あきおの部屋 Vol.2 ~《有翼の叡智、ナドゥ/Nadu, Winged Wisdom》~
Intro
秋風「cEDHの有識者に突っ込んでデッキ解説してもらうシリーズ、『あきおの部屋』第二回~」
秋風「皆様お疲れ様です。秋風です。」
秋風「『アサシンクリード(ACR)』ではあまり環境が変わらなかったので相変わらず『モダンホライゾン3(MH3)』環境って感じですが、いかがお過ごしでしょうか」
秋風「ということで今回はMH3から話題の統率者、《有翼の叡智、ナドゥ/Nadu, Winged Wisdom》をテーマに取り上げたいと思います」
秋風「ゲストは立川はカードショップサトPinさんで開催された魔境戦Vol.10にて《ナドゥ》を使用して優勝した無印さんと予選1位抜けしたしもっちさん~」
無印「ども」
しもっち「どうも~」
秋風「いや~優勝&予選1位抜けおめでとうございます」
無印「一緒に調整してたからほとんど同じデッキだったしね。ってか秋風さんも決勝居たでしょ」
秋風「バレた」
しもっち「バレたってかサトPinさんの記事読んだらわかるからw」
秋風「実は僕も勝ち上がってました。ということで今回は僕らの調整グループ内での《ナドゥ》の調整記録を辿って行きつつ、今の《ナドゥ》と今後の《ナドゥ》について皆で語って行きたいと思います」
1.《ナドゥ》爆誕
秋風「《ナドゥ》が発表されたのが5/25だけど、それ以前のcEDHの環境も整理しておいたほうがいいですかね」
しもっち「そうだね。でも《ティムクラ》最強!以外にあんまり言う事なくない?」
無印「要は4cとか3cの青いミッドレンジが強くて、《リスティックの研究/Rhystic Study》とか《息詰まる徴税/Smothering Tithe》でリソースの量がおかしくなったところの《沈黙/Silence》の差し合いとかをするゲームがメインだったよね」
秋風「まとめるとそうなりますね」
無印「2年くらいずっとこんな感じだったし、いい加減違うメタになってもいいなとは思ってたよ」
秋風「そんな感じで変化を求めているので、我々cEDHコミュニティの人間はスポイラーが出るとプロキシOKで新カードをいち早く試す傾向にあります」
しもっち「《ナドゥ》来るまでの新カードってあんまりパッとしなかったよね。『モダンホライゾン2(MH2)』の時の《敏捷なこそ泥、ラガバン/Ragavan, Nimble Pilferer》とか《エスパーの歩哨/Esper Sentinel》みたいなインパクトが無かった」
無印「《ティムクラ》は強化されないけど、それ以外のデッキの底上げみたいなカードが多かったね確かに」
しもっち「で、発売が6/7だからフルスポ出てるでしょ、ってことで一週間前の6/1にMH3ありの練習会を予定していた矢先に、《ナドゥ》が公開されたんだよね~」
秋風「あの時の騒がれ具合は今でも覚えてますね。『《手甲/Shuko》で毎ターンクリーチャーの数×2ドローじゃん!』とか、『なんで土地アンタップインなん?』とか」
しもっち「実際公開されてすぐリスト起こして1人回ししてみたけど、マジでやばかったね!シミック2色の《ログサイ》を回してる気分になったよ!」
無印「自分もしもっちさんもその練習会には《ナドゥ》持ち込んでやってたけど、自分等しか勝って無かったね」
しもっち「その時《ナドゥ》を持ち込んでる人は他にも結構居たけど、《クウィリーオン・レインジャー/Quirion Ranger》+《野生の魂、アシャヤ/Ashaya, Soul of the Wild》搭載の緑単型とかもいたね。そういうフィールドで一番相性が良かったのが所謂《アグロナドゥ》だったってだけだと思うけど。この段階で、《ナドゥ》は色んな構築を許容する事のできる幅のある統率者だってことがわかってきてはいたね」
秋風「そしてその結果を受けて、既存の青いミッドレンジユーザー―僕含め―は、《ナドゥ》への対抗策を考える必要に駆られたというわけですね。その一端が発売前に公開された僕の記事なわけですが……」
秋風「《アグロナドゥ》に関しては自分ひとりが意識したところで止まらないことがわかったので、いち早く啓蒙活動を行うことで世間の認識を高めようとした、っていうアクションですね」
無印「《プロパガンダ/Propaganda》ね」
しもっち「《虚報活動/Disinformation Campaign》ね」
