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2023年紅葉まみれキャンプ旅 6泊目 高野崎キャンプ場連泊

インスタントコーヒーを片手に朝日に染まる津軽海峡を見るのは気持ちいい。
さて今日はどうしようかな?
順延した竜飛岬観光は決定事項。高野崎先端の太鼓橋にも行かなくちゃ。
どこに行くにせよ、この景色を一夜限りで後にするのはもったいない。連泊しよ。簡単に連泊決定。ならば次の行動は早い。焚き火台の真っ白になってる灰をゴミ袋に入れて、荷物を全部テントに入れてファスナーをしっかり閉じたら出発準備完了。
サンダルを少しのぞかせて在宅偽装を装うか?ファスナーを簡単に開けられないようにパラコードとペグで厳重にロックしようか?少しは盗難も考えたけど、善人説を信じてキャンプ場を出た。入り口付近に陣取っていた車中泊のおっさんは既に出発済みだった。

津軽海峡に朝日が登る

竜飛崎への道路はガラガラ、交差する車もほとんどない。竜飛崎はこのあたりじゃ大観光地、訪れる人も多いだろうがこっちは地のハンデを持っている。青森市内から目指す人よりはずっと早く着くはずだ。
土産物屋もまだ空いていない時間に到着。予想通り観光客も皆無、荒涼とした厳しい景色を楽しむぞと外へ出たんだけど、まさかの無風。建ち並ぶ風力発電のプロペラも止まったまま。吹きすさぶ冷たい風はどこ行った。ベタ凪海峡はイメージになかった。完全に拍子抜けだ。こんな竜飛崎「思ってたんと違うー!」と叫びたかった。

竜飛

穏やかすぎる天気のお陰で手で覆わずともライターは一発で着火して展望の一服はゆっくり味わえた。良かったのはこれくらいかも。
それにしても、いちばん眺めが良い広場に記念碑やらのモニュメントがいくつも競い合うように建ち並ぶのはなぜなんだろう?「どうせタバコを吸うのならばいちばん景色がいいところで」の気分と同じでわからくはないのだが、いちばん景色を損ねているのがモニュメント群なんだよなー。「◯◯参上!」の落書と発想は一緒だと思う。
西の果ての与那国島西崎灯台でも同じ思いをした。景勝地のモニュメント問題、なんとかならんかね。

津軽海峡秋景色

竜飛崎のキャンプ場ものぞいてみたけど、なんかピンとこない。雨とガスの中を無理して泊まらなくて良かったと思った。
北の果でキャンプしたかったわけではないし、スタンプが欲しいわけでもない。切り取れば荒涼とした風景は認めるけれど、ワイドに見ればホテルや土産物屋も近くにある、「津軽海峡冬景色」も風に乗って聞こえてくる。高野崎で正解だった。

渡り鳥観察中の野鳥の会の人くらいにしか出会わなかった竜飛崎も、土産物屋がオープンし、観光客もちらほら見え始め、石川さゆりも歌い出した。そろそろ潮時だ。

竜飛灯台

帰りはさすがに竜飛崎を目指す車とのすれ違いが多い。
三厩でイカニモな店を発見、「浜どころ海」。5人並んでいたけど開店待ち、もうすぐ開店だと言う。だったら並んでもいいなと最後尾に立つと同時にオープン。ウニ丼や海鮮丼でかなり有名な店らしい。
メニューも豊富で迷っていると「わたしはウニ丼」と大きな声、いくらなんでもこの季節にウニ丼?と思ったら案の定「ウニはもう終わったよ」「えー、だったら海鮮丼」とメニュー変更していたが、ものにはシーズンがあることくらい学ばなかったのかねー。

三厩 浜どころ海

皆さん全員が海鮮丼を注文する。店主は「同じ海鮮丼にしてくれりゃ楽なのに」ときっと思っただろうが、「サメフライ定食」を注文した。サメはモウカザメが美味しいと聞いたことがあったので魚種を聞いてみると「三厩はアブラツノザメ、あんまり大きくないサメ、旨いよー」とのこと。バカ舌でどうせ味の違いもわからないけど、楽しみだ。

皆さんに一斉に海鮮丼が提供され、かなり遅れてサメフライ定食登場。サメフライの他にも少量だけどイカとマグロ刺身と塩辛ともずくも付いていて定食はお得感がある。できればサメの刺身も付いていれば文句なしだった。

サクッとした食感はフライなので当たり前だが、これは魚じゃない。厚みは肉そのものだし、白身の断面を見なければ肉と言われてもわからないと思う。牛肉でも鶏肉でもない味、ジューシーな旨味たっぷりの汁は含まれてるのだが、他の魚や肉と違うのは香りなのかも知れない。独特な味わいの深い香りはクセになるかも。
下味が付けてあるのでそのままでも十分いけるし、タルタルでも当たり前に旨いけど、2枚目からは卓上の醤油でいただきました。丼飯と味噌汁が付く定食ならば、やっぱり醤油がいちばん合う。
旨かったー。忘れられない津軽の味だ。

サメフライ

「青函トンネル入口広場」の看板を見つけたのでちょっと寄り道。こっちの勝手な都合に合わせてくれるはずもなく、新幹線のかっこいい姿は見ることもなく、大きく口を開いた北海道への穴があるだけだった。

鋳釜崎キャンプ場にも寄ってみた。昨日は無人だったけど、テントが2張り建てられていた。テントから眺める海はきれいだろうけど、やっぱり駐車場が近すぎる。ここは展望ポイントでもあるので立ち寄る人も多い、ギャラリーの気配を感じるキャンプは嫌だ。高野崎の方がずっといい。

