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変態的キャンパーに進化しているのかもしれない
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たとえばアイロンストーブ。
そもそも電化されてない時代にアイロンを温めるために作られた道具、それを野外に持ち出してキャンプ道具に使ってみた人の発想は評価できる。でも、そもそもアイロン底部を温めるのに特化して作られた機器であり、キャンプ道具としては調理器具としても暖房機器や照明機器としても中途半端でしかなく、アイロンストーブを使い始めた人が今までなんの調理器具も暖房機器も使ってないことは考えられないので、効果としては自室の壁に貼ってあるアイドルや風景ポスターと同じようなものだと思っている。オイルランタンも同様だ。
人が見れば「きっとかっこいい」だろうと思って導入したところで、テント内で使う限り誰にも見れないし、かっこよさを評価してくれる人間の存在すら怪しい。だから第三者の視点で自分のサイトの映え写真を公開するインスタ時代のキャンプ、ソロでも群れるキャンプになるんだろうが、自分にその趣味はない。
自分としてはテントの中にアイドルのポスターは不要だと思っている。
たとえばTCテントやパップテント。
雨風に弱く重くて機能性が損なわれるのは自分的には大きなマイナスだ。自分的にはキャンプは移動式簡易宿泊所であればいいという捉え方なので、キャンプ環境は家よりも劣っていて当たり前、家の環境に近づける必要はないと思っている。だから電源等も全くと行っていいほど興味がない。
キャンプに行く日を決めるのは自分だけれど、その日の天候は自分の願いが叶うものではない。だからキャンプ地の変更はよくあることだし、テントは見てくれよりも機能性・耐風耐水性の高いものを選ぶことにしている。
無骨さを全面に出して作り上げたサイトの側に高級車が停めてあったり、電源があったり、コットやインフレーターマットの大型寝具があったりの写真には違和感しか感じない。
サイトのデザインも同様で、実際に見てくれている人がいるのかいないのかわからないのに、「こう配置すればかっこいい」とか「この機器があれば映える」とかの『どこかで見た覚えがある映写真』とそっくりなサイトも苦手だ。
SNSなどで『絶景キャンプ場に行ってきました』の投稿で、自分のサイトのアップ写真ばかりなんてのを見ると「どこが絶景?」と突っ込んでしまう。
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たとえば人気のキャンプ場や予約が取れないキャンプ場。
自分的にはソロキャンプとは一人で出掛けるキャンプではなく、ぽつんと一軒家が理想である。
人気のキャンプ場=人が多いキャンプ場、ソロキャンプの景色に人と車は無いに越したことはない。いかにもっぽいサイトの写真の側に車が映り込んでいると興ざめすることもある。
パリピなキャンパーや常識外れなキャンパーに遭遇することもないし、ぽつんと一軒家なら常識外れなキャンプも気兼ねなくできる。
酔っ払って早い時間に落ちて真夜中に起きてしまっても、その時間が活動開始タイム。真夜中だろうが朝方だろうが薪割りを始めて焚き火をしたり、深夜放送に大笑いしたり、思わず歌を歌ったり…人がいなければどんなことでもできる。他人や一般常識に同調する必要がない環境こそがソロキャンプだと思う。
クソ景色で粗末な設備のキャンプ場であれ、1km四方に人間がいないキャンプ場のほうがずっと居心地がいい。
予約に縛られるのも嫌いだ。
キャンプでは時間は捨てることにしている。気軽にキャンセルもできず、IN-OUTの時間に縛られるのはまっぴらだ。『◯月◯日はキャンプ』とスケジュールされているのはイベントであり、散歩の延長がキャンプという自分の心情とはほど遠い。
管理人もおらず、最大公約数と思い込んだルールを提示しているキャンプ場よりも、すべてがキャンパーの自主管理と常識に任せられているキャンプ場のほうが居心地がいいし、得てしてそんなキャンプ場のほうが荒れていない。
まるで月極駐車場のように決められた区画の中でこじんまりとキャンプするなんて我慢ならない。
人がいなければ対人トラブルは起きようがないし、完ソロこそがいちばん望むキャンプだ。
「キャンプ好きな人と繋がりたい」と思う人は、まず自分のキャンプ傾向をしっかり知ること。全く違う趣味嗜好の人と知り合っても長く続くはずがない。
私の場合は、誰かと一緒になったとしても(内心はこの人が来なければ完ソロだったのに…と思ったとしても)、こんなところを宿泊所に選ぶ人はかなり自分寄りの人間なので積極的に交友を持つ。似たような価値観の持ち主で仲良くできる事が多いからだ。
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だいたい普段でも隣近所に気を使わない生活をしてるのに、家を捨てて野外に出向いたというのに普段よりも近い隣家、無きに等しい防音設備の環境で家以上に気を使うのは容認できないのだ。
