小説が出来ました❗️〜転校生は呪いの子〜
こんにちは🌞くっちーです✨
やっと、小説の第一話が出来ました✨
やったー❗️結構時間かかりました💦
思いついたまま、下書きせずに書いているので、出来はそんなに良くないですが、せっかく書いたのでみんなに見てもらいたいです🌼
早速始まります👇
ー僕は昔から悪い夢ばかり見た。そしてそれはいつも、現実になる。ー
「ねえ、今日転校生が来るって!」
「ええ!誰誰?女子?男子?名前は?」
「えっと確か・・・」
廊下側まで大きな話声が聴こえてくる。僕のことをウワサしているのか、、、ガッカリされたらどうしよう。心の中で、何度も大丈夫と言い聞かせながら、僕はひんやりとした空気に包まれた廊下を歩いている。隣には、これから僕の担任になるであろう先生がスリッパのような履き物を履いてシュッシュという音を鳴らしながら歩いている。ぱっと見二十代後半くらいの女の人だ。キリッとした横長の目が印象的な、確か久屋先生と言っただろうか。次第にその足音のテンポが遅くなり、2年B組の扉の前で止まった。
「ガラ!」
久屋先生が勢いよくドアを開け、さっきまでのざわめいた声は一瞬にして静まった。それに代わり久屋先生が口を開く。
「これからみなさんのクラスの仲間になる、、、、ほら早く入って。」
僕が入ってもいいか分からずに扉の前でもたついていると、先生が手招きしてせかしてきた。慌てて教室の中に入ると、生徒たちみんなが一斉に僕の方を見てきた。少し萎縮してしまったけれど、深呼吸して、頭の中で何度もシミュレーションしてきたことを思い出す。よし、言える!でも念のためもう一度シミュレーション。
「初めまして、僕の名前はユメナカ リクです。夢中と書いてユメナカと読みます。これからよろしくお願いします!」
よし、言えそうだ。笑顔で愛想よく、
「初めまして、僕の名前はっ・・・」
ここまで言った時、急に激しい頭痛に襲われ、目がクラクラしてきた。みんなの顔が円を描いて歪んでいく。
「なんか顔色悪くない?」
「大丈夫?」
「おーい」
何か言っているようだけれど聞こえない。
「バタッ」
僕はとうとう倒れた。
次に目が覚めた時、僕はベッドの上に横たわっていた。どうやらここは保健室らしい。
「あら、目が覚めたのね。」
白いカーテンを開けて入ってきた、メガネをかけた痩せ気味の女の人が話しかけてきた。首にぶら下げてある職員がつける札のようなものを見ると、そこには太いゴシック体で「夢中」と書いてある。僕と同じ名字だ。今時「夢中」なんて名字珍しいな。でもこれで分かった。どうやらこの女性は保健室の先生らしい。
僕がとっさに起きあがろうとすると、手のひらをこちらに向けて大きく上下に動かし、安静にしていてと言うように笑顔を見せ、隣にあった椅子に腰掛けた。
おそらく、僕の目の下にある大きな「クマ」に気がついたんだろう。夢中先生は、
「倒れた原因は、、、睡眠不足かな。大丈夫なの?最近眠れてる?」
と心配そうに聞いてきた。
「はい。でも、昨日は転校初日で緊張してて。よく眠れなかったのかもしれません。でも普段はきちんと眠れているから大丈夫ですよ。」
「嘘よ!絶対大丈夫なんかじゃない!強がらないで。悩みがあるなら溜め込まないで誰かに相談しなさい!私にでもいいのよ⁉︎」
びっくりした。それはこの人が突然初対面の僕に説教してきたのもあるけれど、問題はそこじゃない。このお人好しな態度、きつい口調、そして何より説教する時にメガネをクイっと上げる仕草が、僕の姉にそっくりだったのだ。そういえば名字も華奢な見た目もそっくりだ。
でもありえない。学校にいることがというよりも、この世にに存在することが!
姉は、レイカは、先月亡くなったのだ。ここに居るはずが無い。
「どうしたのよ?」
僕が戸惑っていると、姉にそっくりの夢中先生が顔を覗き込んできた。ほら早くと言わんばかりに僕の目をジロジロと見てくる。
(話してもいいのだろうか?)
