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#34 3min all-out testでトレーニング成果をモニタリング
最近の記事で3min all-out testについて書いてきましたが、このテストを定期的に行ってトレーニング成果をモニタリング出来るよという論文をご紹介します。
是非、読み進めてみてくださいね。
3min all-out test
テストのアウトラインは以下のようなものになります。
<3min all-out test>
3min 助走
3min テスト(始めから最大パワー発揮)
※ペーシング禁止
※ダンシング禁止
※残り時間を見ない
助走の3分間はリカバリー強度で、回転数は自由
助走区間のラスト5秒で回転数を120ほどまで上げる
テスト開始と同時にギアを変える
始めから余力を残さず全力を注ぎこむ
ラスト30秒の平均パワーが、あなたのクリティカルパワーです。
クリティカルパワー以上のパワーはVO2maxゾーンになります。ご自身のクリティカルパワーが分かっていると何かと便利。
詳細に関しては以下の記事をご覧ください。
4週間のトレーニング介入
普段から運動を行っている20-30代の男性10名が研究に参加しています。
平均身長は177±8cm、平均体重は74±12kg、トレーニング前のVO2maxの平均は51mL/kg/minほどです。
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トレーニングは週に3回HIIT(ハイインテンシティーインターバルトレーニング)を実施。二種類のメニューが用意されています。
<メニュー1> 週に2回
・105%CP(推定FTP)で5分-2.5分レスト×6本
<メニュー2>週に1回
・123%CP(推定FTP)で2分-2分レスト×10本
どちらもかなりハードです。このトレーニングを4週間実施。
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トレーニング介入の前後に3min all-out test、VO2max測定、ランプテストを実施してトレーニング効果をモニタリングしています。
今回の論文ではトレーニングメニューの効果を検証したい訳ではなく、メニューの効果はあるものだという前提でトレーニング介入前後に行う3min all-out testの変化が有用なものかを検証しています。
介入前後のモニタリングの結果
3min all-out testのパワー発揮の推移はトレーニング後に向上が見られました。
介入前のクリティカルパワー:210w
介入後のクリティカルパワー:248w
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他の測定結果も向上が見られています。
VO2max(mL/kg/min):51 → 56
ランプテストのマックスパワー:346w → 368w
VT1パワー(有酸素能力):123w → 152w
無酸素パワー容量:16,700w → 17,300w (統計的には差なし)
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3min all-out testの変化とその他の測定項目は同じように変化しています。
以上の結果より、3min all-out testが向上すれば種々の能力も同時に向上していることから、3min all-out testの結果をモニタリングすることでトレーニング効果を確認できると結論づけられています。
一点、無酸素パワー容量に変化は見られませんでしたが、無酸素パワー容量が向上していないのはこの論文に限らず多くのHIITトレーニングの論文で見られる結果です。
つまりVO2max系のトレーニングは無酸素パワー容量を増やすのではなく、有酸素能力の改善効果が大きいということです。
有酸素能力が影響しているVT1パワーの向上が見られることと、最大酸素摂取量の向上の二点がVO2max系のトレーニングで特筆すべきトレーニング効果だと言えるでしょう。
3min all-out testのパワー推移からも、有酸素能力の向上がパワー推移全体を上に押し上げている様子が伺えます。
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おわりに
今回はクリティカルパワー関連の記事の流れで、3min all-out testでのモニタリングについて論文をご紹介しました。
zwiftなどに搭載されている「ランプテスト」も同様に変化しているので、ランプテストをモニタリングすることも良いと思います。
個人的には3min all-out testでは無酸素パワー容量も計算できて、より多くの情報が取得できるかなと思っています。下の記事に活用例を載せていますので、是非ご参照ください。
ランプテスト、3min all-out test、どちらもVO2max系のトレーニングに組み込めますので、トレーニングの一環としてどちらも定期的に行えるといいのではないでしょうか。
2つとも実施すると数値の整合性が取れているかもチェックできるので、よりご自身にとって信頼のある数値になると思います。
今回も最後までお読みくださりありがとうございました。
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ご紹介した論文
Vanhatalo, A., Doust, J. H., & Burnley, M. (2008). A 3-min all-out cycling test is sensitive to a change in critical power. Medicine and Science in Sports and Exercise, 40(9), 1693–1699. https://doi.org/10.1249/MSS.0b013e318177871a