だから人気が無いキャンプ場、不便で設備も貧しくて人が来さなそうなキャンプ場、車を横付けできないキャンプ場、ダートコースが長く続くキャンプ場などを使うことが多いし、週末を避けて平日キャンプなどでなるべく完ソロの可能性が高そうなキャンプ場を選んでいる。
その結果、管理人がいない無料のフリーサイトのキャンプ場を使うことが多くなる。
経験上だが、過去のブーム時に造成された公営のキャンプ場で、今では維持に熱心さをを失ってしまったようなキャンプ場がいちばんいい。
キャンプ場の現状維持を保つためにハナっから赤字は覚悟、シルバー層の雇用の場として細々と続けているキャンプ場がベストである。
再来したブームに乗って黒字化を図るキャンプ場や、民間に経営を委託したキャンプ場などは概ね自分の好みとは違った方にに変わっていくようだ。
人が多いキャンプ場でも、ほんの少し移動するだけでエアポケットのように無人の空間を見つけた時はテンションが上がる。「まるで俺様専用サイトやん」と越に入って遠くから聞こえてくる嬌声をアテに呑むのも楽しいものだ。
ほんの少し動けば快適なソロキャンプができるのに、人間はなぜ群れてしまうんだろうと不思議がるのだ。
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キャンプ道具も取説に縛られずに「◯◯にも使えるやん」と新しい発見をした時などにもキャンプの楽しみがある。
◯◯専用の概念に縛られず柔軟な気持ちを忘れなければ、よりキャンプは楽しめる。
軽量化には興味はあるがそれほど熱心ではない。軽量化よりも少量化、専用よりも兼用のほうに重きを置いている。
たとえばティピーテントの二股化。
居住空間を広げるために装備の点数が増えるのは納得いかない。ワンポールに不満があるから二股三股という考えよりもポールを無くすという方向に考えを持っていかないのかが不思議だった。
建てられる場所に制限はあるけど、上からテントを吊るすことを思いつき実践してみたら難なくできて広くてすこぶる快適、普通の風には十分耐えられるし、なにより絶対人と被らない。
吊るすテント(自称ゼロポールテントと呼んでいる)を考えた人やメーカーは皆無だったらしく、検索してみると自分発信の記事ばかり、有史以後誰もやってないことを実践してると思うと気持ちがいい。
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寝具の場合も同様で、銀マットと寝袋だけの簡素な寝具だけで眠れている。
コットやインフレーターマットやエアーマットの紹介記事はよく目にするが、それらを揃える前に、まずは最小限で眠れるかを試してみるべきだと思う。
いちばん大事なのは「野外生活」である自覚だ。家環境に寄せれば寄せるほど安眠できるのはわかりきっている、でも家ではないのだ。自然と布一枚で仕切られているだけの環境ならば、そっちに寄せていくべきだと思う。
初めは眠れない、眠りが浅い、短時間で目が覚めるなどの障害はあるだろう。それが当たり前。
目が覚めたら起きればいいし、短い睡眠だったら眠る回数を増やせばいい。人間なんて体が根を上げる寸前まで行けば自然に落ちるものだ。落ちてないんだったら元気な証拠、まだまだイケるはず。
これもIN-OUTの時間に縛られたくない理由の一つだ。それに劣悪な環境にも、意外と早く慣れるものだ。
ハンギングラックや水蒸気炊飯やホットサンドメーカーなどの機器にも言いたいことはある。
やってみたい気持ちが起きるのはしょうがない。でもすぐに専用機器を増やす前に手持ちの危機を工夫してできないものかと考えるのが大事だと思う。なにしろ時間はたっぷりあるのだ、あれやこれや考えてみるのもキャンプの楽しみと思うべきだ。
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今年は冬キャンプを止めたのも自分なりには理由がある。
いわゆる『お籠りキャンプ』が嫌いだ。風景を愛で、火に当たって思考を飛ばし、星空を愛でながらの深夜徘徊が好きなのだが、東北の冬キャンプは外での焚き火も辛くてお籠りに徹するしか無いのである。
もちろんテントの中でストーブを焚いて過ごせば温々と快適である。
でもね、AMラジオを聴きながら呑んでいてふと思った。「ん?この状態ってわざわざ外に出てまでする必要あるの?家でやってることと同じやん」
その他にも、キャンプ場への行き来に除雪された道を使うとなると高規格ないくつかのキャンプ場を使うしかなくごく狭い範囲でキャンプ地を選ぶしか無いし、コスパは割高だし、転泊するのも容易ではない。だった春からのキャンプのために充電期間にしたほうがいいかも。そう結論付けてしまったわけだ。
でもキャンプには出かけたい。
あと一月半か...早く春が来ないかねー。