一瞬そのような思考が頭をよぎった。僕には悩みと言っても、他の人とは少し違う、特殊な悩みがあるのだ。
僕には人に呪いをかける能力がある。
それは今思えば、幼少期の、物心がつき始めた頃から始まっていた。
「なあムチュウムチュウ!昨日どんな夢見た?」
「ムチュウじゃなくてユメナカだよ!夢?そうだなぁ、昨日は確かロープで手足を縛られて、なんか覆面被った人がナイフ持っててそれから、、、」
「え、怖、、、何その夢!そういえばお前、昨日もその前も死ぬ夢じゃなかったか?」
「死んだとは言ってないじゃん!でも毎日そうだよ?逆に怖くない夢なんて見る人いるの?」
「いるも何も、お前みたいに変な夢見るの、きっとそうそういないぞ?俺なんて毎日ハッピーな夢ばっかだよ!昨日は確か、、、」
この時初めて気づいた。自分が他の人と違うことを。でもこれは、単なる予兆に過ぎなかったんだ。後日、そのクラスメイトは何者かに誘拐され、体と心に大きな傷を負った。
「お前のせいだ!お前の話を聞いたせいで俺は誘拐されたんだ!」
「夢中リクと話した人は呪われる」そんなウワサが流れ始めた。その日から学校で、僕の周りには誰もいなくなった。
でも家では違った。僕には両親が家にいなかったが、年の離れた姉が僕の面倒を見てくれていた。その姉だけは、傷ついた心を優しく癒してくれた。勿論キツイ口調ではあったが、いつも僕の心配をしてくれていた。
「僕が話すと、誰かが呪われるって本当なのかな?みんなそう言うんだ。」
「何言ってんの?馬鹿言うんじゃないわよ!あれはたまたまに決まってるでしょう?」
「でも、、、」
「あんたはイイコなんだから、もっと自分に自信持って、堂々としてなさい?」
その言葉のおかげで僕は、なんとか無事に小学校を卒業できた。
中学生になり、相変わらず悪夢こそ見たが、姉の言葉もあってか、次第に自分も、ただの偶然だと思うようになり、この出来事は僕の中で封印された。
あの出来事があるまでは。
中学に上がって、新しい生活にも慣れてきた、6月中旬ごろだった。あの日は夏が始まったばかりにも関わらず、やけに暑苦しく、中々寝つけなかったので、網戸を全開にして夜風を部屋中に行き渡らせた。さっきまでの暑さが少し和らいだように感じた。目を瞑って、夢の中に落ちていく。今日も、最悪の時間がやってきた。
僕の見る悪夢は種類があって、交通事故や誘拐事件、最悪の場合殺人事件などがあるけれど、主に2種類。例えば、殺人の悪夢を見たとすると、人が殺されるのを見る「客観」と、自分が殺される「主観」の2種類だ。自分に悪いことが起きるのは確かに怖いけど、人が嫌な目にあったりするのも、いくら夢の中とはいえ気の毒で見たくない。その上「客観」の時は、自分の意志で動いたり、喋ったりできないから、助けることも出来ないし、ただ見ていることしかできないのだ。今日は一体、どちらの夢を見ないといけないのだろうか…。