秋風「嘘は書いてないですよ!w」
無印「でもまあ、秋風さんの記事の影響は実際かなりあったと思うよ。未だに《ナドゥ》に親殺されたんか?ってくらいヘイト向けて来る人もいるし」
秋風「既存の対策法と言うか、青Midの定石であるところの《リスティックの研究/Rhystic Study》や《神秘的負荷/Mystic Remora》があまり有効でないところもその対処のしづらさに拍車をかけてましたからね。どうしたらいいかっていうと過剰に見ることになってしまうのも仕方のないような気もします。まぁ、それで自分が目無しになってちゃ世話ないんですが……」
しもっち「でも、この練習会で《ナドゥ》と同じくらい勝率の出ていたジェネラルがもう一つあって、それが自分達のチーム名?……ログサミってチームなの?」
無印「なかよしサークルじゃない?」
しもっち「www」
しもっち「で、勝率が出ていたのがなかよしサークルであるところの『ログテヴェサミット』の本懐、《ロフガフフの息子、ログラクフ/Rograkh, Son of Rohgahh》+《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット/Tevesh Szat, Doom of Fools》だったんだよね」
しもっち「自分が《ナドゥ》を使って唯一負けた相手が《ログテヴェ》だったんだよね。その経験から、《アグロナドゥ》を崩すヒントを手に入れることが出来たね」
2.《ナドゥ》ヲ対策セヨ!
秋風「《アグロナドゥ》の弱点。それは……『2キル』ですね」
しもっち「そ!《むかつき/Ad Nauseam》最強!」
無印「どこまでいっても《アグロナドゥ》はチェイン・コンボデッキだからね。初手の枚数を減らすことは許容できない。それはつまりラクドス+αのTurbo Nausデッキ、自分等の通称だと『2キルくん』って呼んでるけど、それに対応する手札を探しに積極的にマリガンをするってことが出来ないし、かといって速度で上回ることも難しい。となると《アグロナドゥ》が2キルくんに弱いのは道理だったね」
しもっち「あと《アグロナドゥ》は7ドローにめっちゃ弱い!チェインの起爆剤でキープしてるのに、それが流れて土地まみれになるからね」
秋風「ということで僕らの研究テーマは、打倒《ナドゥ》のためのデッキを作ることになりました。そしてそのヒントは2つ。」
高速《むかつき/Ad Nauseam》デッキであること。
7ドローの採用が許容されうるデッキであること。(《ナドゥ》の居ない卓でも7ドローが撃ちたいデッキ、という意味)
秋風「皮肉にも我々ログテヴェサミットの天敵。《ロフガフフの息子、ログラクフ/Rograkh, Son of Rohgahh》+《求道の達人、サイラス・レン/Silas Renn, Seeker Adept》がその条件に最も合致する統率者だったのです」
無印「自分としもっちさんは《ナドゥ》面白くてずっと回してたから、必然的に秋風さんが《ログサイ》を研究することになったよね」
しもっち「《ログサイ》回してるときの秋風さん、ガチで目死んでたよねw」
秋風「いやそれはもう。デッキはマジで強いんですけど、ゲーム体験が最悪寄りで、EDH嫌いになりそうでした」
秋風「ただまあ、当初の予定通り《ナドゥ》への勝率はかなり出ていました。そもそも《ログサイ》というデッキがnバック2キルというただ一点については他の追随を許さない再現性を誇っており、青Midを含め様々な卓で勝ち散らかしていました」
しもっち「青Midの側が前のメタであんまりだった2キルくんのこと忘れてたせいもあるんだけど、やっぱり《ナドゥ》のせいで2キルくんへのガードが下がってたのは絶対にあるよね」
秋風「青Mid的には2キルくんを受けても結局その後には《ナドゥ》が待ってますからね。前門の2キルくん、後門の《ナドゥ》ということで受ける手を探しに行くモチベーションはあんまり沸かないですよね」
しもっち「そう!だから《ナドゥ》が最低1枚持って2キルくんを受けてあげないといけないってことはずっとわかってた。でも構造上難しいのはさっき話した通りなんだけど……」
無印「で、その少しあとかな?秋風さんが《ログサイ》の研究始めたからかはわからないけど、グリクシスが増えて来て既存の《ナドゥ》じゃ勝率が出なくなっちゃったんだよね。だから《ナドゥ》も変革の時が来たってこと」
3.変革せよ、《ナドゥ》!
