cEDHキャラ対講座 《有翼の叡智、ナドゥ/Nadu, Winged Wisdom》編
1.まずは敵を知ろう
とりあえずテキスト確認から。
ということで、メインの戦術としては
クリーチャーを横並べして
1ターンのうちに繰り返し使える対象を取る能力を用いて
大量のアドバンテージを得る
となります。
字面だけ見ると大した事ないというか、昨今の上位統率者ではよくあることのように見えますが、実際に対面するとそのアドバンテージ獲得スピードの速さに驚かされます。
一度エンジンが回り始めてしまうとすごいスピードで土地と手札が伸びていって、特に《手甲/Shuko》や《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》があると2~3tにはほぼ勝ち確定のような状況になってしまいます。
土地がアンタップインする都合上、土地+軽量クリーチャーとめくれるとどんどん連鎖していき、上記のような盤面になってしまいます。この土地が自身のマナで起動できる《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus》《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》のようなミシュラランドだとクリーチャー扱いして連鎖することもできます。
縦掘りデッキなので当然チェインが止まってしまうこともありますが、その場合は土地や軽量クリーチャーがめくれなかったということなので、それ以外のカード、すなわち除去や打消といった妨害が大量に手札に構えられることになります。感覚としては《ウェザーライトの艦長、ジョイラ/Jhoira, Weatherlight Captain》に近いですね。
しかし《艦長ジョイラ》と違い《ナドゥ》の誘発はドローではないので、《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》や《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》などのドローメタが意味をなさないことには注意が必要です。
《手甲/Shuko》や《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》をサーチするための《加工/Fabricate》や《粗石の魔道士/Trinket Mage》、《ウルザの物語/Urza's Saga》なんかがふんだんに採用されていますが、《悪魔の教示者/Demonic Tutor》とかがあるわけじゃないのでやっぱり引けないときはあります。
加えて、流石に騒がれまくっているので《手甲/Shuko》などの0マナ起動装備品を通さないようにするべく、打ち消しや《解呪/Disenchant》系スペルを構えて進行するプレイヤーも増えていくことでしょうから(増えてくださいね?)、気軽に《ナドゥ》を誘発させることが難しい場合もあります。
そんなときのために採用されているのが《Sea Kings' Blessing》《Sylvan Paradise》《幻影の影響/Sway of Illusion》といった、「1枚のカードで同時に複数体のクリーチャーを対象に取ることが出来る自分に被害のないスペル」になります。
また、《Tolaria》《先祖の院、翁神社/Okina, Temple to the Grandfathers》《巣ごもりの地/Nesting Grounds》なんかの軽めの起動コストでクリーチャーを対象に取れる土地も素晴らしいですね。
このあたりで縦堀りしてフィニッシュに必要なカードを集めていくことになります。
また、0マナ起動装備品と同レベルで強力なカードが2枚、《天光を求める者/Seeker of Skybreak》と《アフェットの錬金術師/Aphetto Alchemist》です。
自身を対象に取ってアンタップし続けることで各ターンに2誘発づつさせることができます。要はマナのかからない《トリトンの英雄、トラシオス/Thrasios, Triton Hero》ですね!(笑い事ではない)
上記の《Sea Kings' Blessing》などのカードが横並びを要求するのに対し、こちらは単独で9枚/1周のリソースを獲得するので価値が非常に高いです。また、《Legolas's Quick Reflexes》と組み合わせて全てのクリーチャーを破壊するとんでもないコンボにも使われます。
フィニッシュムーブとしてはまだリストが固定化されていないこともあって人によって様々ですが、
《ディスプレイサーの仔猫/Displacer Kitten》+《永遠の証人/Eternal Witness》による無限マナ+無限《ナドゥ》誘発コンボとか
《硬鎧の大群/Scute Swarm》+0マナ起動装備品による(ほぼ)無限《ナドゥ》誘発コンボとか
