“鬼嫁”と波乗りで生み出した、『シュガーリングペースト』物語
パート1:はじまりはキッチンだった
ここは、かつて小さなレストランの
バックヤードとして
使っていたキッチン。
吊るされた鍋、整然と並んだ
ボウルやスパチュラ、
計量スプーンが光を受けて
わずかに揺れている。
一見、どこにでもありそうな調理場だが、
いま私が手にしているのは
オリーブオイルでもバターでもなく、
“砂糖”だ。
もともと私はシェフ歴が20年以上ある
美味しいものを追求し、
素材を厳選し、その特性を
最大限に引き出して
皿に盛り付ける日々。
しかし、今、このキッチンで
行われているのは
“食べるため”ではなく
“肌に塗るため”の実験作業。
砂糖をベースにした、
粘り気のある不思議な
ペーストを練っている。
甘い香りが鼻をくすぐり、
無意識に舌先で味を
イメージするけれど、
これはお菓子じゃない。
シュガーリングペースト、
つまり“体毛を抜くため”の妙な代物だ。
……どうしてこうなったのか?
その答えを語るには、
少し家庭内事情と私の宗教的にハマっている趣味に
ついて触れなければならない。
パート2:鬼嫁という名の開発ディレクター
ことの発端は、
本当は決して鬼嫁ではない
いつもサーフィンへ
行かせてくれる寛大な
愛する妻による一言だった。
「なあ、シュガーリングって知ってる?
私、あれやるわ」
そのときの彼女の表情は、まるで
「来週、韓国行く?」
くらいの軽いノリ。
とまあ、否定する理由もないので
シュガーリングとは、
砂糖・水・レモン
自然由来の成分で作る
脱毛ペーストを肌に塗り、
毛根ごとするりと抜く手法。
ブラジリアンに比べ痛みが少なく、
初心者にも扱いやすいと聞くが、
市販品を買ってくれば済む話。
なのになぜか、妻は
「あじよしは、元シェフやろ?
自分で作れんちゃう?」
と悪魔のささやき。
美味しいメニューを生み出すことは
得意だったが、“食べない”ペーストを
作るなんて初耳だ。
しかし、ここで私のヘンタイ魂に火がついた。
「うふん、やってみよか♡」
こうして、妻の無茶ブリがきっかけで、
“シュガーリングペースト職人”への
道が開かれてしまった。
パート3:サーフワックスで培った粘度調整力
さらに奇妙なことに、
私にはもう一つの趣味がある。
サーフィンだ。
波に乗るためには、
ボードにワックスを塗って
適度なグリップを得る必要がある。
私は市販品に満足できず、
自作のサーフワックスを
研究していた時期があった。
硬さ、柔らかさ、表面の粘り、
環境温度に応じた調整……
そういう知識が積み重なっている。
「これ、サーフワックスの
考え方が活かせるかも?」
砂糖、水、レモン汁を
温度管理しながら煮詰める。
微妙な火加減で粘度が変わり、
固さが左右される。
サーフワックスで感じ取った
“手触り”のノウハウを総動員し、
素材オタク的な職人気質を炸裂させる。
甘くてとろりとしたペーストは、
やがて理想の粘度に近づいていく。
ここには食品を扱う際の
徹底した衛生管理も生きてくる。
肌に直接触れるものだからこそ、
食品衛生レベルの
安全意識で作り上げる。
砂糖が織りなす優しい甘みの世界と、
サーファー魂が求める粘度バランス。
その交差点に、
変態的職人芸が花開くのだ。
パート4:シュガーリストの快進撃
そんなある日、プロのシュガーリストや
シュガーリングスクール出身者
が業務用ペーストを渡り歩いている、
いわば“本気組”の女性が
私の実験を覗き込んだ。
数種類の業務用ペーストを
試してきた彼女は、
私の手作りペーストを触った瞬間、
目を丸くし
「なにこれ、扱いやすっ!