無印「2キルくんに勝てる《ナドゥ》を作る。そのテーマで出来たのが《コントロールナドゥ》だね」
無印「全体的な方針としては、
ヘイトの高い割にラグのあるカードの排除
(《天光を求める者/Seeker of Skybreak》・《アフェットの錬金術師/Aphetto Alchemist》)チェイン専用札の(一部)排除
(《春心のナントゥーコ/Springheart Nantuko》等のトークン生成札や、《本質の変転/Essence Flux》・《大変成家、アンクタス/Unctus, Grand Metatect》等)受け札の増量
(主に1マナのインタラクション。グリクシスの初動に当たるものを優先。)『王』へのアクセスを良くする
(《呪文探求者/Spellseeker》・《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》等)
の4点だね。それに加えて、《アグロナドゥ》を調整してる時に見つけた《ナドゥ》と相性の良い、当時あまり流行っていなかったカードも入れた」
無印「自分の記事でも書いたんだけど、それが3種の神器、『王』『🦑』『💎』だね」
無印「グリクシスの初動を弾いて殺すのは簡単なんだよ。問題は序盤のグリクシスを弾いたあと、どうやってリソース回復するのか。《手甲/Shuko》とかは言うまでもないけど、《エルフの牧人/Elvish Herder》とかも警戒度が上がってきた頃だったから、やっぱり打ち消しの当たらないアド源が欲しくて、そうなるとやっぱり《Sea Kings' Blessing》とかのカードが打ち消しの当たらないアド源として一番強かったから、これを撃つことを主軸に据えるっていうのがスタートライン」
秋風「打ち消しが当たらないことにフォーカスしたんですね」
無印「あと今でこそもうバレてるけど、《Lapis Lazuli Talisman》と《セゴビアへの侵攻/Invasion of Segovia》はマジで強いね。当時はバレて無かったからスッと通ってそのまま勝ちとかザラだった」
しもっち「このリストがログテヴェサミットに共有されてからは、皆でこのコントロール型を調整したね~。《記憶への放逐/Consign to Memory》とか《無効/Annul》とか入れてみたりとか、新しい『王』を探したりとかね」
無印「既存の『王』――《Sea Kings' Blessing》《Sylvan Paradise》《幻影の影響/Sway of Illusion》――に勝るカードは流石に無いんだけど、初めのうちはそもそも打ち消されない《Ancestral Recall》で十分だったから、3誘発できればいいっていう判断基準ではあった」
しもっち「ってなると、『王』はどんどん見つかったんだよね!一番楽しかった!」
しもっち「『妖精王』!《ムーンシェイのピクシー/Moonshae Pixie》!」
しもっち「『雨王』!《土砂降り/Downpour》」
しもっち「『森林戦闘王』!《戦士の教訓/Warriors' Lesson》!」
しもっち「『糸王』!《見えざる糸/Hidden Strings》!」
秋風「更に『王』はチェインすればチェインするほど強い!ということで『任務王』!《任務説明/Mission Briefing》!」
秋風「『魔道王』!《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》!」
秋風「『探求王』!《呪文探求者/Spellseeker》!」
秋風「『亀王』!《巨大な空亀/Colossal Skyturtle》!」
秋風「ということで完成したのがこちら!」
秋風「数多の『王』を統べる――ということで、『Million Arthur Control』と名付けさせていただきました」
秋風「相手の初動を抑え、《ナドゥ》を展開し、『王』を撃つ。すると高確率で次の『王』が手に入りますから――あとはわかりますね?」
秋風「漲る呪力でトぶぜ……」
しもっち「ぜ……」
無印「まあこのデッキは弱かったんだけど」
4.進化せよ、《ナドゥ》!