やがて頭の中がぼんやりしてきて、10メートルくらい先に人らしき影が見えてきた。顔はぼやけていて見えないが、背の高い人物と、髪の長い女性とが、何やらもみあっている。ただの喧嘩ならまだいいのだが…。この状況だとたぶん…。次の瞬間、背の高い方が刃物を取り出し、髪の長い方に突き出した。よく見ると、背の高い人物は覆面をしている。どうやら悪い予感は的中してしまったようだ。髪の女性は逃げ回り、ソファーの上にいてあるクッションや、棚の上に飾ってあるトロフィーなどを投げ、必死に抵抗しているが、覆面を被った人物はびくともせず、刃物をふりかざして詰め寄って、とうとう刺されてしまった。何度も何度も何度も刺されて、女性はそのまま動かなくなった。覆面の人物は転がったトロフィーの中から何かを取り出し、それを奪い去っていった。ん?トロフィー?確かうちにも棚の上にトロフィーが飾ってある。
そう思った瞬間、さっきまでぼやけていた視界が急にハッキリして、目の前の女性の死体が、生々しいほどにはっきりと映し出された。それは夢にしては出来過ぎなくらいリアルで、気分が悪くなりそうだった。でもそれ以上に悲しみと怒りのほうが勝ったのは、その女性が、自分の姉だったからだ。
酷い夢だ。いくら夢の中とはいえ、あの覆面の人物が許せなかった。これが客観ではなく動けたら、すぐさま後を追いかけて、間違いなくそいつをボコボコにしていただろう。でもその考えはすぐに消えた。
「リク、ごめん…ね。最後まで…寂しく…させて。」
姉が最後の力を振り絞って、言ったのだ。何言ってんだ。ただの夢だろう?また目を覚ませば、元気な姉の姿が飽きるほど見られるんだよ!わかっているのに、心臓の奥がキュウっと痛くて、痛くて痛くて止まらない、涙が。今の僕の寝顔は、見れたものじゃあないだろう。きっと涙でぐちょぐちょだ。早く起きなければ。もう見たくない!そう思っても、この夢はまだまだ続く。それから救急車と警察が来て、葬儀があって、姉は墓の中に埋葬された。まるで何週間も経っているかのように感じる、それはそれは長い夢だった。このままずっと夢の中だったらどうしよう!そんなことさえ考えた、次の瞬間!さっきまで体に覆いかぶさっていた、重い鎖のようなものがなくなった。とっさに僕は飛び起き、やっとの思いで夢から覚めた。まるで何週間も眠っていたように感じたが、まだ3時間しか経っていなくて、時刻は午前2時を過ぎた辺りだった。
信じられない!まさか姉が殺される夢を見るなんて。先程夢の中で目の当たりにした、変わり果て、無残な姿になった姉の死体が、目が覚めてもまだなお頭にこびりついて離れない。こんな夢を見るのは初めてだ。涙と冷や汗が止まらなくって、しばらくベッドの上で固まっていた。30分くらい経過しただろうか。急に喉元がじんと熱くなったと同時に、どっと猛烈な暑さが襲ってきた。生暖かい空気が部屋中にこもっている。きっと変な夢をみたのは、この暑さのせいだ。きっとそうだ。とりあえず何か冷やす物を持ってこよう。僕は急いで部屋の扉を開け、涙を拭いながら階段をかけ降り、一階の冷蔵庫から氷枕をとりに行った。階段を降りるたびに、裸足の足がヒンヤリして気持ちがいい。あっという間に一階に着くと、ドアの隙間から、何やら光が漏れている。僕はそっとドアを開けた。すると珍しく、そこには姉がまだ家にいて、ソファーに腰掛けていた。
「よかった、ちゃんと居る。」
思わず声が出てしまった。
(ん?でも何でこんな時間に家にいるのだろう?)
