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【7月1日〜7月9日】フランス各地

ついに追いつかなくなりました。
フランスに入って今日で10日目。またも目まぐるしい日々です。

【7月1日】
◉ご紹介いただいた方と合流するため、ロンドンからリールへ。
リールはフランスとベルギーの国境に限りなく近い町。
日本で言う新幹線のユーロスターは直前で取ろうとすると5万円もするので、高速バスに予定変更。それでも1万円くらい。円高・・・・。

◉その方はフランスで照明のスタッフをされている。
フランス人のパートナーさんも照明さん。
夏季休暇に入っているから見れないかも、とおっしゃっていた
リールのオペラ座のスタッフがカフェでお茶しているところに遭遇。
中を見れないか聞いてみたら、いいよ〜と中を案内してもらえることに。

◉20年以上ぶりというバトン(劇場の機構。照明や舞台美術を吊るためのもの)の改修工事。メンテナンス?
こんなに全部機構がおりてるの初めてみた!


◉ちょっと町を散策してから、お宅へ。
リールはフランスで10番に大きな都市だそう。ロンドンからもベルギーからも近いので国外の観光客も結構来る。
国境が近い町って、看板が何か国語も書いてあって面白い。

◉ホームステイ。可愛い飼い猫のボニさん。人懐こい。可愛い。

【7月2日】
◉早朝から、雨の中聖火リレーを見に1時間ほど離れた町へ。
お隣のおじちゃんが走るんだって。
3年前に上田でも聖火リレー見たな・・。
夏の聖火リレーを3年後に見ることなんて、そうそうないよな・・。

日本と違って、コカ・コーラのパレードはなかった。
出資しなくてもできるってことなのかな・・。


真似っこ

◉おうちのある、サンタマン=レゾーの町をぶらり見学。
帰ってから、パートナーさんに誘われボードゲームに興じる。
子どもの頃から、ゲームと名のつくものはからきしだめなのです。

【7月3日】
◉午前中に出発し、ガールスカウト・ボーイスカウトのようなもの、の集合場所へご家族を送りに行ってから、フェニックス劇場へ。
そのアクティビティもタダで参加できるんだそう。2週間、食事付き!
たくさんの家族が集まって、高校生くらいの若者が続々バスに乗り込んでた。


◉その方が一番よく行く劇場だそうで、じっくり丁寧にたくさん見学させていただいた。以下、テクニカル的覚書。

◉バトンが50cmおきにあって、70本近くある(!)
美術も照明も音響もその作品ごとにこのバトンをどう使うか決める。
全部もちろん、すのこまで飛ばし切れるのでいらなければ邪魔にはならない。
多くは手引き。電動も少しはある。
綱元操作は下でも上でもできる。シズ積みは上。
床にケーブルを収納できる。SSのケーブル邪魔にならない。

◉大劇場と大スタジオ、その他リハーサル用のスタジオが別の階に3つほどある。
大スタジオにもバトンがあって、仮設したければそれ専用の部材がそろっていて、すのこから簡単に作れる。(ちなみにすのこにもお邪魔した)


◉今日は夏季休暇前の最後のお片付けの日。
各部署スタッフが集まって、休憩中。日本と同じで休憩中はおじさんたちカードするんだね。(笑)

◉大充実の見学を終え、パリへ。
本当はオペラ座(ガルニエ宮)でバレエを見たかったのだけど、当日券手に入らず、断念。

結構、ヨーロッパってバレエよりオペラが優先、みたいな雰囲気があるのだけど、やはりフランスはバレエの地位が高い感じがしていて、だからこそパリで見たかったんだけどな。
しかもこの日の主役はパリ・オペラ座バレエ団で初めてエトワール(団の中で一番上の階級)になったオニール八菜さん。見てみたかったー。
ま、また来た時にね。

【7月4日】

シャガールの天井画。素晴らしい…


◉ガルニエの中が見れないのが悔しすぎて、観光ツアーに行ってみることに。自由見学で、日本語のイヤホンガイドも有料貸し出しあり。
これで23€。(約4,000円)この数の観光客が毎日来て、これだけの金額を落としていく訳か・・・・くらくら。
夏だから観光客が多いにしても。

オリンピック前のお色直しがそこかしこで。
ガルニエも正面が改修中で見れず。。


◉その後、上田にも最近よくいらっしゃっているパリ在住の俳優の方の入られているお芝居の稽古場へ。
日本人の演出家の方が劇場主催の公演に招聘されて、作品を作っているところ。
オリンピックを避けて、2回にわたって稽古が行われるそう。
この日はその前期の終了前日。(前々日?)初日は9月中旬。

◉同じ日本人同士で日本語で会話していても、言葉のニュアンスとか
相手の求めているものが何なのか、汲み取るのが難しいことは往々によくある。というか、クリエイションしていると、それが常。
それが言葉も違う、生きてきた文化も違うもの同士が何かを作ることに対して、向き合って、議論して、進んでいく。出来上がっていく。

◉いろいろと、ここでもアドバイスや現状の話を聞く。

初めての通し稽古を見学させてもらい、時間切れ。
この日はパリから夜行列車に乗ります。


◉この旅で絶対どこかで乗りたかった、夜行列車。
アヴィニヨンを通り過ぎちゃうけど、ニースまで。12時間以上。

◉ごとごと、揺られながら眠りに落ちて、明るくなること目が覚めると車窓の景色が一変している。この感じが好きなんだなあ。
南仏は瓦の色が違う。形も違う。屋根も沖縄みたいに勾配が緩くて、広ーい屋根。


◉せっかくだしちょっと、寄り道するか。くらいのつもりだったニース。
ちょーリゾート地だし、そんなに興味ないだろうなと思っていたけど!
この海の色!
初めてみた!