秋風「な、なぜだ。我らが数多の王が!」
無印「まず後ろに寄せすぎ。大会は60分なんだから終わるわけ無いでしょ。せめて《手甲/Shuko》は入れなさい」
無印「あと『王』が多すぎて《ナドゥ》の除去に弱くなりすぎ。《ナドゥ》どかされたらゴミいっぱい抱えて死ぬよ?」
しもっち「な、なんだって~」
秋風「ということで正気に戻って調整を再開しました」
しもっち「俺はまだワンチャンあると思ってるけどね!」
無印「とりあえず後ろ寄せ《ナドゥ》の問題点は、
《ナドゥ》への除去に弱い
➾リソースを取り返せないから受けられなくなる。《リスティックの研究/Rhystic Study》系に弱い
➾チェイン性能の低下に伴いマウントを取ったあとターンを回す必要があり、振込みが可能な置物には弱い。
って感じかな」
しもっち「あと《軽微なつまづき/Minor Misstep》とか《無効/Annul》は流石にやり過ぎた!w」
無印「ってことで対策の方針。
《ナドゥ》への除去に弱い
➾《ナドゥ》以外のリソース源の採用《リスティックの研究/Rhystic Study》系に弱い
➾エンチャント破壊の増量
こんな感じで素直に行った」
(1)《ナドゥ》以外のリソース源の採用
しもっち「まず素直に《森の知恵/Sylvan Library》。なんだかんだつえ」
無印「あと《フェアリーの黒幕/Faerie Mastermind》だねー。結局引けるよこいつは」
しもっち「あと《一つの指輪/The One Ring》!イトシイシト…💍👀」
無印「《一つの指輪/The One Ring》の採用は諸説あるけど、《森の知恵/Sylvan Library》まで採用した以上コントロールというよりミッドレンジって感じになっているから、ライフを守る必要性が少なくなっているし、まあありかな」
しもっち「《見えざる糸/Hidden Strings》との相性も抜群!《奪い取り屋、サーダ・アデール/Thada Adel, Acquisitor》も入れちゃおw」
秋風「これは《ナドゥ》依存度を下げるっていう意味だと違いますが、単純に《粗石の魔道士/Trinket Mage》や《捧げ物の魔道士/Tribute Mage》を戻す、とかですね。早い段階で《ナドゥ》で大量アドバンテージを取れる札にアクセスできるようにすることで擬似的に除去に強く出れるようになります」
しもっち「ちゃっちゃか誘発させちゃえばリキャスト分のマナは帰って来るし、誘発剤は場に残るからね!」
無印「まあ後ろにより切ったデッキを少しずつ前に戻す作業が必要になったってことだね」
(2)エンチャント破壊の増量
秋風「そもそも《ナドゥ》って《リスティックの研究/Rhystic Study》系に振り込まないのが強みだったと思うんですけど」
無印「さっきも言った通り、チェイン性能が落ちてて、《手甲/Shuko》1回くらいじゃ完走しないリストにはなってるから、マウント取った状態で一周回さないといけないんだよね。そうなった時に3対1が如実になっちゃうのが他者の振込を許すこういうカードなんだよね」
しもっち「俺は良いけど周りがうぜーってタイプのカードだから割らないとダメだねって結論に至ったね~」
秋風「基本は打ち消しを当てますが、タイミングによっては当然通ってしまうこともあります。その時のためのバックアップですね」
無印「もともと入ってた《エメラルドの魔除け/Emerald Charm》が抜けなくなったね、とりあえず」
秋風「《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》も一時期抜けてましたが戻しました。《ナドゥ》の魂力土地って基本弱くて、一時期は《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City》含めて全部抜けてたんですが、《ナドゥ》でないドロソが増えた都合上引けることも増えたので、戻ってきました」
しもっち「あと《グリーン・スライム/Green Slime》だね!今言った《リスティックの研究/Rhystic Study》系の誘発に対応して割るだけじゃなくて、同型の《手甲/Shuko》割ったりとか、意外と仕事が多くて味するね~」
無印「地味に予顕が偉くて、誘発とかでハンド溢れそうな時に1枚緊急退避させられるのは良かったねw」
(3)その他、元々優秀なことがわかっていたカード達
無印「まずは……まぁ、《Lapis Lazuli Talisman》かな」
しもっち「見た目ガチでヤバいから初めのうちは通りまくったね~。実際《リス研》《Remora》とかの倍引くんだけど」