人によっちゃ《クウィリーオン・レインジャー/Quirion Ranger》+《野生の魂、アシャヤ/Ashaya, Soul of the Wild》を入れてみたり、《忍耐/Endurance》+《森を護る者/Sylvan Safekeeper》+《ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle》の有限ループを採用してみたりと、様々ですが行き着く先は《ナドゥ》の大量誘発からの大量マナ生成&セルフライブラリアウトです。
最後は《破滅の終焉/Finale of Devastation》だったり《棘を播く者、逆棘のビル/Bristly Bill, Spine Sower》の無限起動だったりでコンバットをして勝利することがほとんどだと思います。
《ナドゥ》について知っておくべきことはこんなところでしょうか。
では次、対策に入っていきましょう。
2.要注意カード
《有翼の叡智、ナドゥ/Nadu, Winged Wisdom》
元も子もないですがこいつが全ての元凶です。
《ナドゥ》さえ着地させなければこのデッキはゴミの集合体になるのでここを弾いてしまうのが一番手っ取り早いです。
クリーチャー故消えにくいのが難点ですが、不幸中の幸いか青いので《赤霊破/Red Elemental Blast》《紅蓮破/Pyroblast》が当たりますし、最近ですと《大梟の小夜曲/Strix Serenade》なんかも追加されて多少マシになってますね。
1誘発は許してしまいますが、早めに除去ってしまうのもギリギリセーフです。能力の都合上すーぐ土地が伸びてしまうので除去に関しては遅れれば遅れるだけ再キャストの負担が減るので効果が薄くなってしまうことに注意しましょう。
それで言うと、コントロール奪取をしてしまうのは除去の中でもいい選択肢と言えます。能力の都合上《幻影の像/Phantasmal Image》を採用できないデッキですから、クローン系の裏目も若干少ない……といえば少ない……のか?
《手甲/Shuko》系装備品
要は「0マナで装備能力を起動できる装備品」になります。
これが出てしまうと毎ターン「クリーチャーの数×2」回の《ナドゥ》誘発を許してしまいます。
というか誘発の捲れによってはそのままチェインして死にます。
気持ち的には《むかつき/Ad Nauseam》とか《深淵への覗き込み/Peer into the Abyss》とかと同様に扱うべきということですね。
《むかつき/Ad Nauseam》のあとのフィニッシュに打ち消しを打つのではなく《むかつき/Ad Nauseam》そのものに打ち消しを打つように、《手甲/Shuko》系の先に打ち消しを打とうと思わずそれそのものに打つように心がけましょう。
これもやっぱり1誘発は許してしまうのですが、インスタントの《解呪/Disenchant》系もギリギリ間に合っています。1回目の装備に対応して破壊してしまいましょう。装備能力の起動がソーサリータイミング限定であることが救いになってますね。(なってるのか?)
《天光を求める者/Seeker of Skybreak》・《アフェットの錬金術師/Aphetto Alchemist》
前項でも述べましたがこいつらもとんでもないです。
《手甲/Shuko》が《むかつき/Ad Nauseam》ならこの2枚は《種子訓練場生まれの英雄、トラ詩神/Thra-Muse, Seed Training-Groundsborn Hero》って感じです。(何?)
相も変わらずクリーチャーで消えづらいですが《ナドゥ》と違いこいつらは召喚酔いしてくれます。
ギリッギリ除去が間に合うので速やかに除去しましょう。
残すと毎周8誘発された上《Legolas's Quick Reflexes》で盤面壊滅して負けます。
オーバーキル感はありますが、《アフェットの錬金術師/Aphetto Alchemist》は《大変成家、アンクタス/Unctus, Grand Metatect》と組み合わせて無限ルーティングをしてくる時があるので、一応覚えておいてください。(別に《天光を求める者/Seeker of Skybreak》でも1回《アンクタス》を起動すれば出来るけど)
マナの数だけ誘発するカード
種類は様々ありますが要は《手甲/Shuko》系の下位互換の扱いになる……可と思いきや、マナがかかる代わりにインスタント起動が可能なものも多く、構えたり、複数ターンに渡って起動することによって誘発回数をかさ増ししたり出来る点で勝っていることもあります。
《ナドゥ》の誘発で土地が出ることもあり、1マナ払って1マナ帰って来て……とループすることも珍しくありません。
《手甲/Shuko》系同様、早急に対処してしまうことが望ましいでしょう。
3.立ち回り
《ナドゥ》戦における立ち回りで意識するべきことをまとめます。