画家たちが南仏に暮らしたがった意味がよくわかる。
目に写る景色全ての色が違う感じ。日差しも。
町を歩く人々の着ている服の色も違う。明るい色、着たくなるよね。


◉マティス美術館に行ってみることに。
シャガールに行きたくて、時間があるからまずは遠い方と思ってマティスを先にしたら、出てきた時間には何とシャガール美術館はお昼休み。
フランスはお昼休みがあるのが普通らしいです。
残念ながら、時間足りず駅へ。また今度ね。

◉と思ったら、予約していた列車が昨日のものだと判明。
これ、リールで気付いたやつじゃん・・その場で取り直せや。
仕方ないので、必殺、高速バス。

◉ようやく目的地のアヴィニヨンに着く頃には21時。
お祭りで賑わっている感じが城壁の外でも感じられます。

【7月5日】


◉満を辞して、アヴィニヨン演劇祭へ。
城壁に囲まれた小さな町で毎年、3、4週間行われていて世界中から演劇好きが集まるお祭り。
といっても、やはり基本はフランス語で行われていて字幕がついていないことも多いし、お客さんはフランス国内から来ている人が多いイメージ。
少なくとも、アジア人や中東系の人々はあまり見かけない。

◉上田にも公演できてくださったことのある方の公演からスタート。
パントマイム。上田の劇場と同じくらいの大きさのステージと客席。
親密さがよく似ているけど、お客さんの参加する姿勢が全然違う。


◉夜はちょっと離れた野外会場へ。シャトルバスが出ている。
小雨だけど、止む予報になっているしな、と思っていたけど
会場について(22時開演で最初のバスの到着が20時。2時間待ち!)
1時間ほど経ったところで中止のアナウンス。なんと・・・

みんな、雨の中テーブルの下に潜ったり、ベンチを積み重ねて屋根を作ってみたり、ゴミ袋かぶってカッパにしてみたりして寒い中待ったのに、中止。
でも、アナウンスがあった後、こんな中でも準備してくれていたスタッフに拍手。

翌日、公演とシャトルバス代の払い戻しの連絡がメールできていた。

【7月6日】
◉この日は朝10時45分開演の公演から、22時20分開演の公演まで
4本の作品をはしご。待ち時間もめっちゃ長い。

◉昨日に引き続き、お客さんの見る体勢が全然違うんだよなぁってことにとても興味深さを感じた。これは、なかなか日本では出会わない。

◉せっかくなので、アヴィニヨンの中と外をぐるぐる歩き回る。
近年の日本ほどではないけど、暑い!
でも、こちらも日中43度になったことがあるそうな・・。地獄やん・・。


◉町中、ポスターだらけ。
フェスティバルが主催するINと自主公演のOFFがある。
今年のOFFは1,600公演以上!

◉町は夜中まで昼間のように人出があり、お祭り騒ぎそのもの・・。

【7月7日】
◉お勧めされて近くの町の音楽フェスティバルに行ってみることに。
エクサン・プロヴァンスではオペラのフェスティバルがやっている。
この日の移動はバスが定刻より2分早く出てしまったことにより、散々な結果に。


◉どうにかこうにかたどり着いて、プロヴァンス大劇場の席についたら
何のラッキーか、新しいチケットを受け取り、席が移動になった。
1階席のど真ん中。こんないい席、学生時代のU-25チケット以来だよ。

しかし、2本立てのこの上演、演出がなかなかに現代。
そして、何とも微妙。席の関係もあり、みなさんよく見慣れている方々なのでしょう。拍手するにも、「え?拍手、する?」みたいな批評の姿勢がありありと。(笑)

人生初めての「ブー」を聞きました。そうだよね。

1時間半の休憩(!)ののち、後半の作品。
20年後のお話。
こちらの演出もかなり現代。でも、さっきよりかは考える余地がある感じ。
ブラボー出てました。

【7月8日】


◉時間があるので、エクサン・プロヴァンスの町もぶらぶらして行ってみることに。

ここでも、マルシェに遭遇。
朝早くから始まって、13時には店じまい。

お店のお兄ちゃんが、
この辺りはパリとは全然雰囲気が違うだろ!
スペインやイタリアに空気が近いよな!
って言ってた。本当にそう。別の国みたい。

◉再び高速バスでアヴィニヨンに戻り、ようやく野外劇。
(先日の会場とは別)

ウクライナの戦争を題材にした作品。
というか、出ている方々はウクライナから逃げてきた人たちもいて。
ウクライナの伝統的な儀式として歌われる歌を模して、自身の叫びを合唱として伝える。

響きが美しいのに、歌っていることは何とも悲惨で。
場面によっては、涙ながらに力の限り叫ぶようなシーンも。

周りに座っていた人は嗚咽のような呻き声をあげていた。
いま、ここで上演する意味。

舞台が、芸術ができること、やれること。

途中、歌詞の中で
「あなたはチケットを払い戻すことができる。
いま、劇場を離れる権利を持っている」と歌われると、
客席の中ほどに座っていた夫婦が席を立って、会場を出て行った。
それを見ていた会場の観客たちが少し動揺していたように思う。

どういう思いで席を立ったかは知らない。
それを知らずには何も意見してはないけない気がするけど、何故、とは思う。思わざるを得なかった。

終演後、カーテンコールは客席のほとんどがスタンディングオベーションだった。


さて。本日、7月10日は夕方から2本、INの作品を見て
明日はまた早朝から移動です。長かったフランス滞在も終わり次はイタリアを経由しオーストリアへ。戻っていくー。

イタリアでも野外オペラ見たいけど、見れるかな・・・。

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