秋風「自分のスペルでも誘発するからですね。その上、土地はすべて戦場に出るので、手に入るのはスペルのみと考えると質も上回るという感じになりますね……」
無印「あと《アガサの魂の大釜/Agatha's Soul Cauldron》かな。初めのうちは《アフェットの錬金術師/Aphetto Alchemist》だけ採用したりして、クリンナップで捨ててシャクったりしてたんだけど、まあ《アガサ》単独でも強いってなってこれだけ残ったね」
しもっち「ゲームレンジを引っ張るようにはなったから、《イーオスのレインジャー長/Ranger-Captain of Eos》の対策ができるようになったのは偉いね。墓地対として起こしておくだけで相手の《死の国からの脱出/Underworld Breach》の要求値上がったり、クリーチャー墓地にいれば一応誘発剤だしね」
無印「《棘を播く者、逆棘のビル/Bristly Bill, Spine Sower》とのシナジーもいい感じだったね。《ビル》の方は結局抜けちゃったけど……」
無印「あと《セゴビアへの侵攻/Invasion of Segovia》はやっぱり強いね。カードの性能が《ナドゥ》とシナジーすることもだけど、やっぱり招集付与能力で青マナが構えられるようになるのがすごく強かった」
しもっち「《イコリアへの侵攻/Invasion of Ikoria》が流行ったときもそうだったけど、バトルっていうカードタイプのお陰でカウンター当たりづらいのもいいよね~」
秋風「アド稼ぎ以外の妨害枠なら、《攪乱のフルート/Disruptor Flute》は環境にマッチしたいいカードでしたね。無色マナや緑マナだけから使えるインタラクションなのもいいですね」
無印「《破天荒、ステラ・リー/Stella Lee, Wild Card》、《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット/Tevesh Szat, Doom of Fools》、《アグロナドゥ》に対して《手甲/Shuko》を宣言して妨害したりとか、《死の国からの脱出/Underworld Breach》のプレイに対応して《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》宣言でコンボ妨害したり、色々使い道はあるよね」
しもっち「盤面と読みで言わなきゃいけないカードの名前変わるから難しいカードではあるけど、その分めっちゃ強い妨害ではある!」
しもっち「あと《相殺/Counterbalance》!《ログサイ》受けたあともう一人受けたりしないといけない時、これ無いと枚数足りないよ~」
しもっち「《リス研》とかある時に《相殺》の捲れが土地だったら先に《ナドゥ》誘発させちゃって土地置くとか、トップ見れるカードとして運用するパターンもあるのを覚えておくと良いね!」
秋風「最後に、《騒々しい送り屋/Chittering Dispatcher》ですね。これは魔境戦の1週間前くらいに気がついたカードですが、これが殴れた試合はメンバー全員ほぼ負けなかったくらいの強カードでした」
無印「結局『王』の出力が大事なデッキだからね。クリーチャーの頭数が増えるのが何より大切で、《送り屋》はマナ加速をしながら頭数を増やすことに貢献する良いカードだった」
しもっち「《極楽のマントル/Paradise Mantle》との組み合わせもマジで強かったね!タップしてマナ出して、サクってマナ出してで使い切りだけど2誘発もできた」
秋風「……とまあこんな感じで、全体の方針がまとまっていきました。各々微調整を加えて、最終的にまとまったリストがこれです」
秋風「それぞれちょっとだけ違うんですが、それについては次の話題で」
5.新生、《ミッドレンジナドゥ》
プレイ方針
秋風「採用札についてはだいたいわかったと思うので、次はプレイングの方を」
無印「じゃあまずは改めて構築思想のおさらいから。元々グリクシスの2キルくんを殺すために生まれた《コントロールナドゥ》だけど、まあ得たものがあれば失うものもあるってことで、元々の売りだった青Midへの強度は下がっていたんだよね。《ミッドレンジナドゥ》は2キルくんへのガードを下げぬまま、対ミッドレンジ戦でアドバンテージ負けしないようにっていうバランスで組まれている」
無印「基本的には普通のミッドレンジと同じようにマナを構えながらアドソースを展開していって、行けそうなところで仕掛けるってのがセオリーだけど、この『アドソースの展開』ってところにちょっとクセがあるのが《ナドゥ》を回すうえでの注意点かな」
