旅と恋〜わたしたちは旅をやめられない〜


そういえばだけどTABIPPOで#わたしたちは旅をやめられない で結構前に記事を募集してて、書こうと思ったのに忘れてた。

今更だけど、私が旅をやめられない理由を私の初めての一人旅と重ねて書いちゃいました!

旅と恋の話もでてくるかも、、、?



私が旅をやめられない理由

それはわくわく だ

わくわくっていうとどこか幼稚な響きだけど。

このわくわくという一言に様々な意味や思いがある。



自分への今年の誕生日プレゼントは長年の『夢』をプレゼントしよう!と決めた2018年の今頃。

私の夢は世界一綺麗な星空を見ることだった。

世界一の星空、それは日本から遥か遠くニュージーランドのテカポにある。

ちょうど後輩がワーキングホリデーに行っていたこともあって、行き先はそこに決めた。


大失恋から立ち直りかけだし行けば何か変わるかな〜って、少しは忘れられるかなって少しの期待を持ちつつ最初は割と軽い気持ちで準備を進めてた。

仕事終わりや休日に旅行代理店に通って航空券を取り、ツアーやバスを申し込んで、毎日ガイドブックを眺めて、行きたいところに付箋を貼る。


服はどうしよう?せっかくだからちょっぴり大胆に脚を出しちゃおっかな?


アクセサリーはどれを持っていこう?やっぱり一番お気に入りのやつかな?

あ!ずっと仕舞っぱなしだったカメラもっていかなきゃ!


あれ?なんかわくわくしてきたぞ!?

出発の日が近づくにつれて徐々にわくわくが増えていく。


そういう日々を過ごしていくうちに、準備でパンパンになっていく真新品のキャリーケースの中身みたいに私の心も徐々にわくわくで満たされていった。

(今思うと初心者の旅って荷物多くなりがちだよね。笑)


いよいよ出発の日。

ギリギリでの準備ってこともあって、正直疲労は困憊、でもわくわくは止まらない。


いよいよかあ、楽しみすぎるな〜!

あ、そう言えばあの人が一番愛した人は今ニュージーランドに住んでるんだよね、、、。


ほんの少し、頭の片隅にあの人の影を落としながら飛行機は私をニュージーランドへと連れて行ってくれた。


飛行機を降りてすぐ思いっきり深呼吸をして

『ふう〜、海外って空気からして違うんだなぁ』って一言。

我ながらなんてミーハーな言葉。


でもその時は見るもの全てが新しくて、ミーハーな私は海外の雰囲気に思いっきり飛び込んでいった。


ワーキングホリデーで来ている後輩のお世話になりながら数日かけてどんどんニュージーランドでやりたいことリストを叶えていく。

ラム肉を食べる、羊の大群をみる、バンジージャンプを飛ぶ、ホーキーポーキーアイスを食べる


リストを叶えながら次の町、いよいよ長年思いを馳せた場所を目指す。

長い道路をひたすら走ること3時間

やっと、やっとやっとやっと!!!

到着した念願のテカポ湖。


テカポ湖に着くまでにかかった時間は3時間、

でもこの『夢』にたどり着くまでかかった時間は一体何年だっただろう。

何年抱えていたかすら忘れてしまうくらい長い間想い続けていた。

その場所に今私は立っている。

感無量。この一言に尽きる。



そして夜に参加した天文台のツアーでいよいよ世界一の星空とのご対面!

