素晴らしき日々―不連続存在―プレイ後感想
PCゲームである素晴らしき日々をプレイしていて、先ほどタイトルにもなっているルートである素晴らしき日々をクリアしました。まだ全ルートをクリアしていない段階で感想を述べるのもどうかと思いますが、記憶が温かいうちに書き残しておきたいと思います。
このゲームは一つの事件を複数人の視点でそれぞれ追っていくという形になっています。(第1章は〇〇さん視点、第2章は〇〇さん視点といった形です。)話の内容自体は簡単ではなく、高名な詩の運用や電波文章も散見されるので読み進めやすいとは言えないかもです。しかし、この視点主人公を章ごとに入れ替えていくという構成がとても話を理解しやすくしてくれています。
例えば、同じ学校の屋上というシーンをとってみてもどの章の時点までクリアしているかで印象が大きく変わります。章を追うごとに少しずつ謎が明らかになっていくので、2章時点ではチンプンカンプンだった屋上のシーンも、後半の章では心にくるシーンに感じる…といったことがおこりえます。とにかくこのすこしずつ謎を明らかにしていく具合が絶妙に上手く、先が気になってやめられないという、ある種中毒的な面白さにつながっています。(実際、張られている伏線の数もものすごいので忘れないうちにプレイするのは正解だったりします。)
またこのゲームにはある種プレイヤーをだますというか、錯覚させるように書かれている一つのトリックがあります。そのトリック自体は今の時代となっては特段珍しいものとは言えません。(個人的には月姫を思い出しました。)しかしこの大きな謎が明らかになってからの盛り上がりが良く、またその謎自体もキャラクターの掘り下げにつながっているので謎が明らかになってしまったら面白さが減退してしまうということはなく、むしろより楽しめました。
序章までは穏やかなムードで物語は進むのですが、途中からかなりハードないじめ描写が結構なボリュームで続きます。ここが本当にきつくて、最後のほうは音声をミュートにしてひたすら読み進める感じになっていました。自分はこういったいじめ描写や極度な鬱シーンが連続する作品はあまり得意ではなかったので、今までプレイすることはありませんでした。(素晴らしき日々のROM自体は友人に貸してもらったものです。)しかし、今こうしてエンディングまでプレイしてみると、あそこの描写はひたすら悲惨さを演出するためのものではなく、作品の展開上、キャラクター描写上必要であったことが分かります。事前にこのゲームに過激な描写があることを知っていたらまずプレイしなかったでしょうし、自分がこう感じたことは驚きでした。
このゲームはBGMも秀逸です。月並みな表現ですが、作品の世界観をよく表していると思います。「ナグルファルの船上にて」と「空気力学少女と少年の詩」が特にお気に入りです。全ルートクリアしたらサウンドモードも解放されるらしいのでとても楽しみです。
残酷な描写に読み進めていくのが大変な内容と、万人には進めにくいゲームになってはいますがはまる人にはとことんはまると思います。是非プレイしてみてください。