秋風「注意点というと?」
無印「一言で言えば、強すぎるカードは振るな、ってことだね。リソース札はリソース札でも、卓のパワーバランスによってどれくらいまで許容されるかを考えてプレイするのが大切だね」
しもっち「感覚的には
『王』サーチ>>《極楽のマントル/Paradise Mantle》>>《エルフの牧人/Elvish Herder》>>《Lapis Lazuli Talisman》>>0起動装備品って感じかな。例外として、打ち消し当たらないから『王』は妨害吸わないのでどんどん振ってよし!って感じ」
秋風「あとやっぱりなんだかんだ《森の知恵/Sylvan Library》とか《フェアリーの黒幕/Faerie Mastermind》は強いですよね。《ナドゥ》経由で得たリソースは相手に見えてしまうのが弱いですが、これらは相手からマスクの情報になりますから」
無印「《ナドゥ》の圧みたいなので、一般的なドロソがなんか通りやすくなってるのも面白いけど、付け入る隙ではあるね」
秋風「その他具体的なプレイ方針については無印さんの記事をどうぞ」
無印「丸投げかい」
秋風「もうこの段階で1万字超えてるので、巻きで……」
差分
秋風「無印さんの構築ベースに僕らの構築差分についても語っていきまーす」
しもっち「ます!」
①しもっち
しもっち⇔無印
しもっち「まず同役割のカードの話をすると、《東屋のエルフ/Arbor Elf》と《クウィリーオン・レインジャー/Quirion Ranger》の入れ替えかな。《古えの墳墓/Ancient Tomb》も含めてだけど、自分は初動の加速に重点を置いた形だね」
秋風「土地の自由枠はしっかりマナが出ることを意識した入れ替えですね。無印さんはロングゲームを見て《巣ごもりの地/Nesting Grounds》《聖遺の塔/Reliquary Tower》の採用にしているところです」
しもっち「そういうことだね!決勝卓ではここの差で負けちゃったけどw」
秋風「でも予選勝率の高さは一番ですし、チューンの方針としてはこれもまた正しかったということですね」
しもっち「かもねw あと、《一つの指輪/The One Ring》セット!これは好きだから入れたってのも大きいけど、《秘密売り、ティヴィット/Tivit, Seller of Secrets》が環境的に結構やれると思っていて、《奪い取り屋、サーダ・アデール/Thada Adel, Acquisitor》と《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》が《ティヴィット》に有効な札としても使えるなと思っての採用!」
秋風「僕も似たような理由でそのあたりを採用しましたね。流石に《見えざる糸/Hidden Strings》までは採らなかったですけど」
②秋風
秋風⇔無印
秋風「入れたカードの内訳と採用理由は大体しもっちさんと同じなので割愛。。。抜いたカードの顔ぶれが結構違います」
しもっち「俺は《ティシャーナの潮縛り/Tishana's Tidebinder》とか《サイクロンの裂け目/Cyclonic Rift》とか、妨害を結構減らしちゃってるんだけど、秋風さんはリソース札の枠の中で入れ替えって感じだよね」
秋風「そうですね。個人的にこれ以上妨害を削りたくなかったというのがあって、ヘイトが上がりつつあった《セゴビアへの侵攻/Invasion of Segovia》をまずいちばんにクビにしました。枠の都合で《粗石の魔道士/Trinket Mage》か《捧げ物の魔道士/Tribute Mage》のどちらかを抜こうと思ってました。以前だったら《粗石の魔道士/Trinket Mage》を抜いて《捧げ物の魔道士/Tribute Mage》からの三択に行くのが強かったですが、本命の《Lapis Lazuli Talisman》がバレてきてしまったので、それなら攻撃力の高い《粗石の魔道士/Trinket Mage》のほうが良いだろうという判断です」
しもっち「《神秘的負荷/Mystic Remora》を抜いてるのは思い切ったよね」
秋風「そうですね。《ナドゥ》に限った話ではないんですが、シミック系の《神秘的負荷/Mystic Remora》はキープ基準にならないんですよね。序盤に設置出来ても引いたカードを盤面に還元するのにラグがあるので、どちらかといえばマナが伸びてきた中盤に設置するのが強いカードです。であれば純然たるリソース枠として割り切っちゃってもいいかなと思った次第です。ここは正直上手ぶりも結構あります」
