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#9 ポラライズドトレーニングやHIITのように高い強度をトレーニングに取り入れると効果的

みなさんこんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。今回も引き続きポラライズドトレーニング関連の論文をご紹介します。
パフォーマンスを上げるために皆さんもトレーニングを行っていることと思います。今日はzwiftでどんなメニューを行おうか?と迷ったら、ゾーン5(VO2ma:オレンジ)やゾーン6(無酸素運動:赤)といった高い強度が組み込まれているトレーニングを行うことが有効かも。そんな内容になりますので、是非読み進めてみてください。


論文の強度設定とzwift強度設定の照らし合わせ

この論文では強度(ワット数)を3つに分類しています。この論文の強度設定をzwiftの強度設定に照らし合わせると、概ね下図のような関係になります。

  • LOW:エンデュランス~テンポ領域

  • MIDDLE:テンポ~LT(乳酸閾値)領域

  • HIGH:VO2max以上


トレーニング方法のバリエーション

今回の論文では、4つのトレーニング方法が比較されています。

ポラライズドトレーニング

トレーニング強度を二極化させて、LOW領域(テンポ以下)とHIGH領域(VO2max以上)の高い強度帯に重点を置くトレーニングです。今回の論文では、一週間のトレーニングとして以下を実施。

  • 90~95%HR(心拍数)で4分-3分レスト×4本を週に2日

  • 150~240分のLOW領域(テンポ以下)を週に2日

  • 90分のLOW領域を週に2日


閾値トレーニング

MIDDLE領域(80%FTP~100%FTPほど)の強度を重視するトレーニング。今回の論文では一週間のトレーニングとして以下を実施。

  • MIDDLE強度(LT)で8分-2分レスト×6本を週に2日

  • MIDDLE強度(LT)で20分-3分レスト×3本を週に1日

  • MIDDLE領域(血中乳酸が1.5~5mmolで変動するようなファルトレク)で75分を週に1日

  • 90分のLOW領域を週に2日


ハイボリュームトレーニング

LOW領域にしっかりと時間を費やすトレーニングです。強度が低い代わりに、実施する時間を長くするのがこのトレーニングの特徴です。今回の論文では、一週間のトレーニングとして以下を実施。

  • LOW領域(テンポ以下)で90-240分を週に5日

  • MIDDLE領域(LT)で7分-2分レスト×5本を週に1日


HIITトレーニング

ハイインテンシティー・インターバルトレーニングの略です。比較的短い時間でVO2max領域以上のかなり高い強度をインターバルで実施するトレーニングになります。今回の論文では、一週間のトレーニングとして以下を実施。

  • 90~95%HR(心拍数)で4分-3分レスト×4本を週に6日


今回の論文が検証したこと

今回の論文ではご紹介した4つのトレーニング方法を行った結果、VO2maxやある乳酸値で出力できるパワーがどれくらい向上するのかを検証しています。


検証方法

実験の参加者はオーストリア代表のクロスカントリーやトライアスロンといった持久系アスリートです。普段トレーニングを週に10-20時間行っていて、VO2maxの平均は62.6と高い能力を持った人たちが選ばれています。

その選手たちを4グループに分けて、先ほどご説明した4種のトレーニング方法を9週間実施しています。なお、3週に1週はリカバリー週(レスト4日、LOW領域90分を3日)を挟んでいます。トレーニング期間の前後にランプテストを行って、VO2maxや乳酸値の測定を実施。果たしてトレーニング方法の違いで効果は違ってくるのでしょうか?


検証結果

検証の結果、以下の図のようになりました。測定された項目として、ある血中乳酸値になった時点でどのくらいパワーが出ていたのかが調べられています。おおよそですが、乳酸値2mmol(ミリモル:単位の名前)以降で速筋線維が使われ始めて、乳酸値4mmolがFTP値付近であるとお考え下さい。4つのトレーニング方法の中では、ポラライズドトレーニングが総合的に見て効果が高いという結果になりました。

またポラライズドトレーニングと同様に高強度のインターバルトレーニングが含まれているHIITトレーニングの効果も高いことから、トレーニング計画に高強度のトレーニングを取り入れることが体力向上にとって有益だと考えられます。

トレーニング名は略称で示しています。
POL:ポラライズドトレーニング
THU:閾値トレーニング
HVT:ハイボリュームトレーニング
HIIT:高強度インターバルトレーニング

閾値トレーニング(THU)のVO2max値のみ低下している(-3.7%)ことが少し気になります。論文筆者の考察では代表選手のように体の適応が高度な人にとって、閾値トレーニングが過度になると多くのストレスを体に与えてしまう可能性があると述べられていて、先行研究でもこの論文と同じような結果となった論文もあります。

しかし、高い競技力の選手でも閾値トレーニングによって効果があったとする論文もあります。また私たちのような一般的な体力の人にとってはむしろ有効とする論文もありますので、閾値トレーニングは効果がないと決めつけてしまわないことに注意が必要です。


まとめ

今回の論文では4つのトレーニング方法を比べ、ポラライズドトレーニングやHIITトレーニングの効果が高い結果となりました。このことから、トレーニング計画に高強度のトレーニングを取り入れることが体力向上にとって有益であることが示されました。


トレーニング内容の詳細や時間配分、それに9週間のトレーニングといった現実的な内容で検証された貴重な論文で、私たちがトレーニングを計画する上で大変参考になる論文かと思います。是非皆さんの日々のトレーニングにお役に立てていただければ嬉しいです。今回も最後までお読みくださりありがとうございました。スキ、フォローをいただけると大変励みになります。
これからも、よろしくお願いします。


ご紹介した論文

Stöggl, T., & Sperlich, B. (2014). Polarized training has greater impact on key endurance variables than threshold, high intensity, or high volume training. Frontiers in Physiology, 5 FEB. https://doi.org/10.3389/fphys.2014.00033



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