僕の家庭は少し複雑で、姉とは血が繋がっていなく、両親の再婚で家族になった。僕は父親の連れ子、姉は母親の連れ子で、その頃はまだ僕は5歳、姉は18歳と歳がかなり離れていたから、家族の中で僕は一番年下で、いつもみんなから可愛がられていた。幼いながら、いい家族だと思っていた。
でもそれは長くは続かなかった。
父親が交通事故で他界したのだ。僕が7歳、姉が20歳の時だった。
それから母は、貧しさから、次第におかしくなっていった。朝から晩まで働いて、心と身体を壊し、僕に暴力を振るうようになった。
「アンタなんていなければよかった。」
何度もそんな言葉をあびせた。仕方がない。実の子供でもない他人の僕に、数少ないお金を払わないといけないのだから。父親がいなくなった時点で、僕はもうこの人にとって家族でも何でもない、ただの重荷に過ぎないのだから。姉が学校に通っている間、何度も何度も殴られた。ある時それを、早帰りしてきた姉に目撃され、母は警察に通報された。今は精神科病院に入院している。
それからというもの、姉が成人していることもあり、僕は姉と二人暮らしになった。
姉は僕を養うため、通っていた大学を中退し、自動車関連の会社で夜勤勤務している。
どうして家にいるのだろうと気になりはしたが、二十歳になったばかりの女性が、自分だけではなく弟の面倒まで見ているのだ。こんなことになっていなければ、今頃は大学も卒業して、オシャレをしたり友達と出掛けたり、もしかしたら結婚だってしていたかもしれない。一日くらい仕事を休みたい気持ちになるのも無理はない。もしかしたら仕事で失敗して落ち込んでいるのかもしれない。どちらにせよ、そっとしておこう。姉はプライドが高く、落ち込んでいる時に話かけられるのが嫌いなのだ。だからこんな時は、むやみに、「何かあった?」とかいうのはよそう。それに僕はもう十四なんだぞ!いくら怖い夢を見たからって、兄弟に泣きついたりしない。
本当は小さい頃のように、今すぐにでも姉に抱きついて、自分の見たあの怖い夢について話したかったが、そう自分に言い聞かせて、キンキンに冷えた氷枕を片手に、僕はその場を後にした。もしこの時話しかけていたら、何か違ったのかもしれない。少なくとも姉は、「何泣いてんのよ。私はちゃんといるから大丈夫!ほら、今もピンピンしてるわ!」とでも言って、僕を慰めてくれただろう。まさか何も話せずにお別れだなんて。
それが僕が見た、姉の最後の姿になった。
翌日の朝、僕が起きると、姉は冷たくなって倒れていた。僕が見たあの夢の通り、大量の血を流した、無残な姿で。
その時のことは、思い出しただけで息が苦しくなる。
しばらくその場に立ち尽くして、ようやくことを理解すると、すぐさま救急車と警察に電話した。スマホを持つ手が震えて、何度も番号を打ち間違えた。救急車と警察が来るまでの間、僕はずっと、「これもまた夢なのではないか」と思った。いや、そう思いたかったのだ。
でもこれは紛れもない事実で、目の前で次々と、夢と同じように、葬儀や埋葬が行われた。
でも不思議と、夢の時と違って涙は出なかった。まるでこちらの方が夢のようだ。実感がない。長い長い映画を、ただボーッと眺めているみたいだ。
きっと実の母は、僕を引き取るのが嫌だったのだろう。父が死んだ時も、僕を引き取ろうとはしなかったから。僕は、父親と離婚して別れた、実の母型の祖母の家に預けられることになった。電車で片道4時間の、遠い遠い田舎町だ。
祖母は足腰が弱いため、一人でその田舎町に行かなければならない。
スマホで行き方を調べて、電車に乗る。荷物は何もない。警察が、殺人事件の調査で家を家宅捜索中だからだ。あるのは僕と服と、新しく買った着替え、それとスマホだけ。
電車に揺れながら、今まであったことを思い出す。
「死因は、刃物による切り傷からの出血死です。それと、犯人は2階の子供部屋の窓から侵入したと推測されます。」
姉の死亡が搬送された病院で確認された翌日、警察が親戚と僕を集めて、捜査状況を話した。犯人はまだ捕まっていないそうだ。
「かわいそうに、まだ二十七だったって。」
「人間、いつ死ぬかわからないものねえ。」
葬儀の時、叔父さんや叔母さんたちが、ひそひそ声で話していたのを聞いた。
「聞いた?夢中の姉ちゃん死んじゃったって。」
「アイツの家確か父ちゃんも死んだって言ってなかったけ?」
「あいつと話すと呪われるってホントだったんだ~!」
「ちょっ、やめなよかわいそうだって~笑」
「そうだぞ?あいつ今ボッチなんだから優しくしてあげろよ?」
「ギャハハハハッ」
中学が変わるのは苦じゃなかった。小学校のあの事件から、僕には悪い噂が流れていて、近寄ってくる人はいなかったから。でも今回の事件で、その噂は本物となった。
「僕の見た夢は全て現実のなる。僕は呪われた子なんだ」
自分でもとうとう確信した。
僕のせいで姉は死んだ。僕の呪いのせいだ。
リクの前に現れた女性は何者なのか?リクは悲しい過去を乗り越えられるのか?
次回も楽しみに🌸