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【韓活韓国語のすすめ】言語文化中華まん教育論

私の考えている言葉と文化をどう教育するのか「中華まん」を使って表現したいと思います。これは言葉と文化の関係やその教育を研究した成果ではなく研究ノートです。そもそも「ことばとは」とか「文化とは」という生涯懸けても分からない大変大きな物を統合してその関係性を探るというような大それたことが出来るのは天才か、物を知らない勇敢な無知かのどちらかです(私はもちろん後者です)。ということで無理ゲーに近い試みで書いてみました。

現在の外国語教育は、「グローバル化時代の異文化理解教育には外国語教育が必要だ」と旗を振りながら、異文化理解について触れていません。英語教育がまさにそうです。英語学習で記憶に残るのは、関係代名詞や完了形といった文法概念のことばかり。アメリカ人やフィリピン人の人となりや生活については聞いた覚えがないのです。

そこで異文化世界と言葉の学習の関係を、「中華まん」に例えてみました。

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中華まんは「皮」と「あん」に分けられます。その特徴を「言葉と文化」に置き換えると、言葉は「皮」、文化は「あん」となります。

いわゆる文法学習とは、「皮」ばかりを食べる行為です。どの中華まんも「皮」は同じですから、一つ食べれば全ての種類の中華まんを味わったことになります。ただ、刺激不足で飽きるかもしれません。そもそも、さほど味わって食べる部分でもありません(皮こそ美味、という方もいらっしゃるでしょうが)。

これまでの語学教育は、皮作りの名人が担ってきた側面があります。そのこともあって、「あん」がないか、少なかったのです。Kコンテンツという「あん」に魅せられ、いざ学習を初めてみたところ、出されるのは「皮」ばかり。一向に「あん」が出てこないという状況に遭遇するわけです(私も「皮」ばかり提供していた教育者の一人です)。

実は「あん」作りの名人(=文化研究者)もちゃんといるのですが、「あん」は種類によって好みもありますし、「あん」だけを食べると甘すぎたり辛すぎたりと、刺激が強すぎることもあるかもしれません。いずれにせよ研究者というものは専門性をもって教えるので、「皮」だけ、「あん」だけに偏りやすいのかもしれません。でも本来教養教育は、「皮」と「あん」が出会う学びをするべきだと思うのです。それが韓活韓国語の目指すところです。

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あん(文化)への到達具合によって、教育を3つに分類してみました。「皮」だけでほぼ構成されているのが、単語の暗記、語尾の活用練習などで組み立てられた「文法韓国語」です。最近はドラマやKPOPを取り入れたテキストも登場するようになりました。これらは、Kコンテンツをネタに文法を学ぶ「KPOP・ドラマで学ぶ韓国語」です。あくまで学習の目的は文法で、「あん」の要素があるとしても衣食住といった表面的なものに限られるでしょう。「韓活韓国語」は語学と文化を同じ比重で扱うだけでなく融合しており、表層的なものだけでなく精神世界などにまで深入りしたいと思っています。

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さらに「あん」の部分をクローズアップしてみました。「文化」という言葉は、漠然とし過ぎていてピンと来ないので。文化は「見える文化」と「見えない文化」に分けられます。キムチやチョゴリといったものが「見える文化」。食べ方やいつ着るのかといったTPO、習慣、それらの歴史、背後にある哲学や世界観といったものが「見えない文化」です。

皮もあんも一緒に食べる、つまり「ちょうど良い案配」の学びをぜひしていきましょう。








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