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【仕組みのデザイン事例】路上生活者を支援する雑誌「BIG ISSUE」

新宿・横浜近辺・梅田駅などで、時々ISSUEと書かれた雑誌が販売されている現場を見かけます。
コロナ渦になってからなかなかその現場に出会うことが少なくなりましたが、先日夜21時ごろに桜木町駅の前で販売されており、1冊購入してみました。

この雑誌の背景について何となく知っているつもりではいたものの、改めて仕組みを観察してみると非常に学びになるものがあります。

課題と解決策

この雑誌「ビッグイシュー」とは、ホームレス状態の生活貧困者に雑誌を販売するという「働く場」を与え、自立に向けた支援をするために作られたものです。

まずこの仕組みが解決しようとしている課題は「自宅を持たず、生活に困窮し、最低限の健康的な生活が脅かされている人々がいること、また一度その状況に陥ってしまったらなかなか元に生活に戻れない現状があること」と言えます。

そこで2003年に始まったのが、路上生活者の方が自ら雑誌を販売することで、生活の基盤を整え、健康的な生活を送ること、また社会復帰するための手助けをする仕組みです。

基本の仕組み

販売者にはまず10冊は無料で提供されます。その雑誌を定価450円で販売し、1冊売れるとそのうち230円が彼らの収入となります。最初の10冊が売れたあとは、その収益(4,500円)を元手に1冊220円で雑誌を仕入れることができ、さらに利益を増やしていくことができる仕組みです。

実際に創刊当初から8割の路上生活者が減っていること、またコロナ渦の打撃にも耐えながら今も続いていることで、この仕組みが成功事例であると感じます。

なぜこの仕組み持続させることができているのか、公式HPとインタビュー記事を読み解くと、ヒントになりそうなポイントが見つかりました。

持続させるための仕組み:その1

一時的にお金や物資を渡すような一過性のチャリティではなく、当人が主体的となる状態を目指している

支援の対象となる方々自身、自らが意思決定をし動くことができるため、サイクルを成長させることができます。単に働いて収入を得られる状態をつくるだけでなく、「市民が自分で仕事をつくり課題解決に挑戦する」ことができる状態を目指しています。

持続させるための仕組み:その2

「会社も儲かる、販売者さんも儲かる」という両輪を維持し、値上げに踏み切った

ビッグイシュー は2020年4月、コロナ渦に突入した時期に100円値上げされています。値上げが検討された初期は、販売者から「今の350円だって心苦しいのに、450円なんて想像できない」、「会社が赤字なら、値段はそのままで会社の取り分を増やせばいい」と言った不安の声も大きかったそうですが、会社と販売者さんの双方が儲かる状態を目指すという軸のブレない意思決定がされました。

値上げにより販売者の利益は180円から230円と上がり、仮に1ヶ月で350冊販売*できたとすると、1ヶ月63,000円の利益が80,500円になります。地域やその人の置かれている状況によっては、単身の人が生活保護の生活扶助費として受け取る額よりも多い収入を目指すことが可能です。

*一人あたりの平均販売数は1カ月で300〜400冊とされています

引用:https://www.recruit.co.jp/talks/meet_recruit/2021/04/bigissue.html

ビッグイシュー公式HP:https://www.bigissue.jp/about/system/





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