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情報モラル 再考 #7 ~モラルも安全も安心もない情報社会で
1 情報社会?
2 誤解
3 本来の姿
4 ルールを知る
5 歴史から学ぶ
6 情報を守る
7 情報を読む力をつける
8 サイバー社会のクセを知る
9 未来に
#7 情報を読む力をつける
「きらいよ」
『小麦色のマーメイド』(歌:松田聖子,1982年)の歌詞の最後。
相手を嫌っている?
歌を最初から聞けばその逆だと分かる。
「バカなやつだ」
人を軽蔑している?
ドラマなどで、自分を犠牲にして他人を助けようとする仲間に対する尊敬と愛情をこめた言葉としても使われる。
情報は字面(じづら)だけでは判断できない。
情報は一部分だけ切り取って見ると判断を誤る。
ネットニュースやSNSだけではない。古今東西、新聞もテレビも同じ。
「誹謗中傷だめよ」と情報発信時だけではなく、情報を読み取る力をつけたい。
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盛り情報だらけ
情報は、ウソ、誇張、印象操作、情報操作、隠ぺいなど様々に加工されて流通する。
悪い人がやるだけではない。それは日常に溢れている。
就職活動の面接でも、SNSにアップする写真でも大なり小なり盛っている。
選挙の公約や偉い人の演説もそう。
テレビニュースや新聞記事だって負けてはいない。
なのに、子どもに「ウソはだめよ」と指導する。
ならば、まずい料理には「マズイ」、嫌いな人には「キライ」と正直に言えば褒められる?
情報をいかに読むか、どう判断するか、そしてどう行動するかを考えることができる人を育てたい。
必ずしも正解はない
コロナ禍で情報が入り乱れて社会が右往左往している中、よく耳にしたのが、「正しく恐れよう」。
ところが、その「正しさ」は人によって違う。集団によっても違う。
ジレンマの教材として使われている事例を1つ。
東日本大震災の時、テレビのニュース番組を「ネットで流せば、この情報で人が助かるかもしれない」と考えて、無断でインターネット上に生中継した人がいた。
違法配信であるが、被害者側は彼を訴えなかった。
この行為は正しいのか否か。被害者側はなぜ訴えなかったか。
子どもから、「私利私欲ではなく、人のためなら違法行為は許されますか」と尋ねられたらどう答えるか。
こうしたジレンマを考えて議論することは、情報モラルとしてだけではなく、生きていくうえで役に立つ。
(つづく)