しかも仕上がりも絶妙じゃない?」
と興奮気味だった。
彼女はそのまま勢いでサロンを立ち上げた。
1年後、サロンは閑散期である冬でも忙しいと聞く。
もちろん、彼女が成功した要因は
ペーストだけではない。
元々サロン開業に向けて計画的に動き、
お客様への丁寧な対応や技術力を
磨いてきた結果が実を結んだ。
その中で、私のペーストは
あくまで“一部”として後押ししたに過ぎない。
しかし、それが微妙な背中押しとなり、
彼女がさらに前進できたことは確かなようだ。
単なる脱毛ペーストが、
人を豊かにするツールの
一角を担った
——そんな手応えが、私にはあった。
パート5:脱毛を超えて…ここだけの話
さて、ここだけの話だが、
最近ちょっと面白いウワサを耳にした。
あるお客さんが、
こんな報告をしてくれた。
「ねえ、あのペーストで
ケアするようになってから、
前より肌がカサカサしづらくなったのよ。
ホラ、冬なのにしっとりしてる!
しかも髪までバサバサが減ったような…
とにかく“私的には”超ご機嫌なの!」
……待て待て、こっちは元シェフで、
ただの素材好きオヤジ。
医学も美容科学も専門外だ。
だからこそ、
私は声を潜めて言うしかない。
「しーっ!それはあくまで
あなた個人の感想で、
人それぞれだし、
なんなら気のせいかもしれませんよ。
ね、ここだけの話にしておいて!」
もちろん、この件で私が何か
保証することは一切ない。
エビデンスもなければ、
効果効能を口にしたら、
大人の事情で怒られる。
でも、お客さんが勝手に
テンション上がって、
乾燥の冬を強気に乗り越える
気分になってるなら、
それはそれでほほえましい。
あくまで“感じ方は人それぞれ”
という前提付きだが、
こうして笑顔で肌や髪を
撫でまわす人がいると、
私としては内心、
ウレション状態
結局、ペーストは毛を
抜くための存在なのに、
副産物まで生み出しているらしい。
まさかこんな方向で
喜ばれるとは思わなかったが、
人生何が起きるかわからない
――それがまた面白いところだ。
パート6:新たな波に乗る予感
振り返ると、このシュガーリングペーストには
様々な人間模様が織り込まれている。
妻の好奇心が私の職人魂に火をつけ、
サーフワックス作りで培った
粘度調整力が活かされた。
そしてサロンオーナーは、
自らの技術やサービス向上努力に、
ペーストをひとつの
武器として取り込み、
成功へと歩みを進める。
お客さんたちは、新たな価値を
発見して笑顔になっている。
こうした要素が交錯することで、
“脱毛ペースト”は“人生の一部”へと
変わっていくのだろう。
これから先、
このペーストがどのような波に乗り、
どんな物語を紡いでいくのかはわからない。
古い伝統的な技法が現代に甦り、
各家庭で手作りされる
風景が広がるかもしれないし、
新たな利用法が見つかり、
さらなる笑顔を誘発するかもしれない。
確かなのは、
もうこのペーストが単なる
“毛を抜く道具”にはとどまらないということ。
あの甘い香りのキッチンで
始まった小さなドラマが、
人を豊かにし、そしていつしか
「肌がいい感じ」
と噂されるまでになった。
奇妙で笑える背景が、
かえってこのペーストの
魅力を引き立てている気がする。
私は今日もスパチュラ片手に、
砂糖の山を見つめる。
次なるステップがすぐそこに
待ち構えているような、
そんな予感がしてならない。
あとがき
……さて、ここまで読んで
『そのペースト、
実際どうやって作るの?』
とか、
『もっと詳しい話や、
新たな展開を知りたい!』
なんて思った方もいるかもしれません。
たとえ一人でも『続きを知りたい』と
言ってくれる方がいるのなら、
全レシピや裏テクニックを暴露する
2章を執筆します
もし、このネット情報では
得られないペーストの作り方や、
その後の物語がどう
展開していくのか気になったら
ぜひこのノートに「いいね」を押して、
足あとを残していってください。
甘い香りと笑いをお土産に、
またお会いしましょう。
シュガーリングペースト物語は、
まだまだ続く予感がします。
あなたがこの先の一章を
一緒に紡いでくれたら、
こんなに嬉しいことはありません。」