正直これまでのEDHの常識とはかけ離れた行動もままあるので価値観のアップデートをお願いします。
あと、《ナドゥ》が複数いる卓については正直まだ筆者もどうすればいいかわかっていません。手っ取り早く2キルをしてしまうのが良いように思っていますので、今後2キルが難しいデッキは生き残るのが難しいかもしれない……
有効度☆☆☆☆☆ マナクリを消そう
いきなりすごいことを言っていますが、これが一番大事です。
このデッキのマナクリは他の愚かなブロッコリーとは一線を画します。
前項まででいかに《ナドゥ》の横並びが強力かをお伝えできたと思っていますが、マナクリもその一員であることに変わりはありません。
つまりマナクリを打ち消すor除去することにより「1ターン分のテンポ・アドバンテージ+将来の誘発回数の減少」を得ることができます。
ただ、テンポアドを得るためにはマナクリへの対処にマナを使ってはいけません。
《精神的つまづき/Mental Misstep》《殺し/Snuff Out》といったピッチで対処出来ると非常に良いですね。
有効度☆☆☆☆ ナドゥを追い返そう
《ナドゥ》への対処は早ければ早いほど良いです。
先ほども述べたように、《ナドゥ》は誘発してしまえばしまうほど土地が伸びてしまい、除去の効果がどんどん薄くなってしまいます。
最も良いのはスタック上で対処してしまうことですが、クリーチャー故当たるカードは少なく、難しく感じるかもしれません。
《赤霊破/Red Elemental Blast》系で対処出来ると最もスマートですが、時と場合によっては《意志の力/Force of Will》を使うことも辞さない覚悟でいきましょう。
手札に除去しかない場合も出来ることをしてください。着地後次のアクションに対して即除去を合わせましょう。1回の誘発は許してしまいますが、《ナドゥ》が場に残り続けるよりマシです。
有効度☆☆☆ 誘発の種を対処しよう
統率者である以上《ナドゥ》を対処し続けることは難しいかもしれません。(《ナドゥ》をもたつかせて、その間に勝てるような統率者を使うのが最も好ましいと言えますが、そうではない人たちもいるようなので)
その場合は誘発の種を対処しましょう。
緑が固有色に含まれる都合上、《有毒の蘇生/Noxious Revival》や《永遠の証人/Eternal Witness》で回収されてしまう裏目はあるにはありますが、そういう一手間をかけさせる事によるテンポロスが《ナドゥ》戦ではキモになります。
総括
要は《ロフガフフの息子、ログラクフ/Rograkh, Son of Rohgahh》系が流行った時と同じように対処してください。
《ナドゥ》より安定して速度を出せるデッキはそうありません。その場合はしっかり協力して《ナドゥ》を減速させることに注力してください。
決して序盤に出し抜こうとしたりしてはいけません。《ナドゥ》に当たるはずの妨害を貴方が吸って《ナドゥ》が勝ちます。
ここで言う出し抜くとは、《リスティックの研究/Rhystic Study》や《神秘的負荷/Mystic Remora》の設置も同義です。
《ログラクフ》系と違い、《ナドゥ》の動きはこれらのカードでは抑制できませんし、《ナドゥ》を止めるための行為で脇にアドバンテージを取られてしまっては他のプレイヤーが《ナドゥ》を止める理由を消してしまいます。みんなで仲良くアド損することが大切です。
デッキの出力を落とさずに上記の立ち回りが出来るようにデッキをチューニングすることの出来る統率者は多くはありませんので、その自覚がある場合はデッキの出力を落としてでも《ナドゥ》に対処出来るようにしてください。そうでない場合は貴方のターンが来ることはありません。
4.対策カード
ここからは具体的な対策カードをご紹介します。
適宜枠を作ってデッキにねじ込みましょう。
白/White
□《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
有効度 ☆☆
マナのかかる除去はどこまで行ってもギリギリセーフレベルなので、青くないならそれくらいしかできない、ということにもなりますね・・・
□《中断/Abeyance》
有効度 ☆
装備品の起動型能力も使えなくなるので、《沈黙/Silence》より遥かにマシです……が、インスタントタイミングで起動できる能力には無力ですし、何より1ターンの延命にしかなりません。
□《孤独/Solitude》
有効度 ☆☆☆
ピッチ除去は少し価値が高いです。このカードを入れることが出来るほど白が濃いデッキというだけでややお察しなので、謙虚にアド損しながらマナクリに打つくらいの誠意は必要です。
青/Blue
□《大梟の小夜曲/Strix Serenade》
有効度 ☆☆☆☆☆
マナクリも消える!《ナドゥ》も消える!装備品も消える!WotCはこの状況を予見してこのカードを印刷してくれたのでしょう!
