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#7 オーバートレーニングを防ぐためには睡眠時心拍数のモニタリングも有効
みなさんこんにちは。この記事に興味を持ってくださりありがとうございます。前回に引き続き、オーバートレーニングにまつわる論文をご紹介します。前回の論文でトレーニング時の心拍数がいつもより7~9拍低下すること、筋のRPE(筋肉の主観的なキツさ)が普段よりも高く感じることなどがオーバーリーチングのサインであることをご紹介しました。今回はそれに加えて睡眠時の心拍数も有効だよという内容になっています。
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言葉の整理:オーバーリーチングとオーバートレーニング
オーバーリーチングとは十分な回復期間を設けないまま、許容できる以上のトレーニングを短期間継続している状態です。プラスにもマイナスにも働くことがあります。
一方オーバートレーニングとは、オーバーリーチングの状態が長期間続くことで陥る状態です。パフォーマンスが停滞して、常に疲労感を感じる状態が数カ月単位で改善されないこともあります。
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今回の論文が検証したこと
体に大きな負荷をかけると、オーバーリーチングの状態になることがある
オーバーリーチングの状態が続くとオーバートレーニング状態へ移行する
オーバーリーチングの兆候をつかむためにはトレーニング時の心拍数、筋RPEのチェックが大事(レビュー#6)
オーバーリーチングの兆候を見つけられる指標は他にもあるか?←ここを検証
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検証方法
おおよそFTPが体重比の4倍ほどあるサイクリストが参加しています。その方たちに、普段以上の高強度トレーニングを2週間処方しました。具体的なメニューの記載はありませんでしたが、内容を推察するに一日のトレーニングとしてゾーン5(VO2max)領域を3分-3分レスト×16本+ゾーン3(テンポ)領域を30分のようなメニューが組まれていたようです。トレーニング開始前(week0)、1週後(week1)、2週後(week2)に8.5kmタイムトライアルを行って、タイムと平均心拍数を測定。併せて睡眠時呼吸数の測定も行っています。オーバーリーチング状態になっているかを気分プロフィール調査(質問用紙で気分を点数で表すもの)と乳酸値、タイムトライアルの記録などをもとに判定しており、今回紹介する結果はオーバーリーチング状態にあると判定された参加者の結果になります。
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検証結果
検証の結果、睡眠時の平均心拍数は平常時に比べて7-9拍程度高くなっていました。論文の著者は睡眠時の心拍数が高くなった要因として交感神経の緊張が高まっており、それが睡眠時にも継続されている結果ではないかと考察しています。トレーニング2週後の結果がいわゆる有意な差のある結果となりましたが、1週後においてもオーバーリーチングの傾向が伺えます。
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まとめ
睡眠時の心拍数がオーバーリーチングのサインになるかを検証した結果、平常時よりも7~9拍ほど増加することが分かりました。睡眠時の心拍数はスマートウォッチや活動量計などで手軽に測定できる時代になりました。私もガーミンのvivo smartで日々の睡眠時心拍数を記録しています。私の場合、平常時は43拍±3拍ほどで変動しているので、40拍台後半あたりを目安に少し慎重にトレーニングを行うようにしています。日々仕事や学校でなかなか定期的にトレーニングができない方は、時間を見つけて集中的にトレーニングを詰め込むこともあると思います。そんな時ほど、やり過ぎて体を壊さないように体のサインを大事にしてくださいね。サインが出始めたら強度や量を減らしたり、2~3日は休養をとるなどの対策を行って体のサインが通常に戻るるよう調整してみてください。
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今回もお読みいただきありがとうございました。スキー、フォローをいただけると大変励みになります。次回もよろしくお願いします。
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ご紹介した論文
A. E. Jeukendrup, M. K C. Hesselink, A. C.
Snyder, H. Kuipers and H. A. Keizer, Physiological Changes in
Male Competitive Cyclists after Two Weeks of Intensified
Training. mt Sports Med. Vol 13, No 7, pp 534—54 1, 1992