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どこへも行けない『気球』に乗って
熱い。
怖い。
外を見ている余裕がない。
それが私が初めて乗った気球の感想となった(笑
*
ここ数年、9月には家族全員で『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』という音楽フェスに来ている。
開催場所が家から比較的近いこと。子供にも優しいフェスであること。そして、私の懇意にしているバンド「ストレイテナー」が毎年来てくれているおかげで、足しげく通っているのだ。
子供連れに優しいフェスというのは昨今増えてきたけれど、そうじゃないフェスもまだまだ少なくない。主催さんが、ちょっとだけでもそういう意識を持ってくれると、すごしやすさ……というか、子供がいても何とかなりやすい感が格段に上がる。
駄菓子屋さんとか、子供向けワークショップ。すべり台などのちょっとした遊具なんかでも、あるとないでは雲泥の差だ。中津川では迷子札になる「こどもソーラーブドウカン」というシールをくれたりするのも、スペシャルな気分が上乗せされて嬉しい。
悲しいことではあるけれど、今のところは子供にとって、鳴り響く音楽など騒音以外のなにものでもない。あまり前の方にいくのは耳も心配だし、親のエゴにつき合わせているのは紛れもない事実。
米津さんが来てパプリカを歌ったりすれば子供も喜んでくれるだろうけれど、世の中そう簡単にはいかないものだ。
だからこそ、もっと子供と大人が共存できるフェスが増えたら嬉しい。そして、そういうコンセプトを持ってくれているから中津川ソーラー武道館というフェスを愛しているのだ。
*
そんなわけで、今年もやってきたソーラー武道館。
見たいのはストレイテナー。それさえ見れればあとはなんでもいいや(笑 という過去最高にゆるい気持ちでの参戦。テナーさんは相変わらず素敵で、やっぱり好きだな、と再確認。
さあ終わった。ご飯も食べた。後はどうする?
時間は多少中途半端。かといってサンボマスターを見るのであれば、まだ1時間はありそうだ。帰ってもいいけれど、このまま帰るのも少しさみしい。
……そうだ。最後に気球に乗ろう。
そう思ったのは、ある意味必然だろう。
*
なぜなら中津川ソーラー武道館と言えば『気球』なのだ。
見てほしい、このすばらしい気球を。
でも毎年、写真はとるだけとって、一度も乗ったことがない(笑
下から見ていても素敵だけれど、やはり一度くらいは乗ってみたい。この中途半端加減に終止符を打って、「さあじゃあ帰ろうか!」と威勢をつけるのにぴったりではないか。
大人2000円、子供1000円。高いのか安いのかわからないけれど、意気揚々とお金を払い気球の下に連れて行かれる。
次の回かと思いきや、「すぐ乗ってください!」とのこと。気球の狭いカゴの中にはすでに6,7人くらいの人が乗っており、ここに私たちが乗ったら定員オーバーではないのか?
そんなことを思ったのは最初だけで、乗っていた半数以上はスタッフさんのよう。私たちが乗ったらすぐに何人かが降りてくれた。
後からわかったけれど、常に何人かが乗っていないと軽くなって浮きすぎてしまうらしく、お客さんとスタッフさんを合わせて常に6,7人程度が乗っている状態にしているらしい。
そして気持ちの準備もそこそこのまま、「じゃあ行きますねー!」との声がかかる。
「ボッ!」という大きな音。そして熱波が押しよせる。何年も外から見ていたのだから、何が起きているかはわかる。バーナーが点火されて、大きな火柱が立ちのぼり、気球を熱しているのだ。
……そう。理屈はわかる。
だが、その火のすぐ下にいる私の感想は「身の危険を感じるほど熱い」であった(笑
*
「ボッ!(あっつ!)……ボッ!(あっつーー!)……」というのを繰り返すこと何度か。これが割と本気で怖い(笑
上どころか景色を見るのも億劫になるほど怖い(笑
この辺は私が怖がりなだけであることも確かなのだが、子供も怖がっていて泣き叫んでいるし、相手にしてやらないわけにもいかなくて二倍怖い。だっこするのはいいけど、こんな高い場所から落としたら笑いごとではすまないよ君(笑
でもこれをフェスの締めにしようと、そう決めたのだ。
そんな固い決意を思い出し、意を決してカゴから下を回し見る。
……うーん?いまいち高くもないし、キレイでもない?(笑
キレイじゃないのは時間帯のせいもあったと思う。日が落ちだしたところで、夕闇が広がりはじめた時間帯。上から見たらいい感じかな?というほどには暗くない。
もっと暗かったら、色々ライトアップされて素敵だった気もするけれど、遅くまでいるのなら素直にサンボマスターを見て帰りなさいよ、というアレだ。
でもいいんだ。
正直そういうのは、もういいんだ。
地上を離れて割とすぐの段階から、キレイとかどうとかよりも、熱いし怖いから一刻も早く私を地上に帰してほしい……と、私の心を占めるのはそればかりだったのだから(笑
*
そんなこんな無事に地上に降りられて一安心。
2000円の価値があったかどうかには言及しないけれど、来年もまた来ることがあっても「気球には絶対に乗らない」ということは固く心に誓った私なのでした(笑
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