非グリクシスの青いデッキ(=《ナドゥ》に速度勝ち出来るプランが現実的に存在しないデッキ)には必ず採用しましょう。ちなみに鳥トークンが出るので将来的な誘発回数が増えてしまう可能性があることには《ナドゥ》を完封することで見なかったことにします。
□《精神的つまづき/Mental Misstep》
有効度 ☆☆☆☆
マナクリと《手甲/Shuko》に当たります。
《太陽の指輪/Sol Ring》とかにも打ちましょう。
逆に言えば《ナドゥ》ユーザーは《喜ぶハーフリング/Delighted Halfling》より先に《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》をプレイするとかの工夫が必要になるということですね。(どういうメタ?マジで)
□《金粉のドレイク/Gilded Drake》/《荒れ模様のストームドレイク/Volatile Stormdrake》
有効度 ☆☆☆
ソーサリータイミングではありますが除去よりはマシになることが多いです。
《ナドゥ》を奪ってしまえば数ターンは稼げます……よね?稼がせてください。
□《セファリッドの女帝ラワン/Llawan, Cephalid Empress》
有効度 ☆☆☆
場に残り続ければ《ナドゥ》が機能不全にはなる……のですが、横のマナクリは退かないし、《Sylvan Paradise》《幻影の影響/Sway of Illusion》でかわされるともう目も当てられません。
ちなみにこれに文句言ってるそれ以外の方は《ナドゥ》のリソース全部潰して速度勝ち出来るかどうか自分の胸に聞いてみてください。
□《サイバーへの変換/Cyber Conversion》
有効度 ☆☆☆
青が濃くないと採用は難しいですが、普通の除去よりはかなり強いです。
黒/Black
□《殺し/Snuff Out》
有効度 ☆☆☆
ピッチ除去は総じて似たような評価になります。
こいつはアド損しないのでよりよいですね。
□《衰亡の加護/Withering Boon》
有効度 ☆☆☆
2マナが重すぎるのでマナクリに当てるのは現実的では無いかもしれませんが、《ナドゥ》をスタック上で対処出来るのでギリギリセーフです。
赤/Red
□《赤霊破/Red Elemental Blast》/《紅蓮破/Pyroblast》
有効度 ☆☆☆☆
《ナドゥ》をスタック上で対処出来るカードの中で最もスマートと言えます。
□《切り裂かれた帆/Shredded Sails》
有効度 ☆☆
《ナドゥ》と装備品の双方に対処可能なので現環境だと《削剥/Abrade》より価値高いと思います。ぜひ入れ替えてください。
□《幽霊火斬り/Ghostfire Slice》
有効度 ☆
《ナドゥ》に打ちましょう。
緑/Green
□《活性の力/Force of Vigor》
有効度 ☆
愚かなブロッコリーユーザーはアド損を理由に敬遠してるこのカードですがいい加減入れるときが来ました。このカードを入れることが出来るほど緑が濃いデッキというだけでお察しなので、cEDHの卓に入れてもらっている以上謙虚にアド損しながら打つくらいの誠意は必要です。
5.終わりに
発売前から大騒ぎされる統率者は最近ではそんなに珍しくないですが、ここまでしっかり強かったのは初めてなんじゃないでしょうか。(《破天荒、ステラ・リー/Stella Lee, Wild Card》はあんまり騒いでる人いなかったイメージ)
cEDHの敷居を2段階は引き上げたスーパー足切りジェネラルですから、デッキの中身を見直す前に今一度統率者の乗り換えを検討するレベルの時期に入ってきています。
7月にはコマンドフェストも予定されていますから、みんなで認識を合わせて「《ナドゥ》の夏」を乗り越えましょう。
何か執筆中に流れてきた情報によると海外の大会の決勝卓が《ナドゥ》×3
と《秘密売り、ティヴィット/Tivit, Seller of Secrets》だったらしいですね。強すぎる。(《ティヴィット》が勝ったらしいですが(!?))
今回はこんなところで、いつも通り疑問、質問、いちゃもんはえっちな画像のリポスト(旧リツイート)がキツいですが、ことEDHに関してだけは信頼できますし有益だと思われているらしい僕のX(旧Twitter)まで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。