バスにゆられながらマウントジョン天文台へと近づいていく。

窓の外にはすでに星が少し見えたけどあえて見ないようにした。

着いた時のお楽しみというやつだ。


バスを降りて目の前に広がる満天の星空を眺めて『うわあ、、、』と一言。

寒さで白くなった息とともに出た言葉は、たったのこれだけだった。

言葉にならない。呼吸が止まる。

圧巻の星空、息を飲む絶景がそこにはあった。


宝石箱をひっくり返したような、とよく比喩されるけど

そんなもんじゃない。


夜空に光る砂をばらまいたような数の星。

その無数の星が夜空の下で眩しいとさえ感じるくらい瞬いていて、美しすぎてただただ泣いた。

景色を見て涙を流したのはこれが初めてで、視界が滲んでも、涙の向こうで変わらず星は煌めいていた。


日本でもあの人を思ってたくさん、たくさん泣いたけど、どうやら涙にも温度というものがあるようで

ニュージーランドで流したそれはあたたかい涙だった。


日本では決して見ることができない輝きたちを前に『ああ、この時間が永遠に続けばいいのに』という切なる想いが心の底から溢れてきたのを今でも鮮明に覚えている。

恋人にだってこんな風に思ったことはないのにね。笑


星空に圧倒されつつもようやく言葉を発せるようになった頃、ツアーの参加者にホットチョコレートが配られた。

『美味しいね』

『星が綺麗だね』

相手がいるからこそ言い合える幸せを、飲んでいたホットチョコレートの甘味と共に噛み締める。


ツアーに参加して小一時間ほど経った頃だろうか、


『まもなく終了ですのでバスに戻りましょう』


永遠に続けばいい、そんな切なる願いも虚しくガイドさんは星空の旅の終わりを告げる。


感動の星空は心とこの目に焼き付けて、私たちはバスに乗り込みマウントジョンを後にした。



夜が明けて翌日、またやりたいことリストの続きを叶えていった。

フラットホワイトをのむ、良き羊飼いの教会にいく、ルピナスの花をみる

そして午後、私は次の街を目指すために、3日間旅に付き合ってくれた後輩と別れなければならなかった。

『それじゃ3日間ありがとうね。日本帰ってきたらお酒のもー!』

なんていつも日本でも交わしていたありきたりな会話をしてバイバイのハグをした。

バイバイの時にハグをするなんてこの3日間で私も海外風に吹かれたものだな、とクスッと笑いバスに乗り窓の外の後輩に手を振る。

バスが動くと同時に、何故か私の心までも揺れ動いてしまったのか昨日に引き続きボロボロと涙が溢れてしまった。


昨日よりはほんの少し冷たい涙。


え!?待って、バイバイが寂しい!

だってもう一緒に旅が出来なくなっちゃうかもしれない!あいつが結婚してしまったらもう一緒に旅に行けないじゃない!!

そう、3日間一緒に旅をした後輩は実は先日彼女が出来たばかり。

もう何年も彼女がいなくて、だからこそしょっちゅう一緒に馬鹿なことばっかりやっていた子なのだ。

つい昨日は彼女できて良かったね、と何も特別な想いもなく言っていたのに!

嫌だ!寂しい!どこにもいかないで!


その時は何でそんなふうに思ったのか、何故涙を流したのか分からなかった。

その涙の正体を知るのは日本に帰った後のことである。



翌日の4日目、日本へ帰る朝が来た


永遠を願っても、ボロボロ泣いても、

歩みを進めれば旅は終わるし飛行機は私を日本へ連れて行く。


朝から大寝坊やらかして飛行機が出発する40分前に空港ついてここでも涙目。いろんな意味で。笑


今こうやって振り返ると我ながら泣きすぎじゃない?って思うけど、大丈夫、その100倍笑った旅だったから。

そして何もかもが特別で愛おしい旅だった。


現地の人々は優しさをくれて

太陽は元気を、

星空は感動をくれて

叶えた夢は私に自信をくれた。


そしてもう二度とあんなに人を深く愛することは無いだろうと思っていた私に、旅は愛する力をくれたのだ。


日本に戻ってきて迎えに来てもらった車に乗り込んで旅の疲れがどっと出る、、、と思ったのだが夢を叶えたという高揚感しかなかった。

念願だった夢を私は私の力で叶えたんだ!

今なら何でもできる!どこへでも行ける!


私、


世界一周に行く!!!



こうして、ニュージーランドに行くまでの、大恋愛に苦しんだ2年間の悪夢は唐突に終わりを迎えていた。

頭の片隅にいたあの人のことなど、旅で味わった感動を前にすっかりどこかへと消え去っていたのだ。

それくらい私にとってインパクトのある旅だった。


旅のいいところは自分の中の無限の可能性に気付けること、そして自分に自信がつくことだ。

自分なんでもできるっていう自信、

またちゃんと人を好きになることができるという自信。

その自信が次の旅へのわくわくになる。


そしてこのわくわくが1年後、私を世界一周へと導いた。



実をいうと例の後輩に告白をしてこっぴどく振られてしまったのだが、私はもう振り返ることなどしなかった。

なぜならば私の心はこの上ないわくわくで満たされていたから!


次はどんな世界が!どんな愛が!

私を待ち受けているのだろう!

わくわくして仕方ない!


ああ、これだから、


これだから、


私は旅をやめることができない。






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