鋳釜崎キャンプ場

高野崎に入る200m手前に「海峡の家ほろづき」という施設があった。道からは少し入るけど昨日はまったく気づかなかった。同じ道を走ってもその都度なにか新しいものは見つかるものだ。
廃校になった木造の学校をリノベートしたもので素泊まり宿泊もできるようだ。大嵐になった際にはここに避難もいいかも知れない。300円の大浴場もあるので後で来よう。

海峡の家ほろづき
元教室泊 素泊まり3500円

そして高野崎の我が家に戻ったわけだが、出発前とガラリ様相は変わっていた。
テントは開けられた形跡もなく建っていたが、駐車場に近い芝生に大勢で大量の荷物を運んで大きなテントを設営中だった。
しばらく自分のテントから観察すると、3家族合同のグループキャンプらしい。大きなタープを中心に張り、囲むように大きなテントが3張り。あーだこーだと大騒ぎしながら設営している。飽きた子どもたちは芝生を走り回り、バットでボールを打つ子供までいる。
気がつけば今日は土曜日。曜日の感覚はとうになくなっていたとは言え、この広くて安心なキャンプ場だ、ファミリーやグループの大挙来襲も想定しておくべきだった。

ファミリーグループ襲来

「吹けよ風、呼べよ嵐」とピンク・フロイドのイントロを口ずさみながら念じてみたが、昨日よりは少し強く風が吹いているくらいで嵐の予兆はない。
それよりもテントがみんなガイロープでしっかり固定されているのに感心した。さすが地元の人達は抜かりがない。
ガイロープを手抜きして張らない人も多いけど、今の好天がいつまでも続く保証はない。まして素人の天気予報ほど希望が入って予報とは言えないものになる。、最悪の変化も予想してガイロープは全部張るべきだ。たった5分の作業が増えるだけで安心が得られて不安のない夜になるのだからというのが私の持論だ。

グループと距離は十分離れているし、子どもたちも「こっちへ来るな」のバリアを察しているのか近寄っても来ない。悲観するほどの大きな問題ではないだろう。歌舞音曲鳴らしての大騒ぎがないことだけを願った。

ならば彼らが忙しく動いている今のうちに岬の先端を探検した方が良さそうだ。
だらだら下りと石段で海抜0mまで降りる。橋の間の岩は普通に波をかぶっている。波のタイミングを予測しながら素早く渡らなければびしょ濡れになるのは必至だ。転んだりしようものなら目も当てられない。
かなりドキドキのアトラクションだった。考えようによっては命にも関わる危険性を含んだ場所なのに、子供から年寄りまでなんの規制も設けてないので自由に行き来することができる。
県立公園とのことだから管理者は県になるんだろうと思う。青森県の度胸に感心した。

先っぽまでの道は遠い
この辺で引き返したくなった
波のタイミングを予測して飛ぶ

アトラクションを無事にクリアしたら風呂だ。先ほど寄ってきた海峡の家ほろづきで入浴だ。
タオルとシャンプーは備え付きなのは確認していたのでタオル1本ぶらぶらさせて歩いて5分で到着。効能表を見ると炭酸ナトリウムの人工温泉で肩こり・腰痛・疲労回復に効き目があるらしい。
先客は二人。話しぶりを聞くと二人共ネイティブ津軽人で知り合いらしく、一人は漁師らしいのだが、本家本元の津軽弁の会話は半分もわからなかった。

ゆっくり歩いてテントに戻ると、後は呑むだけ。
昨日の「イカがシーズン」だという釣人を思い出してサメフライを食べた食堂の店頭に干してあったイカの一夜干しを一杯買ってきたのだが、焚き火で炙るのは正直火加減に自信がない。黒焦げイカは遠慮したい。ゲソは炙って八代亜紀に捧げたが、胴体は水分が残っていて肉厚だし、店主が「生で食べても旨いよ」と言っていたのを信じて熱湯で湯引きして刺身風に切って練りワサビで食べた。大正解。
津軽のイカニモな店で買ったイカを暮れていく海峡を見ながら呑むイカニモさに笑ってしまった。

1杯300円

ファミリーグループの音はほとんど気にならなかった。
調理を終えたら焚き火も早々に始末してテントに籠もってイカと塩辛で呑んでいたし、早々に眠ってしまったので「笑い声って意外と通るなー」と夢心地に思ったくらいで妨げにはならなかった。
ただ煌々と照らすライトの明るさには驚いた。どんな照明器具を使っているんだろう?あそこまで明るくしなきゃならんのかねー?とは思ったけれど、芋焼酎の酔いの方が圧倒的に勝っていた。

お隣さんは明るい

そして朝。
まだ寝静まっているファミリーたちに遠慮しながら、少しづつ片付けをして車に運んだ。椅子とアルコールストーブとインスタントコーヒーとマグカップだけを残して積み込み終わり。炙りゲソの食残しを頬張りながら今日の終着地を考える。
一週間の予定だったのに好奇心に任せて遠くまで来てしまった。一気に帰るには遠すぎるし、ここまで来たからにゃ下北半島にも言ってみたいし。いやいや、そろそろ南下たほうがいいんじゃない。去年みたいに近所じゃ失踪騒動が起きてるかもよ?自問自答が止まらない。
今日はどこまで行きましょうかねー。

高野崎 いいキャンプ場だった

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