2022年真夏の大冒険㉑ 与那国島最終日 人生ラストダイブの日
結果的にハマりにハマって何度も訪れた与那国島だが、「なぜ与那国に行ったの?」と聞かれてほんとのことを話したのは、ほんの数回しか無い。
ダイビングも始めてなくて海が理由だったわけでもない。端っこ大好きで最西端の島へというわけでもない。八重山島巡りのスタートとしたわけでもない。Dr.コトーに憧れてというわけでもない。
理由は「地名」なのだ。
何かの拍子に与那国島の地図を見たら、東の端っこが東崎(あがりざき)西の端っこが西崎(いりざき)。東からお陽様があがって西の海にはいって1日が終わる。この当たり前な自然の摂理が一つの島の中だけで完結しているのに感動したのだ。
島の真ん中で愛を叫べば、まさに世界の中心で愛を叫ぶ事になる。自尊心が高いと言うか、独立独歩なスピリットと言うか、島を中心にした天動説が成り立っているような島はどんな島なんだろうと思って訪れたのが本当の理由だ。
「地名のせいで島を選んだ」なんて恥ずかしくてなかなか口にできないよ。
いざ来てみたら観光客に媚びないスタンスで接してくれて、やっぱりなーと思ったわけ。島人が感じてるのかはわからないけど、与那国人たるプライドは必ず島人は持っていると思う。
さて、いよいよ与那国島最終日。ダイビングに至ってはもしかしたら人生最後のダイビング。最後のダイビングとはガイドにも伝えてないので、普通に海に向かったけど、じつは結構な決意と緊張があった。
滞在中ずーっと激流れの西崎は今日も元気がいい。
それも夏の与那国らしくていいんだけれど、1回ぐらいは南の根着底で黒潮と真っ向対峙したかった。今日も着底を拒む潮の速さだ。
そんなわけで1本目は西崎灯台直下の「つぼ」。巨岩に囲まれた入り組んだ水路を抜けると潮の直撃は避けられる。それほど広くないエリアだけど好きなポイントだ。
2本目3本目は西崎。ビューンと流されてジャグジーに洗われてエキジットのいつものコース。ただ水温の変化が激しかった。寒っと思って水温計を見ると24℃、ペラペラ1mmのスーツでぶるっと震え、温っと思ったら30℃でぼーっとなった。
最後のダイビングとしては、西の根・南の根・ハンマーヘッドロックと数々の思い出が詰まったポイントにも別れができたし、まあまあ良かったんじゃないかな。最後にガイドしてもらったのもN美師匠だったし。
ドット柄のデカいジンベイの出現がラストのドラマチックさ祝う派手な演出も少しは期待してたけど、当然そんなミラクルもなく、いつものツンデレな西崎のまま The End.
悔いを残したまま終わるくらいがきっとちょうどいいんだ。
そしてダイビング後に生ビールのジョッキを片手に見る最後の夕陽。
次にこの夕日を見る日は来るんだろうか?
ホント、お世話になりました。
しかし20年間まったく変わらない風景ってのも考えてみるとすごいね。与那国島、やっぱり大好きだ。
最後のダイビングを終え、最後の与那国を今日経つというセンチメンタルな気持ちとはまったく関係なしに夜は明けるし、セミは鳴き始める。
与那国にも天候を予測する言い伝えがある。民宿の角の路上に立って東を見てきれいな朝焼けがあれば天気は上々、暗い雲に覆われてたら天気は下り坂、石垣からの飛行機が西崎上空でUターンして戻ることもある。
ジョートーな朝焼け。予定変更はなさそうだ。
散歩がてらに西崎がきれいに見える場所に足を運んだ。
ここからの西崎は、ホント美しい。いつも横から見てる西崎は見る角度が違えばこんなにボリュームがあったんだと新しい景色になる。
この角度からの西崎はネットでも見たことがなく、たぶん誰も知らない秘密のポイント、自慢のポイントだ。
一便出発の朝は超忙しい。
干した機材をパッキングして、帰る日は不明なので局留め着払いのラベルを張って発送エリアに運んで、朝食を食べたら手荷物をまとめて、6日間敷きっぱにしてた布団を畳んで、洗い物のシーツと枕カバーを布団のてっぺんに乗せて、ゴミを拾ってお仕舞いと思って部屋を見渡すとコンセントから充電コードが伸びてたりして、あわてて引っこ抜いてカバンに入れて、指差し確認、「ヨシ、忘れ物なし!」
いる人全員が手を振ってくれる恒例の別れの儀に背中を押されながら送迎車に乗りこんで空港へ。知り合いの手荷物検査のおばちゃんに「あら、来てたのー。また呑みましょうねー。」と声をかけられ、待合室に入って自販機のさんぴん茶を一口飲んだら搭乗開始。
あばよ、与那国島。
次がいつと言えないのは寂しいけれど、また会おう!
これで与那国ラウンドが終了した。