家族のこと
さて、私のルーツで最もキーになっているのが
家族
だと思っています。
我が家は平凡な田舎の自営業。そう、なんてことない普通。
唯一何か違っていたといえば、母が私には怒らなかったことだ。
保育園をずる休みしても、門限みたいなものを守らなかったとしても。一度たりとも、怒られたことがない。
ただし、ほめられたこともないのだと気づいたのは、本当にごくごく最近。
そのかわり、父は顔が瓜二つな私のことを溺愛した。ただし、父親のポジションは我が家では非常に低かったため、何も得することはなかった。悲しい。
小学生のある日、深夜に店舗部分で大人の大声が聞こえた。私と姉、そして妹は手をつないでそこに向かった。
そこには、泣きわめく母。
黙ってうつむく父。
そしてなぜか叔父。
そしてそして祖父母。
子供ながらに異常事態なんだと悟った。
そのとき
「〇ちゃん(妹)は私が育てる。〇〇ちゃん(姉)は本人がついていきたいほうにいけばいい」と母が叫び、妹を私から引き離す。
おろおろする姉を横目に、そのまま母は妹を連れて出て行った。
姉は泣き叫んでいたが、私は妙に冷静だった。
「あれ、私ってお母さんの育てたいリストには全く存在しないやつなのか」「これはリコンってやつだ。もう2度と会えないんだな、きっと」
そんなことを考えていた。
来る日も来る日も、姉は毎日母の帰りを待っていた。
私は淡々と日常を過ごしていた。
いつの日か、母は帰宅していた。
そしてまた日常がはじまる。
私はいい子になろうとした。
捨てられない、いい子。
お手伝いを申し出た。
「もう、邪魔だから手を出さないで」とあしらわれた。
勉強を頑張ってみた。学年で1位を取った。
「ふーん。調子のるんじゃないよ」と喝がはいった。
足りないんだと思ってさらに勉強した。全国模試で3位以内に入った。
無視だった。
今なら「おぉい!そりゃないよ!」と突っ込めるが当時は無理だった。
そして、何もかもが無意味に思えた。
高校は実家から一番遠くて、ほどほどに頭がよくて校則が自由な学校にしようと決めた。あこがれのヴィヴィアンウエストウッドのオーブのネックレスを制服にあわせちゃおう、と決めた。
高校に合格して、すぐに金髪にしてピアスをあけた。
19歳の彼氏ができて、ほとんど家に帰らなくなった。
ほどほどに頭の良い学校と特進クラスに入ってしまったせいで、まぁクラスでは完全に浮いた。クラスの子たちを完全に見下していた。
ルーズソックス全盛期なご時世に、ボーダーソックスにマーチンを履いて登校した。目立ちたかったし、自分の好きなものを曲げたくなかった。唯一一緒にいたのは高校3年生の先輩だった。私と同じように髪をピンクに染めて、ピアスをした人。クラブにいったり、おしゃれな大人たちとの飲みに行ったり、イベントしたり、そんなことを教えてくれた。
話がそれてしまった。
まぁその時期には、夜遊びで補導されるし、お金が欲しくてコンパニオンやキャバクラで働いてたりしたし、もう家族の誰とも口を利くことはなかった。
きっとずっと、誰かに認めてほしかった。
皆に注目してほしかった、関心を持ってほしかった。
嫌われたくなくて、バリアをはって自分から遠ざけていた。
男性はいつも私にやさしかった。女性はいつも私を蹴落とそうとしていた。
おしゃれをすることは、私のポジションを引き上げた。
そうだ、それが私の永遠に続く反抗期とクソみたいな人生の根っこだ。