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ドラマ『ライオンの隠れ家』で夫婦喧嘩を解消できるかも?という話


 ドラマ『ライオンの隠れ家』第一話、二話を見ました。目だけで多くを語る柳楽優弥さんの演技は言わずもがなですが、自閉スペクトラム症の弟を演じる坂東龍汰さんの演技が素晴らしく、今後のエピソードがとても楽しみです。



 自閉スペクトラム症に関しては、アメリカの公立校では特別支援級の生徒も一般級で学ぶので、うちの子たちのクラスにもいましたし、また、音楽学校にも少なくなかったので、さまざまなケースをわりと身近に見てきました。あの子は青い椅子にしか座らないとか、あの子はあれがNG、この子はこれじゃなきゃダメ……等々、周りの先生や生徒はそれぞれの子のこだわりを把握し、理解し、協力していたように思います。うちの息子も小学校6年間は吃音で特別支援を受けていましたが、週に2、3回ほかの教室に呼ばれて言語療法を受けていたことに関して、特別視されることもなかったようです。


 息子はスペクトラム症ではありませんが、吃音のほかにも顔をしかめるようなチック症があったり、スペクトラム症の子と重なるような癖がありました。吃音はだいぶ良くなりましたが、チック症は今でも少しあります。考えてみたら、そういうレベルのことは、多かれ少なかれ誰にでもあるような気がします。



 私は幼い頃、帽子のゴムが首に当たるのが嫌で、遠足や運動会の写真を見ると、必ずゴムを顎に引っ掛けて写っています。また、小学校低学年の頃には頭を振る癖があり、先生から「あじりんさんは頭が重いんですか?」と言われたことがありました。娘は子供の頃、毎晩寝る前に「ワルモノとかオバケとか来ない?怖い夢とか見ない?泣いたらヨシヨシしてくれる?(以下3分ぐらい続く)」という決まり文句を呪文のように唱えないと寝られなかったし、友達の子供は、来客のお皿は自分が選ぶという掟を自らに課していて、知らずにうっかり手伝ったりしてしまうと、床にひっくり返って泣き叫んで抗議するほどのこだわり様でした。



 程度の差はあれど、こだわりを持っていること、やらなければ落ち着かないこと、逆にどうしても出来ないことは、誰にもあります。そこに「何故?」はないのです。周りはそれを理解してあげる、というより、お互いの違いを理解し合うしかないのだと思います。



 そんなことを考えていたら、なんだかじわじわ心が重たくなってきました。というのも、実は私、2週間ほど前から夫と口を利いていないのです。原因はこれまで何度も繰り返してきたようなことで、もう話し合う気力もなく、唯一できることと言ったら、沈黙で不満をぶつけるだけ、というわけです。



 夫には面と向かって言いませんが、問題の根幹にあるものは、男の意地とかプライドとか、深層心理的なミソジニーから来る防衛心とかで、これをコントロールできないのは、夫のキャパの小ささだと私は踏んでいるのです。しかし、もしこれがキャパの問題であるなら、さっきの話の流れで言うと、「こっちのキャパに合わせろ」と言うのは間違っているのかも知れません。夫のくだらないこだわりにも、何度言っても分かってくれないことにも、「何故?」はなく、もし彼のキャパが小さいのなら、そういうものと受け止めなければならないのでは………。



 そんなことを考えながら、態度を氷解すべきか……と思わないでもないわけですが、この2週間、夫はきっと「うわ。また何かめんどくさ」と思っているだけで、少なくともドラマを見てここまで夫婦関係について悶々と考えを巡らせることはないわけで、そう考えると、またメラメラと腹が立ってくるのですが、柳楽くん演じるお兄ちゃんに心打たれながら、一方で夫のキャパを受け入れることができないとしたら、ダブルスタンダードなのだろう、なんてことを思わされたここ数日でした。

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