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ショートクランクについて理解する
今回の記事ではショートクランクについて、分かりやすくサクッとまとめてくれていた海外記事をご紹介します。
日本語訳について、意訳、要約がある点を予めご了承ください。
<ご紹介する記事>
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長いクランクの方がパワーを出せるように感じますが、多くのサイクリストにとってそうではないことが研究によって明らかにされています。クランク長に悩んだら短い方を選択し、パワー発揮のレバレッジよりも快適さを優先させることが有効である理由について、ご紹介していきましょう。
1. 適正なクランク長を見つけましょう
市販されているクランク長のバリエーションはそこまで幅広いものではありませんが、少しのクランク長の変化が、皆さんに大きな影響を与えます。
なぜなら、クランク長は適切なライディングポジションをとるための重要な要素の一つだから。
クランク長を変えるとペダルまでの距離が変化するので、それに伴ってサドルのポジションも変更する必要があるでしょう。
そうするとフレームに対して皆さんのポジションが変化するので、股関節の角度が浅くなったり深くなったりします。
このことは快適性やエアロダイナミクスに影響します。
つまりクランク長を適切に調整できれば、パフォーマンスに良い影響をもたらします。
2. 一般的なクランク長
市販されているクランク長は160mm~180mmほどの幅です。
クランク長はバイクフィッティングの要素の一つで、ベストなクランク長は身長や体格、関節可動域などによって変わってきますが、クランク長の選択にはある程度の柔軟性があります。
実際、異なったクランク長でペダリングをしても何ら問題がない場合や、クランク長変更による差を感じない場合もあるでしょう。
では二つのクランク長で悩んでいるとして、どちらのクランク長が適しているのでしょうか?短い方、長い方どちらでしょうか?
また、それぞれのメリット、デメリットはどのようなものなのでしょうか?
3. パワー、それとも快適性?
二つのクランク長で悩んでいるとしましょう。そのとき、多くの人は長いクランクの方がパワー発揮を行うためのレバレッジがある(クランクが長いと、トルクをかけやすくなる)ので、パワー発揮が大きくなるだろうと考えています。
たしかに長いクランクの方がレバレッジが大きいと言えますが、クランク長とパワー発揮の関係を調査した研究では、極端に長い(市販されていないほど)クランクの場合にのみ最大パワー発揮にとって有利であるとされています。
◆クランク長とパワー
一方で極端に短い120mmというクランクにおいては、通常のクランク長の2-5%ほどのパワー低下にとどまるという研究結果があります。
そしてほとんどのアスリートにとって、170mm前後が丁度良いクランク長でもありました。
以上のような研究をまとめると、クランク長はパワー発揮の最適化において、あまり重要な項目ではないことが示されています。
◆クランク長と快適性
パワー発揮にとってあまり影響がないのであれば、クランク長を選択する際に考慮すべきことは、どのようなことなのでしょうか?
単刀直入にお答えすれば、それは快適性にあると言えます。
なぜなら快適性がパフォーマンスに直結し、快適性は間違いなくクランク長に左右されます。
もちろんクランクを短くするのであれ、長くするのであれ、その変更が快適性に何ら影響がない人もいます。
しかし人よっては長いクランクを選択すると、サドル上での体の揺れが大きくなり、特定の関節へ圧力が集中し、不快感が強まる可能性があります。
そのような人にとってクランクを短くすることは、快適性そして長期的には関節への負担を和らげることができるでしょう。
4. ショートクランクのメリット
ショートクランクには他にも様々なメリットがあり、その一つがエアロダイナミクスの向上です。
クランクを短くして前傾姿勢を取れば、前方投影面積が小さくなるので風の抵抗が減少します。
たとえばブラッドリー・ウィギンス(wikipediaへのリンク)はクランク長を177.5mmから170mmに変更することで、エアロダイナミクスが3.5%向上しています。
さらにショートクランクではペダルのクリアランス(地面との距離)に優位性があるので、オフロードを主戦場とする場合やシクロクロス、クリテリウムなどでペダルと地面が接触する可能性が低くなります。
それによって選べる技術的な戦略が増えるでしょう。
5. まとめ
パワーの最大化という議論において、クランク長はそれを左右する決定的な要因ではないことが研究によって示されています。
ショートクランクはパワーの問題よりもむしろ、快適性を高められるような最適なライドポジションに調整できることが、より重要で考慮すべきことでしょう。
また、今までにサイクリングで痛みの問題を抱えたことがあるのなら、適切なライドポジションをとれるように、フィッティングのスペシャリストにクランク長の見直しなどのアドバイスを求めるべきでしょう。
おわりに
今回ご紹介した記事やその他の海外記事を読む中で、ショートクランクのパワー発揮の問題について、参照されている論文が同じであることに気が付きました。
その論文の内容を知ることで、クランクとパワー発揮の問題についてより深く理解してもらえるのではないかと思い、以下の記事を書いてみました。
なぜショートクランクに替えても、パワー発揮にとって不利にはならないのか?について詳しく知りたい方は、併せて読んでみてください。
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました!
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