を拠点に生活するかもしれない。青山の看板は目立つから、東西南北が曖昧になった世界でも良い目印になるかもしれない。オープンワールドゲームにおける目印となる巨大建築物の役割。


生き残った人類も世代を経るに従い「洋服の青山」の記憶も曖昧になっていくだろう。「ここは、かつて洋服の青山という服屋だったそうな」老人たちの話でしか聞けない旧時代の遺構となっていくに違いない。さらに世代が進むと本やテレビが水没した影響で識字率も下がってくるだろう。そうなると、もはや看板にデカデカと書かれた「洋服の青山」の意味を知る人間もいまい。ただのシンボル。模様になっていくのではなかろうか。僕は看板に書かれた「洋服の青山」から本来の意味が失われた、その先がみたい。青山の屋上に住み着く人にとっては、ただの紋様に過ぎないのか、あるいは青山屋上コミュニティを代表するシンボルとなるのか。もしそうならとても面白い。宗教的なシンボルになっていたらなお良し。「洋服の青山」と顔にペイントされたり、背中に入れ墨された子どもたちを見た時、僕はおかしみと同時に諸行無常の響きを感じるだろう。
文字の脆弱性…… 寿命…… 
僕らも死ぬが文字だって死ぬのだ。


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