無印「まあ差分はあれど、方針は一致してるわけだし、使う人も自分好みにチューンしてみると面白いと思うよ」
6.今後の《ナドゥ》
BLBの話
秋風「もうすぐ『ブルームバロウ(BLB)』も出ますが、今後はどんな感じになっていくんですかね?」
※編注:書くのが遅すぎてもうBLB出ちゃいました。ごめんなさい。
無印「とりあえず《群青の獣縛り/Azure Beastbinder》は絶対採用するし、こっち側も向き合わないといけないカードにはなってくるね」
しもっち「《群青の獣縛り/Azure Beastbinder》は使われる側も採用しないといけないから厄介だよね。これで相手の《群青の獣縛り/Azure Beastbinder》を縛って《ナドゥ》が縛られないようにしたりしないといけない」
秋風「ソーサリータイミングで本領を発揮するタイプの統率者はこいつの対策を真剣に考えないといけないですね……幸いなことに除去耐性も無いですし、青くてタフネス3以下と大抵の除去は当たります……が、これに除去使っとる場合か?という感じもあり……難しい」
無印「あと《アグロナドゥ》も組み方次第で今後全然強いと思っていて、特に《ティムクラ》みたいなミッドレンジがまた戻って来るなら《アグロナドゥ》のが強いからね。そうなった時に強そうなのが《水飛沫の門/Splash Portal》だね」
しもっち「確かに、《マネドリ/Mockingbird》と合わせてナドゥリセット(※)に使える札が急に増えたね」
※ナドゥリセット:《ナドゥ》でチェインする際に《ナドゥ》をブリンク・コピーなどして誘発回数をリセットすること。
しもっち「あとは《リスの小走り/Scurry of Squirrels》!1枚で最大5誘発は流石に強い!」
無印「まぁでもこれくらいかな。《カワウソボールの精鋭、キッツァ/Kitsa, Otterball Elite》とかは結局リソース伸びないからあんまり強くなかったし」
しもっち「『王』コピーは夢あるけどね!」
立ち回りの話
秋風「無印さん含めて一気に記事が出て、世の《ナドゥ》のスタンダードが《コントロールナドゥ》及び《ミッドレンジナドゥ》となると思いますが……」
無印「まあ《ナドゥ》への向き合い方みたいなのは浸透していくんじゃないかな。えんぞーさんが前書いていたような気がするけど、『その《ナドゥ》が《織り手のティムナ/Tymna the Weaver》なのか《ネクロポーテンス/Necropotence》なのか』をよく考えろっていう話につながるよね、結局」
しもっち「脳死で『《ナドゥ》ヤバい!除去らなきゃ!』じゃないよ~ってことだね」
無印「逆にそうなればこそ、《アグロナドゥ》が輝くかもしれない。結局統率者のスペックがめちゃめちゃ高いから、多少世間に強く意識されたくらいなら構築と腕で跳ね返せるだけのポテンシャルはあると思ってるよ」
しもっち「あと何より楽しいね!色が少ないと色んなカードが検討できるから。《ティムクラ》とかってカード強すぎて、あんまり入れ替える余地が無かったから調整のやりがいが無いっちゃ無かったからね。今回だけじゃなくて今後も使っていきたいし、このリストを元に独自に調整されたリストも見てみたい!」
秋風「まぁログサミの検討ペース早すぎてそんなに目新しいカードを他に採用してる人もあんま居なくないですか?」
えんぞー「はい、ロボポイント」
※ロボポイント:人の心がわからない秋風が心無い発言をした際に咎めるためのポイント
秋風「えんちゃん!?」
しもっち「www」
Outro
ということであきおの部屋、第二弾は《有翼の叡智、ナドゥ/Nadu, Winged Wisdom》編でした。
6月の下旬ごろからグループでの調整を開始して、日々カードの検討や意見交換などをしてデッキをどんどんブラッシュアップしていったのは本当に楽しかったです。
特にこれまで自分は『デッキを開拓する』という行為から遠い人間だったので非常に新鮮な体験でした。
その結果がメンバー全員が予選抜けで決勝卓で顔を突き合わせるというある意味最高の形に結集したのは非常に良かったと思います。
めちゃめちゃ味のするデッキなのでみなさんもぜひ使ってみてください。
今回はこんなところで、いつも通り疑問、質問、いちゃもんは僕のX(旧Twitter)まで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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