家の鍵
家の鍵というものを長らく持ち歩いていない。というのも、家の玄関の施錠が鍵ではなく、暗証番号で開くからだ。体感的に韓国の90%以上の世帯が暗証番号で開くタイプの玄関である。だから鍵をなくして家に入れないなんてこともないし、友達が不在の家に着いても「先にあがってて」ができる。
韓国ドラマでもよくある、昔の恋人の玄関の番号を覚えていて「番号そのままなんだね」とか、浮気した旦那を放り出して番号を変えちゃうみたいなこともありうるわけだ。逆に言うと、日本のドラマとかで出てくる合鍵を渡すという習慣が韓国にはないのだ。
以前タクシーの運転手さんからこんな体験談を聞いた。送迎で呼び出されたけどそこにはお客さんがおらず、電話してみたところマンションの玄関まで来てほしいと。そして玄関の暗証番号を伝えられ、指示されたとおりに中に入ると、そこにパスポートが一つ置かれていた。そのパスポートをタクシーに載せて空港まで持ってきてほしいと言うのだ。つまり、海外旅行に行くのにパスポートを家に忘れて空港で気づいたというわけだ。とんでもない依頼だと思うが、暗証番号のドアだからできたことだろう。タクシーの運転手もそんなことよく引き受けたなとびっくりした。