第15回「エプロン」2分
人物
上田マキコ(55)専業主婦
上田ノリヒロ(58)マキコの夫
上田さくら(22)マキコの娘
〇上田家・外観
〇同・キッチン
上田マキコ(55)がフライパンで炒め物をしている。
テーブルの椅子に淡い青色のエプロンが掛けてある。
テレビを椅子に腰かけて見る上田ノリヒロ(58)
フライパンから野菜炒めを皿に乗せるマキコ。
マキコ「あっ」
マキコの服に油が跳ねる。
ノリヒロ「できたー?」
と、テレビを見ながら声をかける。
マキコは乱暴にテーブルに野菜炒めが乗った皿を置く。
ノリヒロはマキコの顔をちょっと見て
ノリヒロ「なんだよ」
マキコ「別に」
ノリヒロ「なんだよ、たく」
と、自分の分の箸だけ取って野菜炒めを食べ始める。
マキコ「はぁ」
ノリヒロ「なんだよ、それ」
マキコ「服が汚れたのよ」
ノリヒロ「あ?エプロン使えよ、ソレ」
と、椅子にかかったエプロンを箸で指す。
マキコは無視してキッチンを去る。
ノリヒロはテレビを見ながら食事をする。
上田さくら(22)が入ってきて、
さくら「あれお母さんは?」
ノリヒロ「知らね」
さくら「ふーん」
ノリヒロ「服が汚れたって、エプロン付けないからだよな……」
さくら、エプロンを見て、
さくら「あーコレ、だいぶ前にお父さんと母の日に買ったやつね?」
ノリヒロ「え?」
さくら「え、覚えてないの?」
さくらはエプロンを手に取って広げて、
さくら「お母さん結構直しながら使ってるみたいだけどそろそろね……」
ノリヒロはさくらの広げたシミがついてくたびれたエプロンを見る。
ノリヒロ「ソレどこで買ったっけ?」
さくら「駅前のつぶれたスーパー」
ノリヒロは茶碗を持って考えている。
〇駅前・外観
商業施設が並ぶ。
〇雑貨屋・前
ノリヒロが入りづらそうに店の中を覗き込んでいる。
自動ドアが開く。
驚くノリヒロ。
店内に入るノリヒロ。
〇駅前・ロータリー
雑貨屋の前のノリヒロを見つけるマキコ。
〇雑貨屋・内
店員「いらっしゃいませ」
ノリヒロはお辞儀をする。
エプロンやカーディガンがかかった服掛けを見つけて慣れない様子で選ぶノリヒロ。
〇雑貨屋・前
エプロンを見ているノリヒロをガラス越しに見るマキコ。
マキコはうれしそうな顔をしてロータリーへ進む。
了
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